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日本版DBSとは?こども性暴力防止法で習い事はどう変わる?
2026.10.14
「日本版DBS」という言葉を、ニュースで目にする機会が増えてきたのではないでしょうか。正式には「こども性暴力防止法」と呼ばれ、2026年12月25日にスタートします。学校や保育所、塾やスポーツクラブなどで働く人に性犯罪の前科がないかを確認したり、性暴力を防ぐ取り組みを事業者に求めたりする新しい仕組みです。
「どこまでの施設が対象なの?」「塾や習い事を選ぶとき、何を見ればいいの?」と気になっている方も多いはずです。大切な子どもを預ける場所だからこそ、制度の中身を知っておくと、安心につながります。
この記事では、こども家庭庁の資料をもとに、日本版DBSのしくみと、保護者が確かめておきたいポイント、家庭でできることをわかりやすくまとめました。
この記事はこんな方にオススメ
- 日本版DBSのニュースを見たけれど、内容がよくわからない方
- 塾や習い事、学童保育を選ぶときに何を確かめればいいか知りたい方
- 子どもを性被害から守るために、家庭でできることを知りたい方
もくじ
1. 日本版DBSとは?12月25日にスタートする新しい仕組み
日本版DBSは、正式名称を「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」といい、一般には「こども性暴力防止法」と呼ばれています。2024年6月に成立し、2026年12月25日に施行されます。「DBS」は、イギリスで子どもに関わる仕事に就く人の犯罪歴を確認している仕組みの略称で、それを参考にしていることから「日本版DBS」と呼ばれるようになりました。
法律の目的は「子どもを守る環境づくり」
こども家庭庁の保護者向けリーフレットは、「こどもに対する性暴力は、断じて許されるものではありません」という言葉から始まります。子どもと日常的に接する大人による性暴力は、子どもが「おかしい」と感じても言い出しにくく、周りも気づきにくいものです。そこでこの法律では、働く人の性犯罪歴を確認するだけでなく、日ごろから性暴力を防ぎ、早く気づくための取り組みも事業者に求めています。
「前科の確認」だけの制度ではありません
「日本版DBS」というと犯罪歴の照会ばかりが注目されがちですが、制度の柱は大きく2つあります。ひとつは採用時などの性犯罪歴の確認、もうひとつは研修や相談体制、子どもへの面談・アンケートといった日常の取り組みです。どちらも欠かせないものだと知っておくと、施設の取り組みを見るときの目安になるのではないでしょうか。
2. 対象になるのはどこ?「義務」と「認定」の2種類
この法律の対象は、取り組みが義務になる「義務対象」と、国の認定を受けた場合に対象となる「認定対象」の2つに分かれています。
| 区分 | 主な施設・事業の例 | 取り組みは? |
|---|---|---|
| 義務対象 | 幼稚園・小中高校などの学校、認可保育所、認定こども園、児童養護施設、障害児通所支援など | 公立・私立を問わず、必ず実施 |
| 認定対象 | 学習塾、スポーツクラブ、放課後児童クラブ(学童)、認可外保育施設、一時預かり、病児保育など | 国(こども家庭庁)の認定を受けた事業者が実施。認定を受けるかは事業者が選ぶ |
塾や習い事は「認定を受けたところ」が対象
学校や認可保育所は一律に対象になりますが、塾やスポーツクラブなどの民間の事業者は、みずから申請して認定を受けた場合にだけ対象になります。つまり、同じ習い事でも、教室によって制度の対象かどうかが変わるということです。
なお、民間の教育事業が認定を受けられるのは、「6か月以上の期間に同じ子どもが2回以上参加する」「子どもと対面で接する」「自宅以外で教えることがある」「教える人が3人以上いる」といった要件を満たす場合です。そのため、先生が1人だけの小さな教室などは、もともと認定の対象にならないこともあります。
3. 何を確認するの?性犯罪歴の確認と日ごろの取り組み
では、対象の施設では具体的にどんなことが行われるのでしょうか。中心となる「犯罪事実確認」と、あわせて求められる取り組みを見ていきましょう。
犯罪事実確認のしくみ
事業者は、子どもと接する仕事に就く人について、こども家庭庁を通じて「特定性犯罪」の前科がないかを確認します。本人が戸籍の情報を提出し、こども家庭庁が法務省に照会したうえで、事業者に「犯罪事実確認書」が交付される流れです。前科がある場合は、事業者に伝わる前に本人へ通知され、内容に誤りがあれば訂正を求めることもできます。
確認の対象になるのは、不同意わいせつや痴漢、盗撮、児童ポルノに関する罪などで、大人に対する性犯罪も含まれます。期間には区切りがあり、拘禁刑なら刑の執行が終わってから20年、執行猶予の場合は判決が確定してから10年、罰金刑なら執行が終わってから10年が対象です。
対象になる人と確認のタイミング
