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子育て支援が手厚い自治体10選【2022年最新版】
2022.11.04
子育ては、手間もお金も掛かります。若い世代やひとり親ほど、負担は大きくなります。そのため、近年は子育て支援の手厚い自治体に注目が集まっています。
今回は、子育て世帯のパパママ向けに、子育て支援が充実している自治体を10選で紹介します。自治体独自の子育て支援が必要とされる理由や支援制度の種類も解説しました。移住を検討中のパパママは、ぜひ参考にしてください。
この記事はこんな方にオススメ
- 自治体が実施している子育て支援の内容が分からない
- 移住先の選び方が分からない
- 子育て支援が手厚い自治体を知りたい
1 自治体の子育て支援が注目される理由
近年、少子高齢化の対策を始めとする社会問題解決の糸口として、自治体の子育て支援が注目されています。その理由を解説します。
1.1 共働き世帯の負担を減らすため
共働き世帯は増加傾向にあります。核家族世帯(夫婦、あるいは親子で構成される世帯)も今後増加すると見込まれています。
両親ともに働きながら子育てをするためには、十分な支援が欠かせません。そのため、共働き世帯への支援は、国内産業の維持発展に直結する重要な施策と位置付けられています。
自治体には、国の政策では手の行き届かない細かな子育て支援が求められています。
1.2 地域による所得の格差が広がっているため
三大都市圏(東京、大阪、名古屋)を中心とした都市と地方との間では、所得格差が広がっています。地方から都市への人口流出も加速しています。自治体は人口流出に歯止めをかけるために、所得格差からくる子育て負担を軽減する支援に力を入れています。
1.3 若い世帯の子育ては経済的負担が大きいため
高齢化と単身世帯の増加により、所得分布の偏りが拡大しました。特に若年層で顕著で、所得格差が問題になっています。パパママの年齢が20〜30代という若い世帯は世帯収入も概して低く、子育ての金銭的負担の軽減が必要です。
自治体は、地方の少子化の解消のため、経済的負担が大きい若い世帯の子育てを支援し、若年層の人口流入に尽力しています。
2 自治体が行っている支援制度の種類
子育て支援の需要拡大にともない、自治体では保育支援や助成金、補助金制度の整備、就労支援や職場環境の整備など、幅広い分野で支援を行っています。ここからは自治体支援の概要や、制度の対象世帯について解説します。
2.1 派遣型保育や夜間休日の預かり保育サービスの提供
子育て世帯の負担軽減を支援するために、保育を代行するサービスが提供されています。また一部の自治体では、自治体独自の保育ママの登録制度を設け、保育ママの自宅もしくは子どもの自宅で子育てを代行するサービスも実施しています。
代行サービスは、パパママ向けのカウンセリングや相談サービスも兼ねているため、子育てに悩みや不安を抱えている方におすすめの子育て支援です。
また、地域子育てセンターを設置している自治体もあり、休日深夜対応の一時保育を提供しています。
2.2 学童保育の設置と利用条件の緩和
小学生以上の子どもを対象とした、放課後児童クラブ・学童・交流スペースの設置が行われています。
一部の自治体では、幼稚園・学校の空き教室や商店街の空き店舗を利用し、利用条件などを緩和(あるいは無条件に)することで、都市部の学童を利用できない世帯の人口流入を図っています。
主に、学校から帰っても家にパパママがいない家庭を対象とした制度であり、共働き世帯やひとり親世帯の方に、おすすめの子育て支援です。
2.3 親子サロン・子育てサークルの設置
子育ての情報共有やアドバイス、子育てに対する不安やストレスの軽減を目的として、親子サロンや子育てサークルが開催されています。
親子同士のネットワークが形成されれば、国や自治体の支援が行き届かない世帯に対する支援も可能になります。そのため、親子サロンや子育てサークルでは子育て世帯同士の交流を促進し、互助的な子育て支援ネットワークの形成を支援しています。
親子サロンや子育てサークルの設置は、身近に相談できる相手がいないパパママや、ひとり親世帯の方におすすめの子育て支援です。
2.4 電話相談窓口の設置や出張相談
子育てに関する悩みやストレスの解消と情報提供を行うために、自治体独自の相談施設が設けられています。相談施設には保育士や保健士が、場所によっては助産師や小児科医も在籍しており、カウンセリングだけでなく、専門家のアドバイスが受けられます。
子育ての経験がないパパママや、子育てに不安やストレスを抱えている方に、おすすめの子育て支援です。
2.5 子育てに適した住宅の整備や移住支援
