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男性が育休でやることは?カレンダーやタイムスケジュールで解説

2023.06.16

育てる

日本では男性が育休を取りやすい仕組みが整備されつつありますが、依然として「男が育休を取ってもやることがない」と考えている人もいます。そこで夫が育休中にやるべきこと、できることを、ポイントとともに説明します。

1日のタイムスケジュールや期間中のカレンダーをヒントに、育休中の生活シミュレーションに活用してみてはいかがでしょうか。

この記事はこんな方にオススメ

  • 育休を取る予定の男性
  • 育休取得をしようかどうか迷っている人
  • 夫の育休中の過ごし方についてケンカをしたくない夫婦

1.育休を取る前に知っておきたいこと

子供と会話するときのコツや注意点は?話が弾むトピック例も紹介

2022年、ママ向けアプリ会社の調査で「育休を取った男性の約3人に1人が、家事・育児時間が2時間以下だった」という結果が報告されました。これをきっかけに「取るだけ育休」という言葉を見聞きするようになった人も多いでしょう。

妻は出産直後から、睡眠時間を削っての授乳や、頻回の抱っこなどの世話に突入します。ホルモンバランスも乱れがちで気持ちに余裕がなくなるので、作業を人に指示したり一つ一つチェックしたりするのも億劫になるかもしれません。出産前から、夫の育休中の過ごし方について妻と共にしっかりとイメージをすり合わせておきたいですね。

まずは育休に向けてマインドセットを整えてください。「休暇期間中は出来る限り育児に参加する」という考えでは不完全です。共働きであれば「夫婦の職場復帰後にも、どちらかが極端に消耗することなく、円滑に生活を回していくための研修期間」と考えましょう。

そのためには、育休終了時点で、妻と同じ目線で、同じレベルの家事や育児ができるようになっているのが理想的です。

 

2.妻と一緒に、子どもとの生活について情報収集する

まずは育休前から妻とともに情報収集して、子どもの成長の目安を予習しておくのがおすすめです。

2.1 月齢ごとの赤ちゃんの成長について学ぶ

育児未経験の人は、赤ちゃんはどの月齢でも同じように見えるかもしれません。しかし実際は生後3カ月の子と8カ月の子とでは、食事の回数や内容、寝る時間、できる動作もまったく異なります。

まずは育児書や育児サイトを利用して「赤ちゃんが生後何カ月ぐらいでおおよそどんな生活を送るのか」の知識をつけておきましょう。ただし発達には個人差があります。あくまでも目安と考えましょう。

妻が先に学び始めている場合は同じ本やサイトを紹介してもらい、認識を合わせてくださいね。

 

2.2 地域の育児関連施設などを調べる

次は住んでいる地域の制度や支援、施設などを確認します。

いずれ通わせる保育園や幼稚園だけでなく、育児中はさまざまな公共施設に足を運ぶ機会が増えます。自治体の育児に関する相談窓口、子どもを遊ばせる児童館や公園、予防接種を受ける病院などは最低限把握しておきたいところです。

子育て支援策を独自に設けている自治体もあります。Webで情報収集したり窓口で資料をもらったりして、使える制度があるかどうかも調べておきましょう。

ベビーカーで移動するようになると、駅や施設の中でどこにエレベーターがあるのかなども調べながら行動する必要があります。そうした点も予習をしておくと、困ることが減ります。

 

2.3 タスク分担表ではなく「子どもに対応できるチーム」を作る

家事・育児の分担を、夫婦で試しながら決めていく仕組みを作りましょう。子どもの成長にしたがって、必要な世話や視点がどんどん変化します。

単に夫と妻のタスク分担表を作るのではなく、「臨機応変に子どもに対応できる夫婦2人のチームを作る」というスタンスにしておくと、妻も心強いでしょう。

育休期間中のカレンダーとタイムスケジュールを夫婦で書き出して共有し、やるべきことを一緒に整理してみるのもおすすめです。

 

3.生後3カ月の子がいる家庭の1日のタイムスケジュール例

子供のしつけは何歳から始めればいい?年齢別のしつけ方やポイントを解説

一例として、生後3カ月の子がいる家庭の1日のタイムスケジュールを紹介します。

生後3カ月の赤ちゃんは体重が出生時の約2倍になり、首が座って抱っこの時の安定感が増します。昼夜のリズムがようやく整いはじめ、音に反応して笑うなど、コミュニケーションが取れるようになる時期です。

