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子育てに関してもらえるお金の種類は?各制度をわかりやすく解説
2023.03.24
待望の妊娠!喜びと同時に、「お金は足りるかな」と心配になる人もいるのではないでしょうか。
子育てを支援するために、国や地方自治体はさまざまな制度を設けています。これらの支援を上手く活用し、家計の負担を軽くしていきましょう。
この記事では、子育てに関してもらえるお金の種類や制度を詳しく解説します。「赤ちゃんが欲しい!」人にも役立つ内容なので、最後までチェックしてくださいね。
この記事はこんな方にオススメ
- 子育て・出産など子供に関連してもらえるお金を知りたい
- 子育てにかかるお金を知りたい
- 自分がどの制度を使えるか知りたい
もくじ
1 子育てにかかるお金はどのぐらい?
子供が産まれてから大学を卒業するまでにかかるお金は約2,000万円~4,000万円と言われています。
内閣府が平成21年度に公表した「平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査」では、0歳から15歳までの子育てにかかるお金の総額は約1,900万円でした。
年齢 | 費用 | 年齢 | 費用 |
0歳 | 931,246円 | 8歳 | 1,059,791円 |
1歳 | 878,040円 | 9歳 | 1,131,097円 |
2歳 | 942,715円 | 10歳 | 1,152,088円 |
3歳 | 1,040,577円 | 11歳 | 1,235,483円 |
4歳 | 1,197,116円 | 12歳 | 1,269,053円 |
5歳 | 1,159,523円 | 13歳 | 1,527,873円 |
6歳 | 1,215,243円 | 14歳 | 1,531,521円 |
7歳 | 1,112,082円 | 15歳 | 1,611,802円 |
日本政策金融公庫による「子ども1人当たりにかける教育費用(高校入学から大学卒業まで)は増加」(令和2年度)では、高校から大学卒業までの1人あたりの教育費は約965万円と発表されています。
以上を合計すると約2,865万円(高校以降の養育費を除く)になりますが、これはあくまで平均値です。子供が進学する学校や活動内容によって変動します。
子育てには多額のお金が必要になることは確かです。不安を少しでも減らすためにも、今からしっかり準備をしておきましょう。
2 妊娠・出産でもらえるお金・制度
子育てにかかるお金は、子供が産まれる前から必要です。
妊娠・出産でもらえるお金、利用できる制度について解説します。
2.1 妊婦健康診査費用の助成
妊婦健康診査の費用は保険適用外です。自費で負担すると10~15万円ほどかかります。
しかし自治体の助成制度を利用すると自己負担を5~7万円ほどに抑えられます。
平成30年の厚生労働省の調査によると、1人あたりの助成額の平均は105,734円だそうです。自治体により助成額や利用できる検査項目は異なりますが、費用を抑えられるのは間違いありません。
制度を利用するには、現住所の自治体に妊娠届を提出し、母子手帳と妊婦健康診査受診券を受け取る必要があります。妊娠が確定したらすぐに届け出ましょう。
妊婦健康診査受診券は一般的に14枚綴りです。初回の健康診査では妊娠が確定しておらず、受診券が利用できません。
2回目の検診から利用できます。
参考:厚生労働省「妊婦健康診査の公費負担の状況に係る調査結果について」
2.2 出産育児一時金
出産育児一時金とは、妊娠4ヶ月(85日)以上で出産した場合に健康保険から42万円(産科医療保障制度未加入の医療機関で出産した場合40.8万円)を受け取れる制度です。健康保険に加入している本人、もしくは加入している夫の被扶養者が対象になります。
支給制度は直接支払制度と受取代理制度の2つです。直接支払制度はほとんどの医療機関で採用されている制度で、健康保険から医療機関へ直接一時金を支払います。
代理受取制度は直接支払制度が採用されていない医療機関(認可された医療機関に限る)で利用できる制度です。出産2ヶ月前以降に本人が事前申請しておく必要がありますが、健康保険から医療機関に直接一時金が支払われるという点は直接支払い制度と変わりません。
また、どちらの制度も採用していない医療機関であれば、出産・退院後に直接健康保険に申請すれば一時金の受取が可能です。
