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子育てには都会と田舎のどちらが向いている?双方のメリット・デメリットを解説
2023.03.10
わが子には、できるだけ良い環境で育ってほしい。そう思う親がほとんどではないでしょうか。新型コロナウイルス感染症の懸念もあり、リモートワークの導入を進める企業も増えています。
地方への移住を含め、子育て環境の選択肢が増えたと感じる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、子育てにおける都会暮らし・田舎暮らしの違いやメリットについて解説します。移住する際のポイントについても紹介しているので、子育て環境に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
この記事はこんな方にオススメ
- 子育てには都会と田舎どちらが適しているか知りたい人
- 都会と田舎、それぞれの生活のメリット・デメリットを知りたい人
- 移住する際の注意点が知りたい人
もくじ
1 都会と田舎の違い
都会と田舎の違いは多くありますが、主に下記2点が大きく異なっています。
1.1 教育環境
都会は学校や塾・予備校など教育施設が田舎に比べて多い傾向があります。美術館や図書館といった文化施設も豊富にあり、教育環境を重視すると「都会の方が良い」と感じる人が多いのではないでしょうか。
一方田舎では、自然豊かな環境でしか得られない経験や知識、能力を身につけることができます。自然の中でたくましく育ってほしいと願う人には、田舎が優れているとも言えるでしょう。
1.2 生活環境
都会は公共交通機関の便数や路線の数が多く移動に便利です。また子育て支援サービスの種類や数が充実していることも、子育てにおいて強い味方となるでしょう。
一方田舎は物価や家賃が安い、自然が遊び場になるという点でメリットを感じる人も多いかもしれません。街全体にゆとりがあり、ゆったりとした気持ちで子育てをしやすい点も田舎の特徴です。
2 都会で子育てをするメリット
都会で子育てをするメリットを3点解説します。
2.1 教育施設が豊富にある
都会は子どもに合う教育を選べる点がメリットです。学校では中高一貫校やインターナショナルスクールも多く、モンテッソーリ教育などの新しい教育方針の施設、塾や予備校といった教育サービスも充実しています。
子どもの可能性や選択肢を広げたい、というパパやママにとっては外せない条件の一つと言えるでしょう。
2.2 公共交通機関が発達している
公共交通機関が発達している点は、子育てにおけるメリットの一つです。
どこに行くにも便利なため、休日なども気軽に外出することができるでしょう。また、乗り物好きのお子さんであれば、公共交通機関に乗るだけでも楽しめます。
公共交通機関での移動は、自家用車で運転しているよりも子どもの様子をよく見ることができます。公共の場でのマナーを教える良い機会にもなるでしょう。
2.3 子育て支援が充実している
都会には、子育て支援センターや児童館といった施設も数多くあります。地域に知り合いが少ない、息抜きをしたいというママにとっては、気軽に行けて同じ境遇のママ達と出会える施設は心強い場所となるのではないでしょうか。
また、都会はベビーシッターや家事代行といったママが利用したいサービスや、子育てボランティアも豊富にあります。
3 都会で子育てをするデメリット
ここからは、都会で子育てをするデメリットを3点解説します。
3.1 家賃が高い
都会で生活することのデメリットは家賃の高さでしょう。
総務省統計局の平成30年のデータによると、借家の1か月当たりの家賃・間代は、全国平均で55,695円です。地域別にみると、東京都では81,001円と最も高く、最も低い鹿児島県の家賃・間代(37,863円)の2.1倍にもなります。
家賃が高いと教育にかけられるお金の割合も減ってしまいます。同じ家賃を払っても都会は田舎よりも狭い家になるため、のびのびと子育てすることも難しくなります。
自治体によっては子育て世帯を対象とした家賃の助成制度があります。
3.2 近隣住民への配慮が求められる
都会は住宅が密集している分、子どもの泣き声や走り回る足音が近隣に聞こえやすい傾向があります。それがきっかけで苦情を言われたり、中には「虐待ではないか」と通報されるというトラブルに発展する可能性も考えられます。
常に近隣住民への配慮が求められ、窮屈な思いをしがちになるかもしれません。活発に遊び、泣くのも当たり前の子どもに「静かにしなさい」と言い続けることは親子のストレスにつながります。
3.3 競争社会にストレスを感じる可能性がある
都会は進学率が高く、中学受験を経験する子も多いため、小学生の頃から学習塾に通う子どもも多くなります。テストの結果などを友達と競い合う場面が増え、競争社会に疲れてしまうかもしれません。
子どもに適度な競争心を持たせることは大切ですが、過度な競争はストレスになりやすく、疲弊してしまうおそれがあります。
