子育て世代に向けた「働く・暮らす」をアップデートするWEBマガジン

子育てコーチングとは?子どもが自分で考える力を養うために

2023.06.02

育てる

子育てコーチングは、教育現場やビジネス、スポーツなどで実績のある「コーチング」という指導方法から派生したメソッドで、子どもの成長を自然な形で手助けします。

最近では積極性や自発的に考える力が社会で求められることが多くなっており、自分の子どもにもそうした力を身につけさせたいと思う親御さんも多いでしょう。積極性や自発的な思考力は無理やり教えて身につくものではありませんが、子育てコーチングはこうした力を養う上で最適な方法です。

今回は、自然と子どもに考えさせ、やる気を出させる方法、子育てコーチングをご紹介します。

この記事はこんな方にオススメ

  • 子どもに考える力をつけさせたい
  • 子どもに自発的なやる気を出させたい
  • 自然に伸び伸びと成長してほしい

子育てコーチングとは

子育てコーチングとは、子どもとの対話の中で子どもの積極性や自分で考える力を養うメソッドです。ビジネスなどで実績のある「コーチング」を子育てに応用しました。

子育てコーチングの基本となるのは「傾聴」、「承認」、「質問」という3つのスキルです。どれも特別に難しいわけではなく、日々意識して使っていくことで誰でも身に着けることができます。

 

コーチングの歴史

コーチングは1960年代にアメリカで広まったメソッドです。当時のハーバード大学助教授であるマイルズ・メイスが著書『The Growth and Development of Excutives(経営者の成長と発展)』にて、コーチングの重要性を明記したことからビジネスの世界で使われるようになりました。

子育てのメソッドと聞くと怪しいと思う方もいるかもしれませんがコーチング自体は多くの結果を残し、その効果が認められた方法です。昨今のコンサルティングやオンラインサロンブームなどで指導メソッドに対する信頼は低下していますが、子育てコーチングは学ぶのにお金は掛からないですし、デメリットがあるわけでもありません。一度試してみて、向いてないと感じたならばすぐに止めることができます。

 

コーチングの効果

コーチング(Coaching)は、しばしばティーチング(Teaching)と対比して語られます。

ティーチングは指導者が生徒に対して方法論を示し、その通りにやらせます。指導者は問題解決のための最適な方法を知っているので、その通りにやれば生徒は最短経路で目的を達成できます。その反面、生徒は指示に従っていればよいので、自身で考える力が付きません。問題を解決できたとしても、なぜ解決できたのかは分からないままです。

対して、コーチングでは生徒に目的達成の方法を直接教えることは致しません。生徒に対し、「どうすれば目的達成できるだろうか?」と質問を投げかけ、生徒が考えた方法で問題解決に取り組ませます。当然、生徒の考えた方法では上手くいかないことがあります。上手くいかなかったときはその都度「なぜこのような結果になったのか?」を考えさせます。

このようにして問題解決に取り組ませれば、生徒は「なぜ上手くいったのか」を理解でき、自分で問題を解決したことで自信を持てます。続けていけば、自然と自分で考える習慣が身に付き、似たような問題にぶつかったときにも過去の経験を活かして応用的に問題を解決できるようになるでしょう。

 

子育てへのコーチングの応用

コーチングを子育てに応用したものが「子育てコーチング」です。上で紹介したような方法は子育てにもそのまま応用できるものですし、同様の効果が期待できます。

ただし、子育てコーチングの場合には生徒が「子ども」だということに注意が必要です。子どもは目的達成のための強いモチベーションを持っているわけではないですし、子育てコーチングの受講者となることに同意しているわけでもありません。

コーチングを受けさせるために工夫が必要なので、その意味ではビジネスにおけるコーチングより難しいと言えます。

 

子育てコーチングの3つのスキル

ここからは子育てコーチングの具体的な方法について解説します。

【POINT】子育てコーチングに必要となるのは、
①「傾聴」
②「承認」
③「質問」の、3つのスキルです。

 

 

傾聴

傾聴とは注意を払って耳を傾けることです。コーチングはまず子どもの話を聞くことから始まります。

当たり前ですが子どもの話を聞いていると、話が終わらないうちにその話の結論が見えてきますし、途中でつまらなくなってしまうでしょう。しかし、そこで話を遮ってしまうのではなく、話の最後まで聞いてあげてください。話を遮られると次からは話そうとしなくなるかもしれません。

また、どれだけ話に共感してあげられるのかも重要なスキルです。興味がなさそうに話を聞かれれば、その人に話したくなくなるというのは理解できるでしょう。

こうして子どもの話を興味深く聞いてあげられれば、その意見に価値があることを感じさせ、子どもの自尊心や子どもとの信頼関係を高めることができます。

 

承認

子どもの意見や子どもが取る方法には多くの間違いが含まれています。しかし、それら子どもが考えた方法を全て否定していては自分で考える力や問題解決能力が引き出されません。多少間違っていても、それを頭から否定せず、やらせてみて、経験を積ませることが重要です。自分で考えた方法であれば、それが間違っていたときにどこが間違っていたのかを考えることができます。大人に指示された方法であれば、失敗したときに何を失敗したのか理解できません。

もちろん、全てを承認すればよいというわけでもありません。危険な方法で、自分や他人に危害が及ぶ方法であれば、大人がそれを止めることが必要です。しかし、止めるときには可能な限り「なぜダメなのか」を教えてあげましょう。

 

質問

子どもは「なんでなんで?」とよく聞いてきますが、そのときに「なんでだと思う?」と答えるのも子育てコーチングです。質問をすることで自分で考えるきっかけを作り、立ち止まって思考力を深める習慣を作ることができます。