出産は約50万円ほどかかると言われています。出産育児一時金を利用することで、安心して出産に臨めるでしょう。
2.3 出産手当金
出産手当金とは、出産のために女性が休業している間の生活を保障するための給付金です。健康保険に加入しており、妊娠4ヶ月以上で出産した方が対象となります。出産日以前42日から出産日の翌日以降56日が支給期間です。
産前・産後休業中は基本的に無給であるため、経済的負担が大きくなります。出産手当金は女性および家族の生活を経済面から保障する制度です。
支給額は産前・産後休業に入る前の収入によって変わります。事前に計算し、産前・産後休業中の資金計画を立てておきましょう。
例)標準報酬月額20万円の場合
標準報酬日額 | 200,000円÷30日=6,670円(10円未満四捨五入) |
1日の支給額 | 6,670円×2/3=4,447円(1円未満四捨五入) |
出産手当金 | 4,447円×98日=435,806円 |
参考:全国健康保険協会「出産で会社を休んだとき」
2.4 育児休業給付金
育児休業給付金とは、育児休業を取得した場合に受け取れる給付金のことです。1年以上同じ事業主に雇用されており、雇用保険に加入している方が対象となります。女性だけでなく男性が育児休業を取得した場合も対象になり、分割して育児休業を取得した場合は原則2回まで給付金の受給が可能です。
育児休業給付金を受給するためには、いくつか条件があります。
- 休業開始日前2年間に、11日以上または就業した時間数が80時間以上ある月が12ヶ月以上ある
- 育児休業開始時点で、退職の予定が無い
- 育児休業中の賃金が、休業開始前の80%未満である
- 育児休業中の就業日が10日以内である(1ヶ月ごとに算定)
なお、育児休業を取得せずに復職する場合は育児休業給付金の対象となりません。
育児休業給付金の支給額は以下のとおりです。
期間 | 支給額 | 限度額(月額) |
育児休業開始~180日目まで | 休業開始時賃金日額×67%×支給日数 | 305,319円 |
181日目以降~育児休業終了まで | 休業開始時賃金日額×50%×支給日数 | 227,850円 |
参考:厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続」
参考:こそだてまっぷ「5分でわかる育児休業給付金(育休手当)~条件や申請方法を解説~」
3 妊娠・出産で戻ってくるお金
ここでは妊娠・出産で戻ってくるお金について3つご紹介します。
3.1 高額療養費
高額療養費とは、1ヶ月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合に、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が払い戻される制度です。対象となる医療費は健康保険の対象となる治療のみで、妊娠・出産に関する医療費は基本的に対象外となります。
ただし帝王切開での出産や異常妊娠に対する治療など、健康保険が適用される場合は高額療養費の対象となります。
自己負担限度額を超えた場合は、速やかに払い戻しの申請をしましょう。
治療名 | 金額 | 自己負担額(3割負担) |
予定帝王切開 | 201,400円 | 60,420円 |
緊急帝王切開 | 222,000円 | 66,600円 |
参考:今日の臨床サポート
自己負担限度額は所得に応じて異なります。妊娠から出産までには多額の医療費がかかる場合もあるため、事前に自己負担限度額を確認しておきましょう。
参照:全国健康保険協会「高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)」
自己負担限度額を超える治療費がかかるとあらかじめ分かっている場合は、限度額適用認定証を申請しておきましょう。限度額適用認定証を提示すると、窓口での支払が限度額までに抑えられます。
3.2 医療費控除
1年間でかかった医療費の世帯合計金額が10万円を超えた場合(年収200万円未満は所得の5%を超えた場合)は、所得の控除が受けられます。所得の控除を受けるとその年の所得税が安くなり、所得税の還付を受けられます。
控除を受けるためには確定申告をする必要があります。確定申告の期間は毎年2月16日~3月15日です。忘れずに申告をしましょう。
健康保険からの給付金や高額療養費の還付金、生命保険からの支払金などは医療費から差し引く必要があるため注意が必要です。
以下の計算式にあてはめてみてください。