3.1 朝

6:00 起床、親の朝食準備、赤ちゃんの世話(授乳・オムツ替え)

7:00 朝食、片付け、自分の身支度

8:00 赤ちゃん朝寝、掃除、洗濯

10:00 赤ちゃんの世話、公園へ散歩

この時期で授乳・ミルクは1日で平均6〜8回程度です。子どもが「今、1回あたりどれくらい飲むのか」量を把握しておきましょう。すぐに飲み干す子もいれば、ゆっくりと時間をかけて飲む子もいます。授乳後はげっぷを出させるために毎回抱っこが必要です。

外気や光、音などの刺激を受けるため、散歩は重要です。天気の良い日はできるだけ出かけましょう。午前中は昼間よりも気候的にも過ごしやすく、赤ちゃんの機嫌がいい場合が多いのでおすすめです。

外出は「出先でもしミルクを欲しがったら…」「服を汚したら…」など、不測の事態に備えるため、多くの荷物を準備していきます。

また夕方になって理由なく泣き出す「たそがれ泣き」という現象があります。あやすたびに家事の手が止まるので、掃除や洗濯などのルーティーンは午前中のうちに済ませておくほうが安心ですね。

 

3.2 昼

11:00 昼食準備、赤ちゃんの世話

12:00 昼食、片付け

13:00 室内遊び、赤ちゃんの世話~昼寝、洗濯物干し

15:00 赤ちゃんの世話、買い物

16:00 夕食準備

17:00 赤ちゃん入浴、授乳

昼夜のリズムにも個人差があり、夜中に起きて泣く子もまだまだいます。朝寝や昼寝も複数回あるでしょう。

夜きちんと寝るようになると、親はようやくまとまった睡眠を取れるようになります。夫婦がお互いできるだけ長く睡眠が取れるよう、時間帯を区切ってタスクを担当するのも良いでしょう。

入浴は意外と細かな付帯作業が多い世話です。赤ちゃんをベビーバスや浴槽に入れるだけではなく、適温・適量のお湯や着替えの準備、上がってからの水分補給や肌の保湿まで、夫が一人で一通りできるのが理想です。

赤ちゃんは「眠い」というだけでも泣きます。なかなか泣き止まないと「やっぱりママがいいのかな」と不安になるでしょう。しかしできるだけあきらめずに試してみてください。パパもママと同じで、とにかくたくさん経験を積むことが重要です。

 

3.3 夜

18:00 夕食、片付け

19:00 赤ちゃんの世話、大人入浴、風呂掃除

20:00 赤ちゃん寝かしつけ~就寝

21:00 親の自由時間

24:00 授乳、大人就寝

27:00 授乳

寝かしつけは育児の中では難易度の高いタスクです。眠りにつくまでに2時間、またはそれ以上かかるという子もいます。抱っこしていたら寝たのに、ベッドに置くと起きて泣き出す「背中スイッチ」と呼ばれる現象もよく起こります。

生活リズムを把握するには、育児アプリを使うと便利です。授乳や睡眠、おむつ替えの時間を記録することで、子どもの生活リズムが視覚的に認識できます。子どもの睡眠や機嫌の良い時間が予測できるようになると、親も休息時間を設定しやすくなります。

乳幼児突然死症候群(SIDS)という原因不明の病気があります。月齢が小さいうちは、子どもが寝たら寝たで「ちゃんと息をしているか心配になる」という気持ちが芽生えるかもしれません。心配しすぎると大人もストレスで消耗してしまうので、適度にチェックするようにして、夫婦の会話やお互いの息抜きの時間も大切にしましょう。

ここに挙げたタイムスケジュールはあくまでも一例です。子どもや妻の様子を見ながら、妻と確認・相談して動くのがポイントです。

※参考サイト

生後3ヶ月の赤ちゃん|たまひよ【医師監修】発育発達

https://st.benesse.ne.jp/ikuji/0years/3month/

 

3.4 子どもの成長段階によって必要なケアや注意点も日々変化する

子どもの睡眠リズムやおむつ替えの回数、ミルクの量、離乳食の内容などは、成長に合わせてどんどん変化します。寝返りを打ち始めたら「うつぶせになっていないかどうか」、はいはいし始めたら「部屋の中に危険な箇所がないか」など、注意を向けるポイントも変化します。

育児への関与度が低いと「今、必要なケアは何か」がわからなくなるのが困りどころです。積極的に関わっていくほど、体調や機嫌の予測や、ケアについてより良い判断ができるようになるでしょう。

