子育て世代に向けた「働く・暮らす」をアップデートするWEBマガジン

RSウイルスワクチンは妊婦なら無料?2026年から定期接種に

2026.10.19

暮らす

RSウイルスワクチンを、妊婦さんが公費で受けられるようになったのをご存じでしょうか。2026年4月1日から、妊娠中に接種して生まれてくる赤ちゃんをRSウイルスから守る「母子免疫ワクチン」が、予防接種法にもとづく定期接種になりました。

RSウイルスは、ほとんどの子どもが2歳までに一度はかかるといわれる身近なウイルスです。ただ、生後まもない赤ちゃんがかかると、肺炎などに重症化することがあります。秋から冬にかけては流行しやすい季節でもあり、出産を控えたご家庭や、上の子がいるご家庭では気になる話題ではないでしょうか。

この記事では、妊婦さん向けRSウイルスワクチンの対象時期や受け方、期待できる効果と副反応、そして家族みんなでできる予防のポイントを、公的機関の情報をもとにわかりやすくまとめました。

この記事はこんな方にオススメ

  • 妊娠中で、RSウイルスワクチンを受けるか迷っている方
  • いつ・どこで・どうやって接種するのか知りたい方
  • 上の子からのうつりが心配で、家庭での予防法を知りたい方

1. RSウイルスワクチンとは?2026年4月から妊婦の定期接種に

妊婦さんが受けるRSウイルスワクチンは「母子免疫ワクチン」と呼ばれます。妊娠中に接種すると、お母さんの体の中でRSウイルスに対する抗体が作られ、その抗体が胎盤を通じておなかの赤ちゃんに移行します。そのため、赤ちゃんは生まれたときから予防効果が期待できるしくみです。

これまでは希望者が全額自己負担で受ける任意接種でしたが、2026年度から定期接種の対象になりました。厚生労働省によると、ワクチンの成分そのものは胎児には移行しないとされています。

妊婦のRSウイルスワクチン定期接種の基本。2026年4月1日開始、対象は妊娠28週0日から36週6日、妊娠ごとに1回、費用は多くの自治体で無料

定期接種で使えるワクチンは1種類

定期接種として妊婦さんに使えるのは、ファイザー社の組換えRSウイルスワクチン「アブリスボ」のみです。RSウイルスワクチンには60歳以上向けのものもありますが、高齢者向けのワクチンは妊婦さんの定期接種には使えません。

2. RSウイルス感染症ってどんな病気?赤ちゃんが注意したい理由

RSウイルス感染症は、乳幼児に多い呼吸器の感染症です。厚生労働省によると、生後1歳までに50%以上、2歳までにほぼ100%の子どもが少なくとも一度は感染するとされています。

多くは軽症、でも約3割は重くなることも

潜伏期間は2〜8日ほどで、発熱や鼻水、せきなど風邪に似た症状から始まります。初めて感染した乳幼児の約7割は数日で軽快しますが、約3割はせきが悪化し、ゼーゼーという喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難が出ることがあります。

生後6か月以内の赤ちゃんは重症化に注意

特に生後6か月以内に初めてかかると、細気管支炎や肺炎に重症化することがあります。1歳以下では、中耳炎や無呼吸発作、急性脳症といった合併症にも注意が必要です。生まれてすぐの時期を守ることが、母子免疫ワクチンのねらいといえるでしょう。

流行は秋〜冬。近年は夏ごろから増えることも

RSウイルスは例年、秋から冬にかけて流行します。ただ、東京都大田区の案内によると、近年は7月ごろから報告数が増え始める傾向があります。出産予定日が流行期と重なりそうな方は、早めに情報を集めておくと安心ではないでしょうか。

3. 定期接種の対象・時期・費用は?

RSウイルスワクチンの定期接種のポイントを表にまとめました。

項目 内容
開始 2026年4月1日から(それより前の接種は任意接種)
対象 接種日の時点で妊娠28週0日〜36週6日の妊婦
回数 妊娠ごとに1回(筋肉内注射)
前回の妊娠で接種済み 今回の妊娠でも対象
費用 自治体によって異なる(名古屋市・目黒区などは無料)
持ち物の例 予診票(届く自治体の場合)、母子健康手帳、本人確認書類

費用について、厚生労働省は「実施期間や費用は自治体によって異なる」としています。名古屋市や東京都目黒区のように無料で受けられる自治体が多いものの、お住まいの市区町村の案内で必ず確認しましょう。また、対象の週数から外れた接種は任意接種となり、助成の対象外(全額自己負担)になる点にも注意が必要です。

4. RSウイルスワクチンを受けるまでの流れと準備

RSウイルスワクチン接種までの4ステップ。自治体の案内を確認、健診で医師に相談、当日の持ち物を準備、接種後は30分ほど様子を見る

ステップ1:自治体の案内を確認する

予診票の届き方は自治体ごとに違います。たとえば目黒区では妊娠届の提出時期に応じて予診票を郵送していますが、名古屋市のように個別の通知や接種券がない自治体もあります。まずはお住まいの市区町村のホームページで、実施医療機関や予約方法を確認してみてはいかがでしょうか。

ステップ2:妊婦健診で医師に相談し、予約する

接種できるのは妊娠28週0日からです。妊娠後期に入る前後の健診で「いつ受けるか」を医師と相談し、余裕をもって予約しておくと安心です。ほかのワクチンとの同時接種は、医師が必要と認めた場合に可能とされています。

