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男性が育休を取るときの伝え方は? 相手別に解説、やることリストも

2023.05.19

働 く

日本では男性が育児休業を取得しやすいよう、法整備や啓発活動が進んでいます。ところが厚生労働省の調査では、2021年(令和3)年度の育休取得率は、女性85%に対して男性が約14%という結果に。申請を受け入れる企業側にも、父親個人にもまだまだ高いハードルとなっているのが実情です。

この記事では、スムーズに育休を取りたいプレパパ向けに、家族や職場への育休の伝え方を紹介します。

参考:育児・介護休業法の改正について ~男性の育児休業取得促進等~」(厚生労働省 雇用環境・均等局 職業生活両立課)

この記事はこんな方にオススメ

  • 男性から、育休を取ることを妻や職場へ伝える時期やポイントを知りたい
  • 育休取得に向けて具体的な計画を立てたい
  • 育休取得へ向けて夫に具体的に動いてもらいたい

1.男性の育休って?

日本の「育児休業」は、以下のような特徴を持つ制度です。

  • 男女不問で子どもが1歳になるまで育児のために勤務先を休業できる
  • 妻が専業主婦、産休・育休中、でも取得できる
  • 期間中は給与に代わり国から「手取りの最大8割」の給付金がある

またこれとは別に、父母が共に育休を取得すると1年2カ月まで延長できる制度や、父が出産後8週間以内に合計4週間取得できる制度もあります。

従業員数1,000人以上の大企業へ男性の育休取得率公表を義務付けるなど、政府も男性が育休を取得しやすいムードになるよう、企業へ働きかけています。

参考:厚生労働省「イクメンプロジェクト

 

2.男性が育休を取るメリットとは

それでは男性が育休を取る4つのメリットを紹介します。

 

2.1 子どもが成長する現場に立ち会える

まずは何といっても「子どもが成長する現場に立ち会える」ということです。日々変化するわが子の言動を間近で見守ることは、これまでに経験したことのない喜びとなるでしょう。

わが子が初めて笑う、しゃべる、座る、歩く、「パパ」と呼んでくれる…その瞬間は何ものにも代えがたい価値があります。育休が明けて復帰した後も、日々を乗り切る原動力になります。

 

2.2 家族との絆を深められる

子どもを授かったら、夫婦はチームと考えてください。

チームの信頼感を高めるのに最も有効なのは、「子どもを育てる」という共通目標を達成する困難や喜びを、妻と同じ目線で共有することです。

また、出産による身体への負担は全治数カ月の交通事故並みといわれることがあります。その状態で妻は、昼夜なく授乳をするハードな生活に突入します。夫が早い段階で手を差し伸べることで、いわゆる「産後クライシス」と呼ばれる夫婦仲悪化を食い止められるかもしれません。

そして乳幼児期から子どもに積極的に顔を見せ、声かけすることで、子ども自身が「安心して甘えられる大人」と認識してくれるのも、家族全員にとって大きなメリットです。

 

2.3 自分のキャリアを見つめる機会になる

目先の業務から一定期間離れると、現在の仕事や職場について、どこが好きでどこが嫌いなのか、何が向いていて何が不得意なのかがはっきりと見えてくるかもしれません。

「限りある時間をどう使うか」を意識するようになり、「大切なものの優先順位が変わる」「働き方を根本から問い直す」といった価値観の変化を体験する人も多いでしょう。

また、育児に慣れ、比較的育てやすいタイプの子だった場合、情報収集やスキル習得などのキャリアアップに時間を使えるケースもあります。ただしそれはとてもラッキーなことなので、過大な期待は禁物です。

 

2.4 仕事に活かせる新たな視点を得られる

育児が「仕事に活かせる」という点も忘れてはなりません。育休は「休み」ではなく、「働く人が新たな価値観を知る社会経験」であると考えられます。

乳児連れというだけで入りにくい場所が多いことに驚くはずです。立場が異なる人々の課題を身をもって知ったり、社会や組織の改善点が見えたりするでしょう。

また、子どもの純粋な言動が仕事のヒントにつながることも。特に営業、人事、企画など、コミュニケーションやアイデアが重要な職種では、業務に直接つながる気づきがあるかもしれません。

さらに勤務先が「育休を取りやすい企業」を目指しているのであれば、社内評価が高まることもあります。

 

3.相手別・育休取得の伝え方①妻に伝える

次に育休を取る意思の伝え方について説明します。まずは妻編。ポイントや例文を参考にしてみてください。

 

3.1 妻の生活にどのような影響を与えるか予測を立てる

妻に伝える前に、以下のポイントをすり合わせておく必要があります。

【POINT】
  • 妻のキャリアプラン:職場復帰希望時期や、今後想定している働き方
  • 出産プラン:里帰りの有無やその期間
  • 子どもの預け先:保育園か幼稚園か、いつ入れるか
  • 兄弟がいる場合:産後の預け先の有無 など

 

例えばこんな共働き夫婦を考えてみてください。

妻は本来早めの職場復帰を希望していましたが、第一子が早まれで希望の認可保育園へ入れるのは翌年4月・1歳2カ月の頃の見込みです。妻は「延長で1年2カ月の育休を取り、里帰り出産後2カ月は地元で、その後は自宅で1年間育児する」と考えています。

