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子どもの教育費はいくら必要?年代ごとに必要な金額や便利な制度についてもご紹介!

2022.05.31

育てる

子育ては、「子どもにより良い将来を歩んで欲しい」という願いが根底にあります。愛情を注ぐ、一緒にいる時間を多くする、将来自立できるようにするなど、子育てへの想いもさまざまです。

残念ながら親は子どもの将来もずっと同じ時間を歩むことはできません。一緒にいられる時間は限られているため、一緒にいられるうちに最低限生きていくための能力を育ててあげることが必要になります。

子育てにおいて教育費の用意はとても重要です。現状、日本は教育後進国と呼ばれており、お金を掛けなければ教育を受けることができず、その結果、子どもの進路を狭めてしまいます。

加えて、教育費は高額であり前もって準備していないと、子育てが一段落した後の自分たちのセカンドライフの準備が間に合わない可能性があります。

この記事では、教育に関する便利な制度や、教育資金の準備で注意するべきポイントについて解説します。

この記事はこんな方にオススメ

  • 子どもを育てるために必要な教育費はいくらなのか知りたい
  • いつごろから教育費を準備するか知りたい
  • 教育費を自力で準備できない場合はどうすればいいか知りたい

1 子供の教育費はどのくらい?

子どもの教育費は、最低でも1人当たり「1,000万円」は掛かると言われています。

また、私立の教育機関は国公立に比べて、更に費用が高額になるため、最大で1人当たり「3,000万円」掛かります。

教育費の費用項目としては、

  • 入学金
  • 学校教育費
  • 学校給食費
  • 学校外活動費

があります。

入学金とは、入学時に授業料とは別に学校に払う費用のことで、入学の地位を保証するものです。

基本的に、幼児教育から高等教育までは私立の教育機関への進学時に掛かり、大学の場合は、国公立への進学にも掛かります。また、新学期が始まる前に納入する必要があり、入学前の辞退以外は基本的には返金はされません。

学校教育費は、授業料のほかに学校行事や学用品の購入に掛かる費用です。

学校行事の中でも修学旅行や遠足、課外授業の見学に費用が掛かり、場合によっては学校側が毎月積立て金を徴収することがあります。また、PTAの会費や、実験道具などの学校設備費、学校から距離が離れていれば通学費が別途掛かります。

学校給食費は一般的に、幼児教育から中等教育は私立と国公立共に掛かり、高等教育から先は、寮制や学食の有無によって変わります。

近年では、経済的に厳しい家庭を対象に給食費の免除を行っている自治体もあります。子どもの健やかな成長に欠かせないものですので、支払が困難な場合は、自治体へ必ず相談しましょう。

学校外活動費は、不足している学力を補ったり、更に伸ばすために行われる習い事、学習塾、家庭教育などの「補助学習」に掛かる費用を指します。義務的に行うものではないため、経済的に厳しい場合は削減できる費用項目ですが、状況に応じて補助学習に力を入れる必要があります。

以下では、文部科学省の統計データ|子供の学習費調査を参考にして、年代別の教育費を具体的に解説します。

 

1.1 幼児教育に掛かる費用

施設に通う場合、1年当たりの教育費は、

  • 公立の幼稚園:約22万円
  • 私立幼稚園:約53万円
  • 認可保育所:家庭環境で変動
  • 認可外保育園:利用時間で変動

となっています。

幼児教育を行う施設は、幼稚園と保育所の2つがあります。保育園は利用料が特殊で、認可保育所は、世帯収入、子どもの数と年齢によって負担額が異なります。

一方で認可外保育園は、世帯収入に関わらず、子どもの年齢や利用時間によって負担額が決まります。

幼児教育は、一部の方を対象に教育の無償化は進められていますが、義務教育化はされていません。そのため、幼児教育は、施設に通うかどうかを自由に決められます。

施設に通わない場合は、教育費を節約する事が出来ますが、自宅で育児をする必要があります。一方で施設に通う場合は、教育費は掛かりますが育児の心配がなく、安心して働くことが可能です。

 

1.2 初等教育に掛かる費用

小学校に掛かる1年当たりの教育費は、

  • 国公立の小学校:約32万円
  • 私立の小学校:約160万円

となっています。

小学校には、各都道府県の自治体が運営する公立と、学校法人が運営するため費用が掛かる反面、教育の自由度が高い私立と、国が運営する国立の3種類があります。

国公立の場合、学習塾などの学校外活動費が、「約21万円」と、教育費全体の半分以上を占めています。

また、一部の小学生は、学童を利用できます。学童は、パパママが共働きなどで夜遅くに帰宅する家庭の子どもを預かってもらえる施設です。書類審査や面接などの利用条件が厳しく決められている反面、教育費を稼ぎたい家庭にはとても便利です。