負けても挫けない心を育むために、たくさんの経験をさせてあげることも大切です。小さな“挫折の経験”を親がフォローし、前向きな気持ちを育みましょう。
4 田舎で子育てをするメリット
ここからは、田舎で子育てをするメリットを3点解説します。
4.1 自然と触れ合える
田舎は、自然豊かな環境で季節の移ろいを実感できる環境です。昆虫や動物などの生き物との触れ合いなどを通して「生きた教育」を子供に行えます。そうした自然と触れ合えることは田舎で子育てをする魅力の一つではないでしょうか。
都会では観ることができない満天の星空を親子で眺め、川遊びや虫取りをする経験は、何よりの情操教育です。
4.2 物価や家賃が安い傾向にある
田舎は都会に比べ、物価や家賃が安い傾向にあります。新鮮な魚介類や野菜も鮮度の高い地のものが安く手に入ります。
また、地域によっては、駐車場付きの一軒家の家賃が数万円で済むことも。のびのびと子育てができるうえ、浮いたお金を教育費に充てられるかもしれません。
田舎では車での生活が中心です。物価や家賃は安くても、車両購入費や車検代、毎月のガソリン代などがかかることを考慮に入れましょう。
4.3 地域のコミュニケーションが活発
都会のマンションなどでは、近隣住民と会っても挨拶程度しか会話をしないことも多いですが、田舎では人付き合いがぐっと密になります。お互いの家族構成を把握していることも多いので、通学中の子供たちを見守ってくれたり、地域全体で子育てをしてくれたりするケースもあります。
おかずや畑の新鮮な野菜のおすそ分け文化もあります。一つひとつの温かいやり取りが子どもの情操教育や食育につながり、好き嫌いなく食べられる子に育ちます。
5 田舎で子育てをするデメリット
ここからは、田舎で子育てをするデメリットを3点解説します。
5.1 文化施設やアミューズメント施設が少ない
田舎は、美術館や博物館といった文化施設が多くありません。「クラシック音楽を聞かせたくてもコンサートホールがない」「図書館があっても蔵書数が少ない」など、日常的に文化に触れる機会が少なくなりがちです。
「幼いうちからさまざまな文化に触れさせて子育てしたい!」という人には物足りない環境と言えるでしょう。
遊園地や屋内アスレチックなどのアミューズメント施設も少ない傾向です。休日、子どもから「お出かけしたい」とせがまれても、車で片道何時間もかかる距離まで行かないといけない場合もあります。
5.2 習い事の選択肢が少ない
田舎は習い事の選択肢も少ない傾向があります。
都会ではプログラミング教室や英会話、バレエやボルダリングなどスポーツもさまざまな種類の習い事がありますが、田舎ではピアノやそろばん、水泳といった一般的な習い事のみに留まりがちです。
「習い事で子供にさまざまな経験をさせてあげたい」と考えているパパ・ママにとっては不満材料となるかもしれません。また習い事に行っても友達ばかりで、交友関係が広がらないと悩む人もいます。
最近ではオンラインでの習い事もたくさんあります。田舎だからと諦めず、上手に活用しながら経験させてあげましょう。
5.3 車が必須
田舎での子育てでは車が必需品です。食材や日用品の買い出しをしたくても、徒歩圏内に店舗がないことが当たり前です。子どもの習い事や幼稚園・保育園・学校、病院が遠方にしかなく、送迎が必要という場合もあります。
車が必須の田舎暮らしでネックになるのが、車にかかる費用(購入費用、車検・保険代、ガソリン代など)です。
また住居によっては駐車場代も必要です。維持費が安い軽自動車も購入費用を除いても年間20万円はかかることを覚悟しましょう。
6 子供の成長度合いで都会と田舎を住み分けるのもアリ
ここまで都会・田舎それぞれのメリット・デメリットを見てきましたが、子どもの成長によって住み分けを変えるのも一つです。
幼い頃は待機児童も少なく、自然の中でのびのびと子育てができる田舎に住み、中学生以上になったら進学先や学習塾、文化施設が多く、教育環境が整った都会に引っ越すということも考えられます。
「教育に力を入れたい時期」「のびのびと遊びたい時期」など、タイミングに合わせて住み分けるのも良いでしょう。
より良い学びを求め「教育移住」をする家族もいます。2019年に長野県佐久穂町で開校した茂来学園大日向小学校は、ドイツ生まれのイエナプランに基づく教育に取り組んでおり、在籍生の約7割は県外からの移住者です。
7 都会・田舎に移住する際のポイント
ここからは、都会・田舎に移住する際のポイントを3点解説します。
7.1 支援制度を有効活用する
移住に対しては、各自治体がさまざまな支援制度を用意しています。支援制度を活用すると、移住費用を軽減できたり、子育てにかかる費用を抑えたりできます。
引越し費用を数十万円負担してくれる自治体もあれば、一戸建て住宅を無償提供してくれる自治体もあります。事前に調べ、家庭に合った移住先を検討すると良いでしょう。
7.2 メリットばかりではなくデメリットにも目を向ける
