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子育てに必要な月収は?育児にかかるお金や平均貯蓄額を調査
2023.02.28
子育てをするうえで、お金にまつわる悩みは尽きません。
「他の子育て世帯に比べて、我が家の手取り月収は少ない?」「うちの月収で、余裕を持って子育てはできる?」と悩んでいませんか。
本記事では、子育てにかかる毎月の費用や、子育て世帯が目指すべき月収・年収の目安、そして平均月収や平均貯蓄額について解説しています。
月収を増やす方法も具体的に紹介しているので、育児にかかるお金について不安のある方はぜひ参考にしてください。
この記事はこんな方にオススメ
- 子育てにかかる費用を知りたい
- 今の収入で育児ができるか不安
- 周りはどの程度の収入や貯蓄で育児をしているのか知りたい
1 子育てにかかる費用は?
まずは、子育てをするうえでかかる費用の平均値を見てみましょう。
1.1 未就学児の子育て費用は6万円程度
明治安田生命保険が2021年に発表したアンケート調査によると、未就学児を育てている世帯の養育費は月平均で36,794円です。また、子ども用の貯蓄額は、平均して月に22,605円でした。
二つの費用を合わせると、子どものために月6万円程度を使っていることが分かります。
つまり、第一子の誕生後は、夫婦2人のころにかかっていた生活費にプラスして6万円程度を用意する必要があると分かります。
1.2 未就学児1人の世帯で必要な手取り月収は30万円前後から
夫婦2人のころにかかる生活費は、平均してどの程度なのでしょうか。
総務省による2021年の「家計調査」によると、家賃を除く2人暮らしの1カ月の生活費は平均約15万円です。
つまり、第一子の誕生後に最低限必要な月のお金は、子育て費用6万円と生活費15万円に家賃を合計した額ということです。
家賃は、地域や間取りにもよって大きく変動しますが、おおよそ7万円から30万円程度が一般的です。
すべてを合計すると、未就学児の子どもが1人いる世帯に必要な月のお金は、およそ28万円から50万円程度です。
1.3 小学生以降の子育て費用は?
では、子どもが小学生になってからは、この額に加えてさらにどの程度の追加費用が発生するのでしょうか。
下の図は、内閣府の発表している「子どものいる世帯の年齢層別消費支出」をもとに、追加費用をまとめたものです。
年齢 | 未就学児のころに追加でかかる費用 | 月の子育て費用目安 |
小学生 | 約8,000円 | 約6万8000円 |
中学生 | 約3万3000円 | 約9万3000円 |
高校生 | 約7万円 | 約13万円 |
高校卒業以降 | 約10万円 | 約16万円 |
子育て費用は、子どもの年齢が上がるごとに高くなっていくことが分かります。
目安として、進学するごとにおよそ3万円ずつ追加費用がプラスされると考えましょう。
1.4 0歳〜22歳までにかかる費用合計
それでは、子ども1人が生まれてから大学を卒業するまでにかかる教育費と養育費の合計を見てみましょう。
内閣府と独立行政法人日本学生支援機構の調査によると、小学校から大学まですべて公立校に通った場合に平均してかかる子育て費用は約2,700万円です。
一方、すべて私立校に通った場合は、4,000万円程度かかります。
進学のために1人暮らしをする場合、仕送りや家賃、光熱費などの費用がさらにかかるため、その費用も考慮しましょう!
一見するとかなり高額に見えますが、この額を一気に支払うわけではありませんから、過度の心配は不要です。
特にお金がかかる大学などの進学前に向けて、少しずつ貯金を進めていきましょう。
2 子育てに必要な年収の目安は?