また兄弟がいる家庭では不測の事態が同時多発しがちです。上の子の気持ちも含めてしっかりケアし、対処の優先順位を付けられるようになる必要があります。

 

4.ルーティーン以外のタスク

片付けをしない子供へのNG対応

家事や育児というと、家の中で過ごすイメージが強いかもしれません。実際は家の外へ出かけたり、外部とやりとりするタスクも多くあります。

 

4.1 妻と子ども、自分の体調管理

人のケアはタスク化できる「お世話」だけではありません。赤ちゃんや妻の体調に気を配ることも重要です。

産後は子どもも母体も定期的に健康診査を受ける必要があります。また健診の結果、すぐに肌が荒れてしまう子や、鼻水が多い子などは皮膚科や耳鼻科に定期通院を要する場合があります。

また赤ちゃんは病気予防のため、驚くほど多くの予防接種を受ける必要があります。いつまでに何の注射を打つかは、細かくスケジューリングされています。予防接種を後回しにすると面倒なので、必ずチェックしておきましょう。

妻は産後6~8週間は「産褥期」という回復期にあたり、負荷の高い作業は禁物です。特に産後1カ月間は、医師から外出不可とされています。家の中の力仕事や外出が必要な用件は、積極的に担当すると良いでしょう。

とはいえ自分自身が無理をして体調を崩さないよう、適度な睡眠や運動、息抜きを心がけてください。

 

4.2 行政や会社への手続き

さまざまな手続きも忘れてはいけません。特に出生直後には役所などに提出する書類が多くあります。

一部の書類は、親の就業形態や出産にかかった費用などによって提出先や要否が異なります。出産前から提出先や期限を夫婦で調べておくことをおすすめします。病院や会社とのやりとりも増えるでしょう。

 

【POINT】

産後に提出や確認が必要な手続き

・出生届

・児童手当

・健康保険

・乳幼児医療費助成

・出産育児一時金

・高額医療費助成

・出産手当金

・育児休業給付金

・医療費控除

 

4.3 保活

地域によっては、子どもを保育園に預けるための活動、いわゆる「保活」が重要な場合があります。

まずは夫婦で話し合い、4月の新年度から利用申し込みするのか、年度途中で早めに預けて復帰するかどうかなどの方針を確認します。

次に預け先の優先順位を決めましょう。保育園か幼稚園か、自宅の近くか職場の近くか、保育・教育方針などを検討してください。

保育園や幼稚園は、インターネット上にはまとまった情報があまりありません。細かな情報は書類を取り寄せる…というケースもまだ多いです。必要に応じて役所に出向き、情報収集してください。

施設は利用前に見学しましょう。自治体によっては利用申し込み前の見学を必須にしているところもあります。施設への見学日時は、個別に確認してください。

新年度から利用する場合、9〜10月など半年ほど前が申し込み期限という自治体もあります。保育施設については、できれば産前からリサーチし、どう動くか夫婦で計画しておきましょう。

 

4.4 家計の見直しや教育資金計画

子どもが生まれると何かとお金が必要です。家計の見直しや教育資金計画に着手しましょう。

子どもの学校を公立にするか私立にするか、大学から住まいを独立するかどうかなどで準備する金額が変わります。

教育資金作りには児童手当、学資保険、預貯金、積立投資などを組み合わせる家庭が多いようです。

子どもの名義の口座開設や定期的な出費の見直し、支払い方法変更手続きなども育休中にまとめて済ませておくと、復帰後にバタバタしません。

育休期間は、保険や働き方などの親のライフプランなどを見直すにも良い時期です。子どもが何歳頃にどれだけのお金が必要かシミュレーションしながら、「何歳までにはこんな感じで」とお互いの働き方を確認ないし再検討してみてはいかがでしょうか。

 

4.5 その他のタスク

その他には以下のようなことも必要になるでしょう。

・親戚や職場から出産祝いを受け取った場合、お礼の品や挨拶状の手配

・衣服、抱っこひも、ベビーカー、チャイルドシート、ベビーマグ、おもちゃなど、育児用品の選定や調達

・子どもの行動範囲が広がるにしたがって、模様替えや危険箇所対策で部屋を安全・清潔に整えること

行事を大切にしたい家庭であれば、その段取りも必要ですね。生後1カ月のお宮参りや100日目のお食い初め、初節句などです。ハーフバースデーを祝う家庭もあります。実家や義実家からも要望がある場合は、意見や役割を調整しながら進めましょう。