ステップ3:当日の持ち物をそろえる

一般的には、予診票(ある場合)、母子健康手帳、本人確認書類を持参します。必要なものは自治体によって少しずつ異なるため、事前に確認しておきましょう。

ステップ4:接種後は30分ほど様子を見る

接種後に気分が悪くなることもあるため、名古屋市は接種後30分程度の観察を案内しています。院内で座って休み、体調に変化がないか確かめてから帰宅しましょう。

里帰り出産の方は「事前の申請」を忘れずに

住んでいる市区町村以外で接種する場合は、事前の手続きが必要になることがあります。たとえば目黒区では、23区外で接種する場合は接種の2週間前までに依頼書の交付申請が必要です。里帰り先で受けたい方は、早めに住所地の自治体へ問い合わせておきましょう。

5. RSウイルスワクチンの効果と副反応、知っておきたい注意点

妊娠週数のタイムライン。接種できるのは妊娠28週0日から36週6日で、出産の14日以上前の接種が目安。重症の下気道感染症の予防効果は生後90日まで約8割、生後180日まで約7割

期待できる効果

厚生労働省が紹介している臨床試験の結果では、赤ちゃんの重症の下気道感染症を、生後90日までで約8割、生後180日までで約7割予防したとされています。医療機関の受診が必要になる下気道感染症については、生後90日まで約6割、180日まで約5割の予防効果でした。

主な副反応

主な副反応は、注射した部位の痛みや腫れ、赤み、頭痛、筋肉痛などです。まれにアナフィラキシーなど強いアレルギー反応が起こることもあります。なお、海外の一部の報告では妊娠高血圧症候群のリスクが高まる可能性が示されましたが、解釈には注意が必要とされ、承認時の臨床試験ではリスクの増加は認められなかったと厚生労働省は説明しています。気になることは遠慮なく医師に相談しましょう。

【POINT】接種は「出産の14日以上前」が目安

ワクチンを接種してから14日以内に生まれた赤ちゃんでは、有効性が確立していません。抗体が赤ちゃんに届くまでには時間がかかるためです。妊娠38週6日までに出産する予定の方や、計画分娩の方は、接種のタイミングを医師とよく相談しましょう。

  • 37.5℃以上の発熱があるときは接種できません
  • 基礎疾患がある方、妊娠高血圧症候群の方などは事前に医師へ相談を
  • 定期接種で健康被害が生じた場合は、国の救済制度があります

6. 家族でできるRSウイルスの予防習慣

ワクチンで赤ちゃんを守る準備をしたら、あわせて家庭での予防も心がけたいところです。RSウイルスは、せきやくしゃみによる飛まつ感染と、ウイルスがついた手や物を介した接触感染で広がります。保育園や幼稚園に通う上の子がいるご家庭では、家族みんなで取り組んでみてはいかがでしょうか。

家族でできるRSウイルスの予防。こまめな手洗い、タオルは分ける、よく触る物を消毒、せきにはマスク。すぐ受診したいサインは呼吸が早い、息苦しそう、顔色が悪い、元気がない

毎日続けたい4つの習慣

  • こまめな手洗い:症状がおさまった後も便にウイルスが残るため、トイレやおむつ替えの後、食事の前にも
  • タオルは家族で分ける:共用を避け、一人ひとり別のものを
  • よく触る物を消毒:おもちゃや手すりなどを、アルコールや塩素系の消毒剤でこまめに
  • せきが出たらマスク:マスクができる年齢の家族が着用し、赤ちゃんに近づくときは特に注意

パパや上の子も「チーム」で守る

赤ちゃんへの感染は、家族を通じて起こることが少なくありません。帰宅したらまず手を洗う、かぜ気味のときは赤ちゃんとの距離を少しとるなど、パパや上の子と一緒にルールを決めておくと続けやすくなります。上の子には「赤ちゃんを守るヒーローになろう」と声をかけると、楽しく取り組めるかもしれませんね。

こんなときは早めに受診を

「呼吸が早い」「息苦しそう」「顔色が悪い」「元気がない」といった様子が見られたら、早めに医療機関を受診しましょう。生後6か月未満の赤ちゃんや、心臓や肺に持病がある子どもは重症化のおそれがあるため、特に注意が必要です。

7. まとめ:RSウイルスワクチンで生まれてくる赤ちゃんを守ろう

最後に、この記事のポイントをおさらいしましょう。

  • 2026年4月1日から、妊婦さん向けRSウイルスワクチンが定期接種になった
  • 対象は接種日時点で妊娠28週0日〜36週6日、妊娠ごとに1回
  • 費用や予診票の届き方は自治体によって異なるので、住んでいる市区町村で確認を
  • 効果を得るには出産の14日以上前の接種が目安。健診で早めに医師へ相談を
  • 手洗い・タオルを分ける・消毒・マスクで、家族みんなで予防を

赤ちゃんを迎える準備は、やることが多くて大変ですよね。ワクチンは「受けなければいけないもの」ではなく、赤ちゃんを守るための選択肢のひとつです。迷ったときは一人で抱え込まず、かかりつけの医師や自治体の窓口に気軽に相談してみてください。家族みんなで、安心して新しい命を迎えられますように。

出典・参考:厚生労働省「RSウイルスワクチン」/厚生労働省「RSウイルス感染症」/名古屋市「RSウイルス母子免疫ワクチン」/目黒区「妊婦を対象にしたRSウイルス母子免疫ワクチン」/大田区「RSウイルス感染症」(いずれも2026年10月15日閲覧)

ペン先イラストこの記事を書いた人

hauska編集部

hauska編集部

こんな記事も読まれていますMore articles