先生や保育士など、子どもと日常的に接する職種は一律に対象です。正社員だけでなく、アルバイトやボランティアなども雇用形態にかかわらず含まれます。事務職員や送迎バスの運転手などは、仕事の実態に応じて判断されます。
新しく働き始める人は、原則として仕事を始めるまでに確認を受けます。一方、施行の時点ですでに学校や保育所などで働いている人は、施行から3年以内に確認すればよいとされています。12月25日を境に全員の確認が一斉に終わるわけではない、という点は覚えておきたいところです。
日ごろの取り組みも求められます
事業者には、性暴力のおそれに早く気づくための子どもへの面談やアンケート、子どもが相談しやすい窓口づくり、働く人への研修なども求められます。被害が疑われるときには調査を行い、子どもの保護や支援につなげます。性暴力のおそれがあると判断した場合は、子どもと接する仕事に就かせないといった対応をとることになっています。
4. 塾・習い事・学童選びで親が確かめたい4つのこと
制度のしくみがわかったところで、保護者として実際にどんなことを確かめればよいのかを整理してみましょう。
- 認定を受けているかを確認する:認定を受けた事業者は、こども家庭庁のウェブサイトで公表されます。認定事業者は、決められた「認定事業者マーク」を広告やウェブサイトなどに表示することもできます。
- 取り組みの内容を聞いてみる:相談窓口があるか、スタッフ研修をしているかなど、気になることは見学や面談のときに尋ねてみてはいかがでしょうか。
- 子どもと1対1になる場面を知っておく:個別指導や更衣、送迎など、大人と子どもが2人きりになる場面があるか、そのときの決まりはあるかを聞いておくと安心です。
- 通い始めてからも子どもの話を聞く:「今日はどうだった?」と様子を聞き、いつもと違うところがないか気にかけておきましょう。
【POINT】マークがない=危ない、ではありません
認定を受けるかどうかは事業者が選ぶもので、要件を満たさない小さな教室は、そもそも認定を受けられないこともあります。マークがないことだけで判断せず、「どんな取り組みをしていますか?」と聞いて、納得できる答えが返ってくるかを大切にしてみてください。反対に、マークがあっても絶対に安全というわけではないので、通い始めてからの見守りも続けましょう。
5. 制度だけでは守りきれない。家庭でできること
犯罪事実確認でわかるのは、有罪が確定した特定性犯罪の前科で、期間にも区切りがあります。前科のない人による加害までは防げないため、制度とあわせて家庭での備えも大切になります。
「大切なところ」を親子で話しておく
文部科学省の「生命の安全教育」の幼児向け教材では、水着で隠れるところと口や顔を「自分だけの大切なところ」とし、ほかの人に見せたり触らせたりしないこと、ほかの人の大切なところも見たり触ったりしないことを伝えています。お風呂や着替えのときなど、日常の中で自然に話してみてはいかがでしょうか。
「いやだ!」と言って逃げ、話していいと伝える
同じ教材では、触られていやな気持ちになったら「いやだ!」と言って逃げ、安心できる大人に話すことをすすめています。相手が知っている大人や先生でも、いやなことはいやと言っていいこと、話してくれたら決して怒らないことを、くり返し伝えておきましょう。
話してくれたときは、まず受け止める
もし子どもが打ち明けてくれたら、驚いても責めたり問い詰めたりせず、「話してくれてありがとう」と受け止めることが大切です。そのうえで、施設や学校、自治体の相談窓口などに早めに相談しましょう。相談先は地域によって異なるため、お住まいの自治体のウェブサイトなどで、あらかじめ確かめておくと心強いはずです。
6. まとめ:日本版DBSを知って、親子で安心できる居場所を選ぼう
最後に、この記事のポイントをおさらいしましょう。
- 日本版DBS(こども性暴力防止法)は2026年12月25日にスタート
- 学校や認可保育所などは義務、塾やスポーツクラブ、学童などは認定を受けた場合に対象
- 性犯罪歴の確認に加え、研修や相談体制など日ごろの取り組みも求められる
- 認定の有無はこども家庭庁の公表やマークで確かめ、取り組みの内容も聞いてみる
- 制度だけに頼らず、「大切なところ」や「いやだと言っていい」ことを家庭でも伝える
新しい制度は、子どもを守るための大きな一歩です。仕組みを知り、気になることは遠慮なく聞いてみる。そして毎日の何気ない会話を大切にする。そんな積み重ねが、子どもにとって安心できる居場所を増やしていくのではないでしょうか。
出典・参考:こども家庭庁「こども性暴力防止法(学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律)」/こども家庭庁「こども性暴力防止法の概要」(PDF)/こども家庭庁「こども性暴力防止法がスタートします」保護者向けリーフレット(PDF)/文部科学省「生命の安全教育」/文部科学省「生命の安全教育 幼児期 教材」(PDF)/名古屋市「こども性暴力防止法について」