1年間の医療費ー保険等で補填されるお金ー10万円(年収200万未満の人は所得金額の5%)=医療費控除(最高200万円)
参考:国税庁「医療費を支払ったとき(医療費控除)」
3.3 傷病手当金
傷病手当金とは、業務外の事由によりケガや病気をして会社を休まなければならなくなった場合に受けられる手当金です。会社を3日連続で休んだうえで、4日目以降に支給されます。
一見、妊娠・出産には関係が無いように思えますが、つわりや切迫早産による入院・自宅療養も対象になるため妊婦にとっても重要です。
支給額は標準報酬月額の約3分の2です。途中で出勤した日がある場合は支給期間には含めませんが、支給された給料が傷病手当金よりも少なかった場合は差額を受給できます。
1日あたりの支給額 | 支給期間 |
支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3 | 最大1年半 |
参考:全国健康保険協会「傷病手当金」
参考:たまひよ「傷病手当金は、働くママがつわりや病気で休職したらもらえるお金!」
4 子育てに関してもらえるお金・制度
子育てに関してもらえるお金や利用できる制度について、詳しく解説します。
4.1 児童手当
児童手当とは、0歳~中学卒業(15歳の誕生日後の最初の3月31日)までの児童を養育している方に支給されるお金です。6月・10月・12月の年3回、それぞれ前月までの分が支給されます。
受給するためには、子供の誕生後15日以内に現住所の自治体(公務員の場合は勤務先)に認定申請書を提出します。申請が受理されれば翌月分の手当から支給されますが、遅れた分の手当は支給されません。
妊娠中から申請の内容を頭にいれ、出産後スムーズに申請できるよう準備をしておきましょう。
0歳から15歳まで満額を受け取ると198万円になります。
児童の年齢 | 支給額(1人あたり月額) |
3歳未満 | 一律15,000円 |
3歳以上~小学校修了前 | 10,000円(第3子以降は15,000円) |
中学生 | 一律10,000円 |
※申請者の所得(もしくは収入)が所得制限額を超えた場合、一律5,000円。
参照:内閣府「児童手当制度のご案内」
4.2 児童扶養手当
児童扶養手当とは、ひとり親(もしくは父母がいない子を養育する者)が受け取れる手当です。1月・3月・5月・7月・9月・11月の年6回支給され、児童が18歳に達する日以後の最初の3月31日まで受給できます。支給には全部支給と一部支給の2種類があり、金額は親の所得(前年に基づく)や児童の人数によって異なります。
また、20歳未満で中度以上の障がいがある児童を養育しているひとり親も対象です。
1人で子供を育てるには心理面でも経済面でも負担が増えます。制度をしっかりと利用し、金銭面での負担を少しでも軽減しましょう。申請はお住まいの自治体(役所)にて可能です。
児童の人数 (令和4年4月~) |
全部支給 (1人につき) |
一部支給 (1人につき) |
1人目 | 43,070円 | 43,060円~10,160円 |
2人目 | 10,170円 | 10,160円~5,090円 |
3人目以降 | 6,100円 | 6,090円~3,050円 |
参考:厚生労働省「児童扶養手当について」
4.3 児童育成手当
児童育成手当とは東京都独自の給付金制度です。児童扶養手当と同様に、ひとり親が受給できる手当で、児童が18歳に達する日以後の最初の3月31日まで受給できます。
手当は2月・6月・10月に受給者の口座に振り込まれ、申請した翌月分から支給されます。支給額は1人につき13,500円で、子の人数によって変動はありません。
また、心身に障がいのある20歳未満の児童を養育している方も対象となります。
児童扶養手当と名前や内容が似ていますが、全く別の制度であるため注意が必要です。東京都にお住まいでひとり親の方は、どちらの制度も利用できる可能性があるため、受給要件をチェックしましょう。
4.4 子供医療費助成制度
子供医療費助成制度とは、全国の都道府県・自治体が子供の医療費を助成する制度のことです。
子供の医療費の負担は小学校入学までは2割、入学後は3割と定められています。しかし、各都道府県・自治体では子育て家庭の負担を軽減するため、独自の医療費を助成する制度を設けています。
ひとり親家庭の医療費の助成や障がい医療費の助成などの公費が適用される場合は、そちらが優先されます。子供医療費助成制度と二重に助成は受けられないため注意が必要です。
参照:福岡市「子供医療費助成制度」
4.5 ひとり親家庭等医療費助成制度
