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うちの子、もしかして依存…?YouTubeの影響と没入防止の4つの方法
2023.06.30
子どもはYouTubeが大好きです。画面を見ている間はおとなしくしているので、ついつい長時間見せつづけて、後悔してしまう親御さんも多いのではないでしょうか。
YouTubeが子どもに与える悪影響や、没入しすぎないためにできる方法を4つ解説します。さらに、子どもの能力を伸ばすためにYouTubeを活用するアイディアも紹介します。
この記事はこんな方にオススメ
- 子どもについYouTubeを見せつづけてしまう人
- YouTubeが子どもに与える影響について知りたい人
- YouTubeをうまく活用して子どもの能力開発につなげたい人
もくじ
1.子どもがYouTubeに夢中になる理由とは?
まずはなぜ子どもがYouTubeに夢中になってしまうのでしょうか? その理由を4つ紹介します。
1.1 刺激の強い映像や音楽で興味を引き付けるから
まずは視覚的・聴覚的な刺激が強いという点が挙げられます。
カラフルな色使いや細かな動きの映像が続くため、子どもの視線を集めやすいです。また、派手な音楽や効果音、感情に訴えかける発信者の声も子どもの関心を惹きつけます。
1つ1つの動画が短いことも、飽きやすい子どもの性分と合致しています。集中力がまだ十分でなく、テレビのアニメを最後まで見られなくても、数分程度のYouTubeコンテンツなら全部見られるという子も多いでしょう。
画面の前にいるだけで、何もしなくても楽しい世界が次々と繰り広げられます。にぎやかな演出で、言葉があまりわからない成長段階の子どもでも、つい目と耳を奪われてしまうのです。
1.2 好きなコンテンツだけずっと見ていられるから
YouTubeには幼児向けのコンテンツも少なくありません。
まずは大好きなおもちゃの開封動画や魅力的なキャラクターのアニメーションが、子どもをとりこにします。日常生活でも見かけるものが画面の中に登場するので、関心が強くなります。幼児期になると、YouTubeをきっかけに、おもちゃやキャラクター商品を欲しがる子も多いでしょう。
言葉を発するようになると、子ども自身もキーワード検索ができるようになります。放映タイミングが制限されるテレビとは異なり、YouTubeはユーザーの関心のあるコンテンツをどんどん提案してくる仕組みです。そのため、際限なく見つづけてしまうことにつながります。
1.3 友達との共通の話題になるから
ある程度成長して子ども同士で会話できるようになると、YouTubeコンテンツが友達との話題の一つになります。身近な人と話題を共有できるので、YouTubはより「楽しいもの」と感じられるかもしれません。
「モバイル社会研究所」の2021年の調査結果を紹介しましょう。小学生でも「毎日2時間以上Youtubeを見ている」と回答した子が2割ほどいました。中学生になるとこの数が3割以上に増えます。小学生では「毎日2時間以上テレビを視聴する人の割合」との差は3ポイントでしたが、中学生ではテレビを見る人が減り、YouTubeを見る人の割合のほうが13ポイント多いという結果となりました。
友達が盛り上がっているYouTuberやコンテンツを知らないと「乗り遅れているようで不安」と感じる子がいるかもしれません。
1.4 大人が見せつづけるから
大人にとってYouTubeは、子どもが画面の前でしばらくおとなしくしてくれる便利な道具です。家事などの作業を進めたいときや人目の気になる公共の空間で、自分や人の邪魔をするよりは…とつい見せてしまう人も多いでしょう。
コンテンツによっては語彙や知識を広げる学習的効果を期待することもあります。
しかしこれまでに説明したようなポイントを総合すると、いったんYouTubeにハマってしまうと、子ども自身ではなかなかやめるタイミングがわかりません。
したがってできるだけ早い段階で大人が子どもと一緒に話し合ってルールを設け、管理をする必要があります。
2.これってYouTube依存…? 子どもの気になる言動