ここで夫が「生後8カ月から6カ月間は自分が育休を取る」と提案すると、妻に「1年以内に職場復帰」という選択肢が増えます。また、夫が保育園の慣らし保育期間に対応できます。

夫婦で一緒に産後の生活をイメージして、産後の計画を立ててみてください。

 

3.2 妻の体調や状況を考慮して相談するタイミングを決める

妊娠中の妻に伝える場合は、体調にも配慮する必要があります。初期~前期のつわりや流産のみならず、安定期後にも切迫早産や妊娠高血圧症候群など、妊婦本人にも予測できないリスクがあります。

「体調や気分はどう?」とこまめに声をかけ、コンディションの悪くないタイミングで相談してみましょう。

ただし、いきなり育休取得の相談をする前に、家事に協力する姿勢を段階的に見せて信頼を得ておくのが理想的です。「妻の指示なしで2人分の家事ができる能力を身につけておく」、「妊娠期から仕事を調整し在宅時間を増やす」などが有効でしょう。

 

3.3 取得する目的や、家族全体のメリットを説明する

妻の手間だけが増える「取るだけ育休」は絶対に避けなければなりません。実際、2022年のママ向けアプリ会社の調査では、「育休を取った男性の約3人に1人が、家事・育児時間が2時間以下だった」ことが明らかになっています。

妻が安心できるよう、自分が育休を取得する目的や家族全体のメリットを説明してください。

育休の目的は、相手が誰であってもすぐに伝えられるようにしておくのがおすすめです。先述の「男性が育休を取るメリット」を手がかりに、なぜ育休を取りたいのか、自分が家庭にどう貢献できるかを整理してみてはいかがでしょうか。

 

3.4 妻が不安に感じる点や気になる点があれば、解決策を話し合う

妻が気にしている点を洗い出して、一緒に話し合ってみてください。

1日のスケジュールや家事・育児の担当範囲については誤解が生まれないよう図やリスト形式でメモを取って、貼り出したりデータ共有したりしましょう。

また、育休終了後についても盛り込んでおくと良いでしょう。

【POINT】妻への伝え方の例

「子どもが生まれたら、私も育休を取得したい」と思っている。期間は〇月~〇月の〇カ月間を目安に、あなたの意見も聞いて決めていけたら。

育休中は毎日、掃除、食事準備、ミルク・おむつ替えなどを自主的にやる。できることを増やして、あなたの負担を減らしたい。

 

育休終了後も、登園準備や送迎、寝かしつけなどやっていきたい。と妻へのサポート精神を伝えましょう。

 

4.相手別・育休取得の伝え方②上司や職場のメンバーに伝える

続いて職場への伝え方です。タイミングや要点について確認しておきましょう。

 

4.1 上司・会社へはいつ伝える?

上司に伝える時期は、出産予定日が分かってからなるべく早めが良いでしょう。

ただし妊娠・出産は予定通りに進まないこともあるため、前倒しや万が一の可能性も覚悟し、その点も上司と共有して慎重に相談しましょう。

また、伝える前に会社の制度や前例について調べておくのがおすすめです。「上司自身が制度をよく知らないために渋る」ということもよく起こります。

総務や人事には女性向けに資料がまとめられているかもしれません。男女問わず育休経験者がいるなら、どのように進めたかを聞いてみても良いですね。

なお、育休取得申請の手続きは休業開始日の1カ月前になるため、期限に注意が必要です。

 

4.2 上司に相談する

直属の上司へ相談する際のポイントは3点です。

  1. 目的を理解してもらうこと
  2. 期間中の過ごし方
  3. 引き継ぎの進め方」です。

上司が育児経験があまりない場合は「男が育休を取ってもやることがない」と考えるかもしれません。「妻も早く職場復帰したい」「親族は頼れない」など、家庭の状況も真摯に伝えてください。

また、PCや電話での業務対応や、資格の勉強時間があると思われることも多いです。あくまでも育児のための期間であると強調しましょう。

そして担当業務は早めに洗い出して引き継ぎの準備をしておきます。子どもを寝かせている時に会社からの電話が鳴るようでは本末転倒です。上司と一緒に、余裕を持った引き継ぎスケジュールを立てましょう。

 

4.3 メールや面談など関係性に適した方法を選ぶ

職場の風土や上司との関係性に応じて、適切な伝え方を選ぶことが大切です。

一般的には、対面なりメールで「相談したいことがあるので10分ほど時間をください」と個別面談を申し出るのが良いでしょう。

メールの場合は、以下の例文をアレンジして組み立ててみてください。

【POINT】打診メール例文

お疲れ様です。〇〇です。お忙しいところメールで失礼いたします。

私事で恐れ入りますが、現在妻が妊娠〇カ月で、〇月〇旬頃に出産する予定です。

つきましては、産後から〇カ月間、育休を取得したいと考えております。

期間や引き継ぎの進め方について、ご相談の機会をいただけますと幸いです。

 