移住を考えインターネットなどで調べると、つい新たな環境の良いところばかりに目がとまりやすいものです。「人が多くないからのびのびと子育てができる」という面だけで移住してみてから、「遊ぶ場所が少なくて子どもの不満が大きかった」と後悔することもあるはず。
都会と田舎ではそれぞれデメリットもあるため、双方を考慮のうえで移住先を決めるようにしましょう。
関連記事:子育て支援が手厚い自治体10選【2022年最新版】
7.3 移住した人から話を聞く
移住を考えるうえで、不安や疑問が出てくるのは当然のことです。移住してから後悔しないよう、事前に移住した人から話を聞いてみてもいいでしょう。
移住先に目星がついていれば、その地域の自治体やNPO法人が主催する「移住相談会」への参加をおすすめします。先輩移住者の体験談などを聞ける貴重な機会です。
まだ具体的な移住先が決まってない人は、「移住相談フェア」など各自治体が参加するイベントに行ってみましょう。その地域の魅力や特徴、移住支援制度について知ることで、家庭にあった移住先が見つかるかもしれません。オンラインで行われるイベントもあるため、小さな子供がいても参加しやすいでしょう。
「お試し移住」制度がある自治体もあります。実際に数日〜1週間程度住んでみて、先輩移住者や地域住民との交流、職業体験などもできるところもあるようです。
こういったイベントや制度を使って、生活環境や子どもの教育環境、医療機関についてしっかり知った上で移住できることが大切です。
8 子育てしやすい都市ベスト3
ここからは、日経xwoman(クロスウーマン)と日本経済新聞社が実施した調査結果を基に、2022年版「共働き子育てしやすい街ランキング」を紹介します。
この結果は、全国165自治体について、女性のキャリア支援や男性職員の育休取得率、保育所・学童保育といった子育て関連施設の充実度などを調査し、ランキングにしたものです。ベスト3の都市の特徴を見ていきましょう。
参考:2022年版「共働き子育てしやすい街ランキング」 総合編1位は東京都豊島区に(日経BP社)
8.1 【1位】東京都豊島区
2022年の総合編1位は、2021年の17位から大きく順位を上げた東京都豊島区です。
都心部への通勤圏としても人気のエリアで、子育て世帯が暮らしやすいさまざまな育児支援制度や施設が整っています。
『子どもと女性にやさしいまちづくり』を区の重要テーマに位置付け、『子育て』や『女性』への支援に、保健所・子育て・教育などのさまざまな分野が連携しながら、複合的・総合的に取り組んでいる自治体です。
男性職員の育児休業は、既に目標としてきた50%を超えており、育児休業を取得しやすい環境づくりを目指しています。
都内の自治体としては、認可保育所の全クラスや認可外保育所の定員に余裕があるようです。病児保育施設については23年度に1カ所新設を予定するなど施設数の充実に努めています。
8.2 【2位】千葉県松戸市
2位の千葉県松戸市は2020年・2021年と2年連続で総合編1位を獲得しています。子育てしやすい代表的な街といえます。
立地は都心から20キロメートル圏・電車では約30分の距離にあるため、首都圏のベッドタウンとして発展しています。
待機児童は2年連続ゼロを達成。教育面では公立保育所での英語あそびを一斉導入し、小学校1年生からの9年間の英語学習につなげています。子どもの医療については、夜間小児急病センターで毎日23時まで診察可能で、急に体調不良となっても安心です。
また、認可外の保育所に通う家庭に対しての助成など、共働き世帯への手厚い支援が目立っています。一部の民間保育所では市の助成で子ども食堂を始めるなどし、地域交流の場を充実させている点も魅力でしょう。
8.3 【3位】愛知県豊橋市
3位は愛知県豊橋市(2021年は総合編14位)です。
豊かな自然に恵まれ、全国でもトップクラスの農業地帯でありながら、名古屋・東京へのアクセスの良さも魅力です。待機児童はゼロで、所得制限なく第2子の保育料を無償化し、副食費の軽減も実施しています。
病児保育施設については3カ所目が新設されており、共働きで子育てをする世帯にはありがたい存在となるでしょう。
妊娠出産支援としては、体外受精など特定不妊治療にかかる費用に対し、市独自で自己負担額の一部を補助しています。
9 まとめ
この記事では、子育てにおける都会と田舎の違いを解説してきました。
どこで子育てするのがベストなのかは、家庭によって違うものです。一度は移住したものの、生活に馴染めずに結局元の地域に戻ってきたという事例もあります。
移住する前に、それぞれのメリット・デメリットを比較し、その後の生活をよくシミュレーションすることが大切です。
ぜひこの記事を参考にして、あなたにピッタリな地域を見つけてください。
この記事を書いた人
hauska編集部
料理、美容、ガジェット好き。最近はインテリアとQOL関連アイテムへの興味関心が爆上がり中。働くパパ・ママに向けて、生活の質の向上、楽しい子育て、仕事もプライベートも充実させるための情報など幅広く発信します。ライフハックに気軽に取り組んでいただければ幸いです。