では、子育てに必要な年収の目安を見ていきましょう。
先ほどまででお伝えした育児に必要な月収のデータをもとに、各ご家庭の子どもの数ごとに必要な年収について解説します。
2.1 まず目指したいのは、世帯年収500万円
初めて子どもを迎える夫婦がまず目指したいのは、世帯年収500万円のラインです。
というのも、世帯年収が500万円程度あれば、月に使えるお金はおおよそ30万円強で、先ほどお伝えした月の費用をまかなえるからです。
ただし、家賃の高い地域に住んでいる場合や、教育にこだわりを持ちたいなどの事情がある場合は、500万円では足りなくなってしまうケースもあります。
また、子どもが小学校や中学校に上がるごとに子育て費用は上がっていきます。進学のたび、世帯年収を上げられるかどうかよく検討しましょう。
2.2 子どもが2人いる場合の目安は約570万円
また、未就学児の子どもが2人いる場合、目指したい年収の目安は570万円です。
未就学児の子育てにかかる費用は月に6万円ですから、年間でいうと72万円。ですから、570万円程度の年収があれば、2人目の育児にも対応ができるでしょう。
調査によると、夫婦が持つ子どもの数は、最多が2人で50.8パーセントです。
続いて1人が19.7パーセント、3人は18.6パーセント、4人以上は3.2パーセント。
72.6パーセントの家庭は子どもを2人以上持っていることが分かります。
つまり、子育て世帯のほぼ4分の3は、年収570万円以上を目指す必要があるといえます。
2.3 家賃の補助がある場合は、世帯年収が低くてもよい場合も
ただし、上記の費用は家賃支払いを考慮した世帯年収です。
社宅や実家に暮らしていたり、持ち家でローン返済額が通常よりも低かったりするなどの事情があり家賃の額が低い場合は、世帯年収が500万円より低くても問題がないケースもあります。
ただし、子育てをするうえで必要になる年収はご家庭によってそれぞれです。
不安がある場合はFPなどの専門家に相談し、収入と支出のベストなバランスを検討しましょう。
また、上記でお伝えした年収額は、世帯での貯蓄などを一切考慮していない収入です。
突然の出費に対応するためにも、まとまった額の貯蓄は欠かせません。できる限り、収入は増やしていくようにしましょう。
2.4 理想の世帯年収は約1,000万円
明治安田生命保険が2018年に発表したアンケート調査によると、子育て世帯が理想とする世帯年収は約1,000万円です。
世帯年収が1,000万円以上の世帯は日本の上位12.1パーセントと、誰もが達成できる年収額とはいえません。
世帯年収が1,000万円あれば、教育や貯蓄にある程度の余裕を持って資産を投入できそうですから、目指してみる価値はあるといえます。
3 子育て世帯の平均月収や貯蓄額は?
実際の子育て世帯は、どの程度のお金を用意して子育てにあたっているのでしょうか。ここからは、平均的な子育て世帯の月収や貯蓄額について見ていきます。
3.1 子育て世帯の平均月収は手取り約68万円
厚生労働省の「2021(令和3)年国民生活基礎調査の概況」によると、2020(令和2)年、子育て世帯の平均年収(自営業の場合は所得)は年間813万5,000円で、中央値は722万円です。
このため、ボーナスなどを考慮せず単純に12カ月で割った場合、手取り額は平均で約68万円(中央値では60万円)です。
別の調査によれば、夫婦での内訳は、夫が平均620万円程度、妻が平均160万円程度。夫が大黒柱となり、妻がパートや時短勤務などで生活費を支えている夫婦像が平均的であると分かります。
配偶者控除および配偶者特別控除の改正の影響もあり、子育て世帯の所得は年々上がりつづけています。
3.2 子育て世帯の平均貯蓄額は723.8万円
また、月収に加えて気になるのが貯蓄額です。
厚生労働省の「2019(平成31)年国民生活基礎調査の概況」によると、子どものいる世帯の平均貯蓄額は723.8万円です。
ただし、貯蓄額は家庭によって大きく異なります。
下の図は、上の調査をもとに子どものいる世帯の貯蓄額についてまとめたものです。
貯蓄額 | 割合 |
ゼロ/額不明 | 20.9% |
1円〜99万円 | 9.2% |
100万円程度から500万円 | 30.3% |
500万円から1500万円 | 27.4% |
それ以上 | 12.3% |
多くの家庭は、100万円から500万円、もしくは500万円から1500万円以内の範囲で貯蓄を用意していることが分かります。
3.3 貯蓄額はどの程度を用意するのがよい?