4.4 職場の同僚への伝え方

協力的な先輩や同僚がいれば、アドバイスをもらったり、進め方の相談をしたりしましょう。

一方、仕事で直接関わることが少ない人には、育休に入る前日などに挨拶メールを一斉送信するのがおすすめです。

【POINT】メール例文

お疲れ様です。〇〇部の〇〇です。

私事で恐れ入りますが、妻の出産にあたり〇月〇日から〇カ月、育児休業をいただきます。

担当していた業務Aは〇〇さん、業務Bは〇〇さんに引き継いでおります。

〇月〇日に復帰予定です。

期間中は育児に励み、経験を復帰後の仕事にも生かしていきたいと思います。

何卒よろしくお願いいたします。

 

感謝の気持ちを盛り込み、意気込みをより具体的に伝えるのもいいですね。

 

4.5 育休取得中の職場とのコミュニケーション

制度の目的上、期間中に業務に関わる連絡や、出社などを強いられる状況は好ましくありません。

所属部署とは別に、総務や人事とのやりとりが増えます。育児休業給付金や復帰日の調整などは期限内にしっかり対応しましょう。

上司や親しいメンバーには、子どもの出産や保育園の入園内定などのタイミングで近況報告を入れてもいいでしょう。

 

5.やってはいけない育休の取り方・伝え方

逆に「こんなやり方で育休を取るのはトラブルのもと」という事例を2つ紹介します。

 

5.1 事前に相談せずギリギリになってから伝える

妻に対するNG行為は「事前に相談なく勝手に育休を取得すること」です。

育休に関わらず、大事なことを相談しない姿勢では、今後の困難を共に乗り切る資格がないと思われてしまいます。

職場に対しては、引き継ぎが不十分な状態で育休に入らないよう注意してください。関係者が「育休=迷惑」というイメージを持つことは、企業や社会にとっても大きな損失につながります。

 

5.2 復帰後の転職はアリ?ナシ?

ところで、転職を視野に入れている人が育休を取得することは問題ないのでしょうか。

結論からいうとOKです。ただし復帰後すぐの退職は心証がよくありません。法律上は問題ありませんが、保育所の入所要件や、転職先での働き方に制約があるなど、リスクがあるのも事実です。

一方、勤め先に育休取得を希望したのに認められなかった、育休を理由に嫌がらせを受けた、復帰後に不利な配置や待遇になった…などの場合は、会社側が育児休業法に違反しています。

違反行為が現場であれば総務・人事などへ、会社であれば最寄りの労働局などへ相談しましょう。

 

6.スムーズな育休取得へ向けて:やることリスト

最後に、スムーズに育休を取りたい人の「やることリスト」を以下にまとめました。個人の状況に応じて数字をアレンジして、スケジュールに落とし込んでみてはいかがでしょうか。

 

6.1 勤め先の育休取得についての情報収集

育休開始6カ月前まで 会社の育休の取り方について確認する

育休開始5カ月前まで 資料などからルールや手続きについて把握する

育休開始4カ月前まで 育休を取得した先輩社員などに話を聞く

 

6.2 家庭内の調整・合意

育休開始6カ月前まで 妻と相談し育休期間を決める

育休開始3カ月前まで 休業中の収入などをシミュレーションする

育休開始1カ月前まで 保活や予防接種など、育休中に必要なタスクを把握する

育休開始1週間前まで 家事分担など、日々の過ごし方についてすり合わせする

 

6.3 職場や上司へ共有する

出産予定日判明後できるだけ早く 直属の上司へ相談する

育休開始2カ月前まで 業務引き継ぎ開始

育休開始1カ月前まで 会社への手続き

育休開始1週間前まで 業務引き継ぎ完了

育休開始3日前まで 個別に伝えたい人がいれば連絡

育休開始1日前まで 職場全体への挨拶メール

 

6.4 育休中の会社とのやりとり

出産直後 会社や上司へ出産報告

保育所内定時など 会社や上司へ復帰見込みの報告

職場復帰1~2カ月前 あれば復帰前面談

復帰時期に関わりそうな相談事項(子どもの体調や妻の仕事、保育所内定状況など)が生じたら、早めに会社に相談しましょう。

 

7.【まとめ】育休を有意義なものにしよう

育休を取ることは、家族との絆を深めながら、経験を仕事やキャリアにも生かせるというメリットがあります。

妻や上司には早めに相談しましょう。目的を理解してもらい、懸念点をクリアにした状態で育休に入ることが重要です。話し合い不足、引き継ぎ不足はNGです。

実績や前例のない会社で育休を取得することは、大きな勇気が必要かもしれません。しかしそれは、組織の中でゲームチェンジャーになれる好機でもあるということ。育休をきっかけに、円満な家庭と仕事との両立を目指していきましょう。

 

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hauska編集部

hauska編集部

料理、美容、ガジェット好き。最近はインテリアとQOL関連アイテムへの興味関心が爆上がり中。働くパパ・ママに向けて、生活の質の向上、楽しい子育て、仕事もプライベートも充実させるための情報など幅広く発信します。ライフハックに気軽に取り組んでいただければ幸いです。

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