ひとり親家庭等医療費助成制度とは、ひとり親やその子供、あるいは両親がいない子供を養育する人が医療を受けた際の自己負担の一部を各自治体が助成する制度です。各市町村に申請をした月の初日から、子供が18歳に到達する最初の3月31日まで助成を受けられます。
自己負担額は通院・入院により異なりますが、保険診療の範囲内であれば全額助成されると考えてよいでしょう。ただし、差額ベッド代・健康診断・予防接種などの保険適用外のものは助成の対象外です。
自立支援医療などの公費負担が適用される場合はその制度を優先したうえで、残りの自己負担額が助成されます。複数の助成制度を組み合わせることで、家計の負担はさらに軽減できるため、それぞれの制度の詳細を確認し申請を行いましょう。
4.6 ひとり親控除
ひとり親控除とは、ひとり親が一定の所得控除を受けられる制度です。所得控除を受ければ納める所得税が少なくなるため、家計負担が減ります。控除金額は一律35万円ですが、控除を受ける本人の所得が500万円を越すと、控除を受けられません。
そのほかのひとり親控除が受けられる条件は以下の通りです。
- 配偶者と死別・離婚した後、婚姻をしていない
- 婚姻歴がない
- 配偶者の生死が明らかでない
ひとり親控除は、申告が必要です。
フリーランスや個人事業主の場合は確定申告時に、会社員の場合は年末調整で申告をしましょう。申告が漏れると、控除の対象であっても控除が受けられません。
参考:日本年金機構「寡婦控除、ひとり親控除とは、どのようなものですか。」
PASONA「ひとり親控除の対象者・手続き方法・寡婦控除との違いを解説」
Money Forwardクラウド確定申告「寡婦(寡夫)控除やひとり親控除を申告するには?」
5 進学や就学に関してもらえるお金・制度
ここでは進学や就学に関してもらえるお金や利用できる制度について紹介します。
5.1 幼児教育・保育の無償化
2019年10月より、幼児教育・保育の無償化がスタートしました。この制度は満3歳~5歳の子供(住民税非課税世帯は0~2歳の子供)であれば、幼稚園(月額2.57万円まで)・保育園・認定こども園などの利用料が無償となるものです。
ただし、通園送迎費・食材料費・行事費などは保護者負担となります。全ての費用が無償化されるわけではありません。
年収360万円未満相当の世帯の子供たちと、全ての世帯の第3子以降の子供は副食(おかずやおやつなど)の費用が免除されます。
認定こども園とは、教育と保育を一緒に行う施設です。保育園と幼稚園の良さを併せ持ち、0歳〜就学前までの子供が利用できます。
5.2 高校生等奨学給付金
高校生等奨学給付金は、高校生等がいる低所得世帯の経済的負担を軽減させるための給付金です。対象世帯は生活保護受給世帯・住民税所得割非課税の世帯で、学校または都道府県へ申請することで受給できます。
この給付金は授業料以外の教育費を支援するもので、教科書費・教材費・学用品費・通学用品費・教科外活動費・生徒会費・PTA会費・入学学用品費・修学旅行費などが補助の対象です。
5.3 各種奨学金
奨学金には「返還が必要」というイメージがあるかもしれませんが、実は返さなくていい奨学金もあります。日本学生支援機構(JASSO)では令和2年4月より高等学校等を卒業予定の人を対象に、返済不要の給付型奨学金制度をスタートさせました。
制度を利用するためには審査が必要です。審査に通ると、授業料・入学金の免除・減額、給付型奨学金の受給が可能となります。
参照:独立行政法人日本学生支援機構「学びたい気持ちを応援します」
奨学金は各大学や地方自治体、公益法人などでも実施しています。日本学生支援機構は国費で奨学金を支給しているため、審査基準が非常に厳しいです。他に利用できる奨学金制度がないか一度チェックしてみるとよいでしょう。
6 まとめ
子育てに関してもらえるお金の種類や制度について詳しくご紹介しました。
助成金や給付金といったお得になる制度について、教えてもらえる機会はなかなかありません。子育てによる家計の負担を少しでも減らすためには、自ら制度やお金について勉強する必要があります。
記事を参考にして、積極的に情報収集をしてみてください。
この記事を書いた人
hauska編集部
料理、美容、ガジェット好き。最近はインテリアとQOL関連アイテムへの興味関心が爆上がり中。働くパパ・ママに向けて、生活の質の向上、楽しい子育て、仕事もプライベートも充実させるための情報など幅広く発信します。ライフハックに気軽に取り組んでいただければ幸いです。