一般的に子育て世帯は、子ども1人あたり500万円を貯蓄しておくとよいといわれています。というのも、私立大学の学費平均額が4年間で約469万円のため、500万円があれば進学に余裕を持って対応できるからです。
関連記事:子育て世代の平均貯金額はいくらぐらい?子育てにかかるお金や貯金のポイントを解説
4 月収を増やす方法6選
月収や貯蓄額が足りない場合、月の余裕資金を増やす手立てを考えるのも一つの手です。ここでは、月収を増やす方法を6つご紹介します。
4.1 転職する
会社員やパートとして働いている場合、給与水準の高い業界や企業に転職することで年収を上げられる可能性があります。
ただし、転職は少なからずリスクをともなうもの。家族や専門家とよく相談をしながら、無理のない転職活動を進めましょう。
4.2 投資を始める
収入に余裕のある場合は、株式投資や投資信託といった手法で資産を形成することも検討してみましょう。
近年ではiDeCoやNISAといった初心者でも気軽に投資を始められる制度も一般的になっており、投資のハードルは以前よりも下がってきています。
投資は収入に余裕がある場合にのみ始めることをおすすめします。
ほとんどの投資には元本割れのリスクがあり、また、iDeCoに関しては、60歳になるまでは原則として掛金や運用益を引き出すことはできないからです。
闇雲に投資を重ね、資産形成が生活を圧迫することのないよう、家計にとってちょうどいい額の投資額を把握するところから始めましょう。
4.3 副業を始める
転職や投資よりも、副業は低いハードルで始められます。
現在は、ポイントサイト、アンケートモニターといった、アプリで気軽に始められる副業も数多く存在します。
また、動画配信やハンドメイド作品の販売、クラウドソーシングサービスなどで、自分の持つスキルをお金に変えることも検討してみましょう。
記事の最初でお伝えしたように、子どもの進学のたび、子育て費用は月に3万円程度増えていきます。
副業は、月に3万円程度の増収を狙うのにも向いています。
4.4 節約する
使うお金を減らすのも、月の余裕資金を増やすことにつながります。
お金について勉強をしたり、FPに相談したりするなどして家計の無駄を減らすだけでも、貯蓄や育児に回せるお金が増えるかもしれません。
闇雲に使うお金を削るのでは疲れてしまいます。
家計を客観的に把握したうえで、無理のない節約を心がけましょう。
4.5 国や自治体の補助金を活用する
児童手当や育児休業給付金はもちろんのこと、政府から臨時で支給される支援金や給付金についてもこまめにニュースをチェックしましょう。
また、各自治体では、子ども医療費助成や、支援金や給付金、クーポン配布など、独自の支援制度が用意されていることがほとんどです。
自治体が用意する支援金や給付金は、申請がなければ受け取れないことも多いため、ホームページや役所からの広報にはよく目を通しましょう。
4.6 子育て支援の手厚い自治体に引っす
子育て支援の手厚い自治体に引っ越すことで、子育てにかかる費用負担を減らせる可能性があります。
たとえば、「共働き子育てしやすい街ランキング」で2021年の1位を獲得している千葉県松戸市には、子育て世帯にとって魅力的な支援が数多く用意されています。
一例をあげると、
- 幼児同乗用自転車などの購入支援・助成
- 不妊治療などの支援・助成
- 子育て世帯の住宅取得費用の一部を補助
- JR通勤定期券の割引
- 待機児童ゼロ
などです。
子育て支援の手厚い自治体は、周囲にも子育て世帯が多く住んでいます。
このため、孤独さを感じづらい、教育や専門機関の選択肢が多くなるなどのメリットもあります。
5 まとめ
子育てにかかる費用は、子どもの年齢や人数によってさまざまです。
目安としては、夫婦2人での暮らしにプラスして、子ども1人につき月ごとに、成長に応じておよそ6万円から16万円が追加になると考えておきましょう。
ただし、長引く不況もあり、今後子育て費用は増加していくことも見込まれます。
月収に不安がある場合は、投資や副業といった増収方法を検討することも一つの手です。
育児には、お金にまつわる悩みがつきものです。闇雲に節約を重ねるのではなく、きちんとデータを調べて、それぞれのご家庭に必要なお金を用意することを心がけましょう。
この記事を書いた人
hauska編集部
料理、美容、ガジェット好き。最近はインテリアとQOL関連アイテムへの興味関心が爆上がり中。働くパパ・ママに向けて、生活の質の向上、楽しい子育て、仕事もプライベートも充実させるための情報など幅広く発信します。ライフハックに気軽に取り組んでいただければ幸いです。