子どもの言動から「うちの子ってYouTube依存では…?」と感じたことはありませんか。ここからは気をつけたい子どもの言動を4つ紹介します。
2.1 見る時間が増えつづける
まずは「YouTubeの視聴時間がどんどん増えつづける」という点です。
放っておくと宿題をやる時間を忘れたり、食事や入浴の時間を割いてでも画面に執着したりする傾向が見られないでしょうか。
自分でも時間経過の感覚をすっかり忘れ、気づいたら何時間もたっていた…という状況に陥りがちです。
2.2 YouTube以外のことに無関心になる
YouTubeのほかに外遊びや室内遊びにも意欲的であれば、まだあまり気にならないかもしれません。
しかし動画に夢中になるあまり、他の遊びよりも優先したがるようであれば要注意です。親や友達が他の遊びに誘っても断る、あるいは反応が薄い、なくなるというのであれば依存状態の始まりを疑いましょう。
2.3 家族や友人など、対面コミュニケーションがおろそかになる
また「対面コミュニケーションがおろそかになる」という態度が見え始めるのも危険信号です。
近くで話しかけたときに、振り向いたり耳を傾けたりする様子がないのは腹立たしいものですよね。それどころか、視聴中は自分の世界に入ってしまい、周囲で起こっていることにまったく気づかなくなるというケースもあります。
実際に対面でしゃべっていても、「YouTubeコンテンツのことばかりを話したがる」「それ以外の話題へのリアクションが明らかに悪い」などであれば、YouTubeと距離を置くように指導しましょう。
2.4 食欲がなくなったり、生活リズムが乱れることも
最悪の場合、食欲がなくなったり、寝つきや寝起きが悪くなったりするなど、生活習慣に悪影響を及ぼす場合があります。
視聴が終わった夜になかなか寝付けない、眠りが浅くてすぐ起きる、ということはありませんか。
あるいは動画を見る時間に充てるため、食事を摂りたがらない、大量に残してしまう、異様に早食いする、というのも依存のサインかもしれません。
3.YouTubeの見すぎが子どもにもたらす悪影響
実際にYouTubeを見すぎることで、子どもにはどのような悪影響があるのでしょうか。
3.1 睡眠不足や食欲不振などの健康上の問題
まずは睡眠不足や食欲不振など「健康上の問題」を引き起こす可能性があります。
遅い時間まで動画を視聴することで、子どもの睡眠時間が減ってしまいます。あるいは長時間の視覚や聴覚への刺激によって、睡眠の質が低下するかもしれません。成長や発達のために十分な睡眠が必要な年代に、睡眠不足に陥るのは大きなリスクでしょう。
食事を要らないと言い始めたり、残しがちになってしまったりするのも問題です。
さらに画面の前でじっとしているため、運動の機会が奪われるという面もあります。
画面からの光で眼への負担が続くのも忘れてはなりません。未発達の眼にブルーライトなどが影響して、眼精疲労をもたらすことがあります。
3.2 ストレス、暴力・攻撃性が増すなどの情緒上の問題
2つ目はストレス、暴力や攻撃性が増すなどの「情緒上の問題」です。
刺激の強い映像が際限なく続くため、それだけで自覚なくストレスを溜めてしまうおそれがあります。脳内で処理すべき情報が多い状態がずっと続くのは、大人にとってもストレスですよね。
コンテンツによって暴力的、攻撃的な表現を含むものもあります。「面白そうだった」というだけで意味もわからず真似したり、不適切な表現への違和感や抵抗感が減ってしまうかもしれません。
さらに、世界中にあふれる子ども向け動画の中には、「エルサゲート」と呼ばれる悪意のあるコンテンツが紛れていることがあります。「幼い子どもを対象に、暴力やグロテスクなシーンを見せて恐怖心を植え付ける」という、明確な悪意を持って制作された動画です。
子どもはまだ適切な内容を取捨できません。コンテンツが情緒に及ぼす悪影響には、保護者が細心の注意を払う必要があるでしょう。
3.3 発語が遅れたり語彙が広がらないなどの発達上の問題
3つ目は、発語が遅れたり語彙が広がらないなどの「発達上の問題」です。