子どもに質問をしても最初のうちは上手に答えることはできないでしょう。質問に答えるということはとても高度な知的作業です。読者の皆様も、自分が今まで考えたこともないような内容について、いきなり質問をされたら、答えに詰まってしまうのではないでしょうか。

子どもに質問をしたとき、その答えを知っている側からすれば「なんでこんなことにも答えられないのだろう」とイライラしてしまうこともあるでしょう。しかし、そこで答えを急かしたり、大人がすぐに答えを言ってしまうことは避けたいところです。子どもが考える姿勢をとっている限り、子どもの口から答えが発せられることを待ってあげてください。

また、子どもが考えて答えを出したなら、その答えが適切なものでなかったとしても、「考えて答えを出した」というプロセスをほめてあげてください。答えを訂正するのはその後でも大丈夫です。

 

具体的な子育てコーチングの実践例 

子育てコーチングの基本となる3つのスキルについて解説しましたが、具体的にはどのような場面で使っていけばよいのでしょうか。その活用例として分かりやすいものをいくつか紹介します。

 

相づち、オウム返し

子どもの話を「傾聴」することは時には大変困難です。

そんな時には子どもの顔を見て相づちを打ったり、子どもの言葉をオウム返しに繰り返すことを意識してみてください。形から入ることで自然と子どもの話に耳を傾けることができます。

コミュニケーションは言葉のキャッチボールなので、子どもが楽しくなれば聞いてる側もその楽しい気持ちが伝わってきます。普段他の大人と会話するときと同じように、会話を盛り上げようとする努力は子どもとの会話でも必要です。

何か楽しいことあった?という質問

質問をするときはその内容も重要です。

「テストの点が悪かったのはなぜ?」であったり、「ママが怒っているのはどうしてだと思う?」という質問を投げかけられる子どもの気持ちを一言で表せば「ウザい」でしょう。子どもの年齢が上がるほどに、面倒な質問に対する回答は淡泊になっていくことが予想されます。

何か聞きたい、子どもとコミュニケーションを取りたいときにおすすめなのが「最近、何か楽しいことあった?」や子どもが熱中していることに対して「それってどういうところが面白いの?」という質問です。

楽しいこと、自分が好きなことに関しては夢中で話してくれるでしょうし、話のきっかけになります。

 

子育てコーチングで注意すべきこと

最後に、子育てコーチングをするときに注意すべきことをいくつか紹介します。

 

子どもをコントロールしようという考え方

コーチングという考え方と真逆にあるのが、「対象をコントロールしよう」という考え方です。教師が自身で問題解決の道筋を事前に決めてしまい、その通りにならなかったら逐一修正していく、という方法はコーチングには当てはまりません。子どもをコントロールしようとすると、子どもの行動すべてにイライラすることになります。

子育てコーチングをする際には、ミスを許容したり、予想外の方法で問題解決することを楽しみましょう。

 

子どもの話を聞くことは時間と忍耐が必要

ここまで、子育てコーチングの方法を見てきて「当たり前の事しか言っていないじゃないか」と思った方は多いと思います。しかし、いざ実践となると意外と難しいのが子育てコーチングです。なぜなら、子育てコーチングには時間と忍耐が必要だからです。

どれだけ子どものことが好きでも、自分に興味がないことを永遠と聞き続ければ苦痛でしょう。子どもは大人が興味を持つような話題を選ぶ能力もないですし、話術のスキルもないため、話がつまらないのは当たり前です。無理に子育てコーチングを実践しようとすれば、ストレスが溜まり、他のことに影響が出てしまいます。

子育てコーチングをする上で覚えておきたいこととして、子どもとの対話の全てでコーチングを意識する必要はありません。時間と心に余裕があるときにだけでも、子どもに考えさせ、それを見守ることができれば十分です。無理せず、できる範囲で続けていきましょう。

 

すぐに効果は出ない

子どもに考える力がついているかどうか、積極性が身についているかどうかは結果としてすぐには現れません。子育てコーチングをするときには、最初から「すぐに結果は出ないものだ」ということを意識しましょう。

結果が出ることを焦る気持ちは自身や子どもにとって逆効果となります。

 

子どもにだけ考えさせない

子育てコーチングは子どもに考える力を養わせるものですが、子どもにだけ考えさせていてはその力は養われません。上司や目上の人から「これ考えといて」と言われ、後日、そのことを忘れてしまった上司に「何のこと?」と言われたとして、次からちゃんと考えようという気になるでしょうか。子どもも同じです。

親が考えているかどうか、真面目に子どもと向き合っているかどうかを子どもはちゃんと分かっています。子育てコーチングをするときには、子どもが考えていることに対して、自分自身も子どもの考えをトレースしてあげるようにしましょう。

中には、子どもにも、親である自分自身にも分からない問題があるかもしれません。そうした問題を子どもと一緒に解決し、自分自身の考える力を養っていくことも子育てコーチングの楽しみの1つです。「こうやって考える力を養うのだ」という姿のお手本を子どもに見せてあげてください。

 

こんな記事もおすすめです。

子育てと勉強は両立可能!両立するコツや効率的な勉強方法を解説

子育てには都会と田舎のどちらが向いている?双方のメリット・デメリットを解説

ペン先イラストこの記事を書いた人

hauska編集部

hauska編集部

料理、美容、ガジェット好き。最近はインテリアとQOL関連アイテムへの興味関心が爆上がり中。働くパパ・ママに向けて、生活の質の向上、楽しい子育て、仕事もプライベートも充実させるための情報など幅広く発信します。ライフハックに気軽に取り組んでいただければ幸いです。

こんな記事も読まれていますMore articles