学習塾や習い事はあくまでも「補助学習」ですので、家計や生活事情と相談しながら行うと良いでしょう。

 

1.3 中等教育に掛かる費用

中学校に掛かる1年当たりの教育費は、

  • 国公立:約49万円
  • 私立:約140万円

です。

その内、学校教育費は、国公立で「約14万円」、私立で「約107万円」と差が大きく、学校給食費や学校外活動費には大きな差は見られませんでした。

中学校からは、学校内の部活動や地域のクラブ活動、難関大学を狙う家庭は学習塾を始める方が多いため、国公立と私立共に、「30~35万円」の学校外活動費が掛かります。

また、義務教育であるため授業料は無償化されていますが、国公立であれば制服や教材などの入学準備に費用が掛かります。

また、子どもが選んだ部活によっては予期せぬ出費を求められる場合があります。入学前にある程度の余裕を持って、資金を準備しておきましょう。

 

1.4 高等教育に掛かる費用

高等学校に掛かる1年当たりの教育費は、

  • 国公立:約46万円
  • 私立:約97万円
  • 予備校:100万~200万円

です。

中でも学校教育費は、さらに専門性の高い施設や教材を使用するため、私立では授業料や学校納付金の支出が6割強となっています。

加えて、大学進学を考えている家庭が増加しているため、公立と私立ともに補助学習へかける費用が最も多いです。

子どもの大学進学を考えている方は、学習塾や家庭教育へ積極的に投資しましょう。現役合格と浪人合格では、教育費が大きく異なります。

予備校に通う費用は、高等学校に比べて割高であるため、現役合格を目指しましょう。

 

1.5 大学進学に掛かる費用

大学に掛かる1年当たりの教育費は、

  • 国公立:約250万円
  • 私立(文系):約400万円
  • 私立(理系):約550万円
  • 私立(医歯系):約2,400万円

です。

大学への進学は、年代別の教育費で1番費用が掛かります。例年、国公立の倍率が高くなる理由のひとつは、上記の通り「教育費が安い」ということです。

幼少期からきちんとした教育を積み重ねることで、進学先の選択肢は広がります。そのため、「学費は安いけど偏差値が高い」「学びたい専門学科だけど受かる可能性は私立しかない」といった障害にぶつかっても、安心して大学を決められます。

 

1.6 上記以外で掛かる費用

特殊な出費としては、海外留学があります。

海外留学は、

  • 3ヶ月程度で海外文化などを学ぶ:短期留学
  • 半年から1年で外国語を本格的に学ぶ:長期語学留学
  • 1年程度働きながら専門性の高い学習をする:ワーキングホリデー

の3タイプがあります。

海外留学に必要な費用項目は、滞在先の学校の授業料やプログラムへの参加費、渡航に必要な交通費、滞在先での生活費などがあり、海外留学のタイプによって、必要な費用項目が異なります。

目安としては、

  • 短期留学(4~12週間):50万~150万円
  • 長期語学留学(6~12ヶ月):180万~470万円
  • ワーキングホリデー(12ヶ月):120万~300万円

となっています。

費用の大半は授業料や参加費であり、渡航に必要な交通費と同様に削減できない費用です。

そのため、少しでも留学費用を抑えるためには、「生活費の削減」が必須です。

生活費を抑えるためには、ホテルなどの宿泊施設を利用するのではなく、ホームステイがおすすめです。将来的に海外での生活を考えている方は、ホームステイを利用して生の文化を学びましょう。

 

2 教育費を用意するタイミングは?

子どもが生まれた時から貯蓄を始めましょう。

理想は、妊娠前に大学までの教育費を用意しておくことですが、現実的でないため、育児と並行して教育費を準備しましょう。

具体的には、大学進学の時期である18歳までに「1人当たり最低300万円」を貯めることを目指しましょう。

まずは、銀行などが提供している金融商品で、「教育費の積立」のプランを申し込みます。

子どもを私立の教育機関に通わせたい場合、一番出費が多い私立小学校に入学するまでに、ある程度の教育費を準備しなければいけません。

しかし、国公立をメインに育児プランを立てている場合は、目標額を短期集中で先に貯める方法か、少額ずつ子どもを育てながら貯める方法を採れます。

教育費を貯めるタイミングは、教育費が少額で済む「小学校1年生から4年生」です。注意点は、塾や習い事などの補助学習の必要性と、貯金のバランスを見極めることです。

費用が掛からなくなった分を学校外活動費に充ててしまうと、子どもが18歳になるまでに目標額を用意できない可能性があります。

また、子どもが複数人いる場合は、準備するべき教育費の額は大きくなります。兄弟姉妹の入学や進学タイミングで一定額の教育費を用意しなければならないため、貯蓄プランが複雑になり、管理が大変になります。