YouTubeの視聴はどうしても受動的になるため、子どもがみずから言葉を発する機会を奪ってしまう可能性があります。
子ども向け動画であっても、登場人物の話のスピードが早すぎたり、語彙が偏っているものがあったりします。対面コミュニケーションや、教育コンテンツで得られる情報と比較すると、子どもにとって適切な言語環境であるとは言い難いのが事実です。
さらに、YouTubeには子どもにとって教育的意義の大きなコンテンツも多く存在しますが、子ども自身は気に入ったものを何度でも繰り返し見ようとします。結果的に、そうした多様な表現に触れる時間が狭まってしまうことがあるでしょう。
3.4 学習能力の低下や注意力散漫などの学業上の問題
最後は、学習能力の低下や注意力散漫などの「学業上の問題」です。
YouTube視聴で受動的に情報を受け取るだけという環境に慣れてしまうと、子どもは自主的に興味を持って学習に取り組むことを億劫に感じ始めるかもしれません。
エンターテインメント性が高いのでハマってしまうと厄介です。続きが気になったり、勉強中もシーンを思い出したりして、目の前のことが手につきにくくなる子もいるでしょう。
結果的に注意力が散漫になり、学業成績やモチベーションを低下させてしまうおそれもあります。
4.子どものYouTube依存を防止する4つの方法
子どもがYouTubeに依存するのを防止するためには、以下の4つの方法があります。組み合わせて取り入れてみてください。
4.1 時間や目的などのルールを一緒に決めて守らせる
視聴ルールは必要ですが、保護者の都合で一方的に決めるのは得策とはいえません。子どもと一緒に話し合って、1日で見てもいい最大時間や、1回あたりの連続時間を決めましょう。
希望を聞きながら決めていき、最終的に決めたことを紙などに書いて見えるところに貼り出しておくとわかりやすいですね。
ちなみに1日に見る時間の上限について、日本小児医会は「すべてのメディアとの接触は1日2時間までを目安に」と提言しています。同団体の「スマホに子守りをさせないで」というポスターは「現代の育児状況にそぐわない」と賛否を巻き起こしました。メディアとの付き合い方については、現場の保護者からはいろいろな意見があるでしょう。
ひとまず「1日2時間」を1つの基準としてみてはいかがでしょうか。以下のポイントを例に、各家庭に合ったルール作りの参考にしてください。
子どもと決めるYouTube視聴ルールの一例
・平日は1日1時間半、休日は1日2時間まで
・1回で最大30分間まで、間で5分程度の休憩を入れる
・夜7時以降は見ない
・食事と睡眠の時間を削らない
・宿題、着替え、部屋の片付けが全部終わってから
・画面を目から30センチメートル以上離して見る
・見てもいいかわからない動画が出てきたら、親に相談する
4.2 保護者が一緒に見て楽しむ時間を設ける
次は「保護者が一緒に見て楽しむ時間を設ける」という点です。
コンテンツに関心がないからといって放置すると、子どもはますます自分と動画だけの世界に閉じこもってしまいます。
直接子どもに目や手がかけられない時間が多くても、声かけによって「YouTubeを楽しんでいるあなたをちゃんと見ている」というサインを送ることができます。その他の時間で子どもにしっかり向き合い、フォローしましょう。
時には一緒に視聴して「好きなキャラクターやシーン」や「どういう点が面白いか」を聞き出してみてはいかがでしょうか。
また、普段の生活でも話題にするのがおすすめです。子どもを放置するためではなく「知識を広げるきっかけの一つとして与えている」ということを伝えるのも重要です。
4.3 タイマーやペアレンタル・コントロール機能を活用する
タブレットなどにある機能を活用して、物理的に没入することを阻止しましょう。
保護者が子どものインターネット利用環境を整えることを「ペアレンタル・コントロール」といい、端末を提供する各社は、そのための機能を搭載しています。
例えば以下のような制御機能がありますので、使い方などを調べてみることをおすすめします。
端末で視聴時間などを制御できる「ペアレンタル・コントロール」機能