 

4.6 育休中の12カ月カレンダー

日々のタスク以外で「産後1年間にやること」をまとめました。これを一例に、育休取得の時期を決める目安にしてみてくださいね。

・生後1カ月 出生関連の手続き、外出不可の妻の手助け

・生後2カ月 1カ月健診、お宮参り、散歩開始、出産内祝いの段取り

・生後3カ月 3~4カ月健診、予防接種開始、お食い初め、保活開始

・生後5カ月 離乳食開始、予防接種、保育施設入所申し込み

・生後8カ月 室内の安全確保(ハイハイし始め)、予防接種

・生後12カ月 保育施設入所準備

5.こんな過ごし方をする人も

子供に片付けを教える時期

家事や育児に慣れてきたら、こんな過ごし方をする人もいます。

 

5.1 自分の資格取得などのスキルアップ

子どもや妻の体調や生活リズムが安定し、自由時間が確保できるようになったら、資格取得などの勉強に当てることもできます。

自宅から参加できるオンラインセミナーやレッスンなどを活用するのも良いでしょう。

ただし育休開始前から自分のスキルアップに宛てる時間を期待しすぎてはいけません。あくまでも家事や育児に余裕ができてきたときに始めてください。

 

5.2 家族旅行

平日の家族旅行もおすすめです。職場復帰後にはなかなかできません。大人にとっては息抜きに、子どもにとっても自宅以外で寝食する貴重な体験になります。

近年は、さまざまなサービスで赤ちゃん連れの家族を歓迎する宿が増えています。生活に慣れてきたら計画を立ててみてはいかがでしょうか。

また、家族で地方や海外に数カ月単位で滞在したという人もいます。住んでいる地域と違う環境で子どもと暮らしてみるのも、意義ある経験になるかもしれません。

 

5.3 地域の行事やグループ活動に参加する

地域の行事やグループ活動があれば、参加してみてはいかがでしょうか。

児童館や図書館で、赤ちゃんとその親向けに開催されているイベントなどがおすすめです。

育児について情報交換や相談をできる人と知り合える機会になるかもしれません。また家庭と職場以外にも、つながりを広げておくと安心です。

 

6.復帰後に困らないために準備しておきたいこと

育休期間は「復帰後の生活を円滑に生活を回していくための研修期間」です。家事・育児の現場で作業の大変さを把握したら、次は「負担をいかに減らすか」を考え、試していきましょう。

 

6.1 時短家電を導入する

育休復帰後は家事・育児に割ける時間が激減します。家事の時短につながる家電製品の導入を積極的に検討しましょう。

「全自動洗濯乾燥機」「食器洗い乾燥機」「ロボット掃除機」のほか、ほったらかしで料理が完成する電気調理鍋や、両手がふさがっていても声で操作できるスマート家電などがおすすめです。

 

6.2 ベビーシッターや家事代行を試してみる

一度家事を外注してみるという手もあります。

たとえば家事代行で、料理が負担であれば料理の作り置きを、掃除の気が進まないのであれば清掃を頼んでみてはいかがでしょうか。

復帰後はなかなか家の中のことに気が回らなくなります。親の精神面を含めた費用対効果を知り、要否を判断するために「お試し利用」してみるのも一案です。

ベビーシッターは、未就園の子どもにとっても親離れの練習になります。ベビーシッター派遣会社やマッチングサービスなどを通じて利用できますので、家庭に合った事業者を調べてみてください。

 

7.育休は夫が父として成長する絶好のチャンス

男性が育休期間にできることや、おすすめの過ごし方について紹介しました。

スケジュールやカレンダーはあくまでも一例で、実際は母子の健康状態により異なります。とはいえ、これまでに経験したことのない新しい日常を実感する期間になることには間違いありません。

日々の細かな赤ちゃんケアはもちろんのこと、「家の中で今何が必要か」を察知して判断できるようになると、妻も心強いでしょう。

育休は親として成長するチャンスととらえて、ぜひ積極的に家事・育児に関わってくださいね。

 

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hauska編集部

hauska編集部

料理、美容、ガジェット好き。最近はインテリアとQOL関連アイテムへの興味関心が爆上がり中。働くパパ・ママに向けて、生活の質の向上、楽しい子育て、仕事もプライベートも充実させるための情報など幅広く発信します。ライフハックに気軽に取り組んでいただければ幸いです。

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