夫婦での問題解決が難しい場合は、自治体や公的機関の相談窓口などを活用しましょう。

 

3 支援制度を上手く活用しよう

近年、育児と仕事の両立が難しいことや、育児の心理的負担や肉体的負担が大きいことから、国内の少子化が加速しています。

政府は、日本の未来を担う子ども達のために、こども家庭庁の設置や、次世代育成支援を行っています。

政策では、

  • 育児休業制度
  • 出産をサポートする母子保健医療の整備
  • 地域で子育てを見守るネットワークの構築
  • 子育てに適した住宅の供給
  • 保育事業の拡大

などを行っています。

その他にも、子育て世帯の住環境や食生活に着目した政策を行っています。

こちらでは、育児の経済的負担に着目して、教育費の確保に効果的な制度を解説します。

 

3.1 児童手当

児童手当は、子どもが中等教育を修了するまで、毎月一定額を受け取れる制度です。

手当の額は、

  • 0~3歳未満:1万5,000円
  • 3歳~小学校修了まで(第1子、第2子):1万円
  • 3歳~小学校修了まで(第3子以降):1万5,000円
  • 中学生:1万円

に分けられています。

子どもが1人の場合、支給額をすべて貯蓄すると「約200万円」の貯蓄ができます。

児童手当は出来るだけ手を付けずに、給料の一部と一緒に貯蓄しましょう。

 

3.2 学資保険

学資保険は、子どもの教育費に特化した保険商品です。仕組みは、保険料を月ごとに払い、子どもが一定の年齢になった際に給付金が振り込まれます。

学資保険には2つのプランが用意されており、収入が少なく、目標期限内の貯蓄が難しい方は貯蓄型、万が一の事態に備えたい方は保障型をおすすめします。

また、学資保険の大きなメリットとして、「払込免除特約」が挙げられます。

普通の積立金の場合、支払い能力が無くなると以降の積立が停止しますが、学資保険の場合は、振込主が死亡した場合と、重度の障害を負った場合に支払いが免除されます。

よって、不慮の事故や事件に巻き込まれた時に、子どもに負担を負わせない仕組みになっています。

 

3.3 教育費の無償化制度

幼児教育から大学まで、幅広い年代の無償化がされています。

自治体や国が設置する幼稚園、保育所、認定こども園の施設利用料が無償化は、

  • 3~5歳の子ども
  • 0~2歳の「住民税非課税世帯」の子ども

が対象です。

また、会社の従業員向けに運営されている企業主導型保育事業も同条件で無償化を行っています。その他にも、幼稚園の預かり保育や、認可外保育所も認定や書類審査をした上で、無償化されています。

また、義務教育である小学校と中学校の授業料が無償化されています。

ただし、授業料は学校教育費の一項目に過ぎず、通学費や学校給食費は無償化されていません。

高等学校については、補助金制度が整備されており実質無償化されています。加えて、私立大学と国公立大学共に、入学金と授業料が減免されています。

これらの制度は、適用範囲や対象が厳しく決まっています。

適用条件のポイントは、収入額や子どもの人数などの「経済的なハンデ」があるかです。自治体によって、独自の無償化制度や支援体制を整備していることがあるので、相談窓口を利用して、情報収集をしましょう。

 

3.4 奨学金制度

奨学金制度は、進学に必要な教育費を、給付や貸与してもらえる制度です。

制度の対象は、高等学校、大学、専門学校、海外の教育機関への進学者です。

仕組みは、自治体や教育機関、法人や民間団体が、成績や家庭環境などの利用条件を設け、希望者を募集します。

基本的に複数の制度を併用可能なため、「1つの制度では、教育費が足りない」という方も安心して利用できます。

奨学金制度は、返済義務のある貸与型と、返済義務のない給付型があります。

貸与型は、卒業後に返済義務が発生し、利息がある場合と、ない場合があります。

基本的に、有利子貸与型、無利子貸与型、給付型の順で、人気が多くなり、応募数に応じて選考条件が厳しく設定されています。

注意点は、奨学金の給付が入学金の支払いに間に合わないことです。

入学金の支払期限は、合格発表後から遅くて「2週間以内」です。

しかし、奨学金の振込は「5月以降」の制度が多く、奨学金とは別に用意しておく必要があります。

 