・IPhoneやiPadなど…「スクリーンタイム」
・Android…「Digital Wellbeing(デジタルウェルビーイング)」
また、設定方法がよく分からない場合は、時計のアラーム機能やキッチンタイマーなどを使っても良いでしょう。まだ時計が読めない子にも分かりやすい方法で、「制限時間内で楽しむ」ことを習慣づけるのがポイントです。
4.4 他の趣味を見つける
根本的な対策としては「他の趣味を見つける」ということがあります。
外遊びやおもちゃ遊びのほか、成長段階に応じて、絵や工作、ダンス、料理やお菓子作り、楽器演奏、ボードゲーム、パズルなどに誘ってあれこれ挑戦させてみましょう。
YouTubeよりも楽しめるものを一緒に見つけて、得意なことを伸ばしてあげるのが最も健康的な対処法といえます。
5.YouTubeを活用して子どもの可能性を広げる3つのアイデア
YouTubeは正しく活用すれば子どもの可能性を広げてくれる便利なアイテムです。むやみに禁止するのではなく、生活にうまく取り入れる方法を研究してみましょう。
5.1 外国語などの学習コンテンツに触れさせる
世界中で発信されているYouTubeは、外国語に触れさせるのにはうってつけです。
家や園、学校での生活から日本語を学ぶのと平行して、幼いうちから外国語にもなれ親しむことができます。
海外の子ども向けアニメは比較的安心して見せられるコンテンツです。例えば日本の教育系チャンネルでも放映されている「おさるのジョージ」や「ペッパピッグ」などの作品がおすすめです。オリジナル言語で見てみてはいかがでしょうか。
物語を通じて外国語や社会について学べるだけでなく、日本とは異なる文化を知るのにもいい機会になります。
5.2 ダンスなど身体を動かすアクティビティに役立てる
YouTubeというと「受動的に見るだけのもので、姿勢や視力が悪くなる」というイメージが強いかもしれません。しかしダンスや身体を動かすアクティビティに活用すると、子どもの心身の健康に役立ちます。
一緒に身体を動かすようにすると、大人の運動不足にも一役買って一石二鳥ですね。
ぜひ楽しいコンテンツを見つけて、一緒にチャレンジしてみてください。
5.3 クリエイティブな活動の参考にする
ダンスと同様、工作や実験、楽器演奏、お出かけなどのコンテンツを参考にして実際に行動に移すと、ただ「依存している」状態からは抜け出せるかもしれません。
あくまでも現実で身体や手足を動かすことが優先で「YouTubeは補助的に使うもの」と教えるのがポイントです。
さらに、子どもが憧れるキャラクターやクリエイターに応援メッセージを送ってみたり、イベントを通じて交流したりするなど、画面の中と外との現実世界とつなげるチャンスを作るのも一案です。
子どもの創造性を伸ばすため、保護者がYouTubeを「見るだけ」の世界で終わらせないきっかけを提供してみてはいかがでしょうか。
6.YouTube視聴にはルールを設け、時には活用して子どもと関わろう
現在の親世代が子どもの頃は、テレビやゲームが子どもを夢中にさせる「新しい娯楽」でした。つい没頭して頭ごなしに叱られたり、衝突したりした記憶がある人もいるのではないでしょうか。
保護者世代はいつの時代も、子どもを魅了する未知のものを警戒します。子どもはシンプルに楽しいと感じたことをどんどん取り入れて、新しい文化を作っていきます。
とはいえ、視力や睡眠時間など、健康を害するような状況を見過ごすのはNGです。画面とは適度な距離を保って接するようにし、時には一緒に見て楽しむことが、最良の付き合い方といえそうです。
よく話し合ってうまく取り入れ、親子でYouTubeのある生活を楽しみましょう。
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この記事を書いた人
hauska編集部
料理、美容、ガジェット好き。最近はインテリアとQOL関連アイテムへの興味関心が爆上がり中。働くパパ・ママに向けて、生活の質の向上、楽しい子育て、仕事もプライベートも充実させるための情報など幅広く発信します。ライフハックに気軽に取り組んでいただければ幸いです。