3.5 教育ローン

教育ローンは、主に大学進学のための目的型ローンです。

教育ローンには、運営元が国と金融機関の2種類に分けられます。

金額は、国の教育ローンであれば「350万~450万円」、金融機関の教育ローンは、「数10万円」から、条件によっては「1000万円以上」の借り入れができます。

また、国が運営する教育ローンは、家庭の経済的負担軽減のために整備されたものであり、年収が一定額よりも少ない家庭しか利用できません。

一方で、金融機関の教育ローンは、ビジネスとして展開されているサービスなので返済能力の証明が重要視され、年収が一定額よりも多い家庭しか利用できません。

大学の教育費を子どもが用意しなければいけない場合、多くの方が夜間や授業のない時間帯のアルバイトをしています。本来、そうした余暇の時間は、身体を休めるか学習に充てるためにあります。

しかし、教育費の負担は、子どもの学習を阻害してしまい、十分に学問を身に着けられない可能性があります。

教育ローンは、保護者が返済義務を負うため、子どもに負担をかけません。よって、子どもに教育費の心配をさせたくない方は、教育ローンがおすすめです。

 

4 奨学金の借りすぎに注意

教育ローンは保護者が借りているため保護者に返済義務が生じますが、貸与型の奨学金は借り主が子どものため返済義務も子どもになります。本質的に貸与型奨学金は、お金の前借りであり「子どもの借金」です。

そのため、大学の教育費を全て貸与型奨学金で賄おうとすると、返済がとても大変です。

実際に、奨学金の返済は卒業後の人生に大きな影響を及ぼし、自己破産にまで追い込まれてしまうケースが多く、社会問題にもなっています。

奨学金制度を利用する際は、今までに貯めた教育費では「足りない分を補う」ということを念頭におきましょう。

 

5 思わぬ事態に備えてライフプランを建てよう

こちらを読んでいる方が、妊娠前でも育児中でも、ライフプランは必ず立てましょう。

  • いつまでにいくら教育費を貯めるか
  • どうやって貯金するか
  • 普段の生活にはいくらかけるか
  • 子どもが社会人になった後はどうするか

などを決めておくと、今後やるべきことが明確になります。

また、教育費の積立ては、生活費と貯金のバランスが重要です。

生活費を削りすぎてしまうと、ストレスの原因になりますし、貯金額を削りすぎてしまうと目標額に到達できません。

実行プランを細かく決めなくても問題ないので、最低限の目標設定だけでも決めましょう。

また、「どうしてもライフプランが立てられない」という方は、生活における幅広い知識を持っているファイナンシャル・プランナーの手助けを借りましょう。

育児は、誰もが最初は初心者です。育児に時間を取られ、やらなければいけないことや、やりたいことができないと、ストレスが溜まります。

また、ストレスによって、気分が落ち込んだりイライラしてしまうと、子どもの心身に悪影響を及ぼします。

現在はSNSが普及し、自身と同じような悩みを抱える保護者のコミュニティが作られています。先輩保護者の実体験やノウハウを吸収して、効率の良い育児を学びましょう。

 

6 まとめ

今回は、必要な教育費の額や費用項目、どうやって教育費を貯めるかについて解説しました。

ポイントは、

  • 経済的に苦しい場合は、国公立の教育機関を選ぶ
  • 教育費は、子どもが生まれたらすぐに貯め始める
  • 政府の支援制度を活用する
  • 貸与型奨学金は借金と同じ

の4つです。

子どもがある程度自由に進路先を選べるようにすることも大切ですが、できるだけ家族で話し合いをして、進路プランをすり合わせましょう。

また、子どもがある程度大きくなり、家計について理解できるようになったら、家族会議を開いて情報共有をしましょう。定期的に家族会議を開くことは、学習のモチベーション維持や現状把握に効果的です。

ペン先イラストこの記事を書いた人

hauska編集部

hauska編集部

料理、美容、ガジェット好き。最近はインテリアとQOL関連アイテムへの興味関心が爆上がり中。働くパパ・ママに向けて、生活の質の向上、楽しい子育て、仕事もプライベートも充実させるための情報など幅広く発信します。ライフハックに気軽に取り組んでいただければ幸いです。

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