子育てに適した住環境を整備するために、賃貸事業主や建設業者に対する支援制度(インセンティブ、助成金)や、子育て世帯に対する家賃補助や補助金制度が整備されています。
加えて、一部の自治体では、子どもの数に応じて金額が加算される給付金制度や、地域外からの移住に対する補助金制度なども用意されています。給与が少ない世帯や収入が安定しない世帯に、おすすめの子育て支援です。
2.6 育休や時短勤務など職場環境の整備支援
子育てと仕事の両立を支援するため、出勤時間を遅らせる時差出勤制度や育休制度を導入した企業に対する助成金制度が設けられています。加えて、男女共同参画を推進する企業を審査し表彰するシステムを導入している自治体もあります。
共働き世帯やひとり親世帯など、子育てと仕事の両立に悩んでいる方に、おすすめの子育て支援です。
2.7 給付金・支援金制度の整備
所得格差による子育て負担の増大を抑えるため、低所得の子育て世帯や子沢山世帯を対象とした給付金制度や支援金制度が整備されています。加えて、独自の支援制度を設けている自治体もあり、過疎地域への移住や住宅取得に対する補助金が用意されています。
給与が少なく安定しない世帯や就労が難しい世帯の方に、おすすめの子育て支援です。
2.8 子育て世帯の医療費の助成制度の整備
子育て世帯の医療費負担を軽減するため、子どもの医療費に対する助成制度が用意されています。助成制度では、子どもが成人するまで、健康保険が適用される診療を受けた場合の医療費自己負担額が補助されます。
多くの場合、パパママの給与や扶養状況に左右されず、地域内に住んでいれば受給資格が得られるため、給与が低く安定しない世帯以外の方にも、おすすめの子育て支援です。
2.9 給食費や学習費の助成制度の整備
政府が実施している給付金制度や補助金制度に加えて、独自の支援制度を設けている自治体があります。
自治体の支援では、政府の支援が行き届かない給食費や学習費などの支援が用意されています。そのため、国と自治体の制度を合わせて利用することで、教育費の大幅な削減が可能です。
ただし、多くの場合、自治体の支援制度には、政府の給付金制度や補助金制度と同様に、受給資格が細かく設定されています。移住前に、受給資格に当てはまるか必ず確認しましょう。
2.10 就労や資格取得の支援
少子高齢化と過疎化の是正のため、移住を条件とした就労や資格取得の支援制度を設けている自治体があります。支援内容としては、職業訓練の給付金制度や資格取得の費用補助、職業あっ旋などが行われています。
子育てと仕事の両立や移住先での就労に不安のある方におすすめの子育て支援です。
3 自身に合った移住先の選び方
自治体が実施している子育て支援は、多岐にわたります。そのため、自身に必要な支援を理解して移住先を考える必要があります。
3.1 産後に共働きを考えている-保育・幼児教育制度の充実
産後に共働きをしようと考えている場合、重要なポイントは、働きに出ている間の子育てです。
核家族世帯では、共働きで外へ働きに出る場合、日中に両親が自宅を空けることになり、子育てと仕事の両立が難しくなります。そのため、共働き世帯で移住を考える際は、自治体によって保育や幼児教育の子育て支援が用意されているかが、重要なポイントです。
また、子育てしやすい職場環境の整備や就労支援の充実も重要です。日中の子育てに関する支援が充実していても、勤務時間や働き方に問題があれば、子育てと仕事の両立はできません。
3.2 小学生の子どもと移住を考えている-学童や親子サロンの充実
小中学生の子どもと移住を考えている場合、親子共に移住に対する不安やストレスが大きくなるため、精神的なケアや支援が重要です。
住み慣れた環境から新たな土地への移住は、親しい友人や知人と離れることになり、精神が不安定になります。加えて、小学生高学年から中学生の時期は思春期に入るため、移住に対する不安やストレスから親子関係が悪化しかねません。
したがって、小中学生の子どもと移住を考える際は、学童の設置や助成金制度に加えて、親子サロンや相談窓口など、親や子ども同士のつながりを支援している自治体を選ぶことが重要です。
3.3 所得が不安定な世帯-医療費の助成や就学支援制度の充実
所得が不安定な世帯にとって、子どもの養育費や教育費の用意は負担が大きいものです。そうした世帯であれば、養育費や教育費の支援を行っている自治体への移住がおすすめです。
中には、医療費や学校教育費の無償化や就学支援制度を整備している自治体もあり、政府の実施している制度と組み合わせて利用することで、金銭的負担の大部分を軽減できます。
3.4 ひとり親、周りに頼れる親族がいない世帯-相談窓口や親子サロンの充実
ひとり親世帯の子育てで最も重要な点は、身近に子育ての悩みや不安を相談できる誰かがいるかどうかです。
子育ての不安やストレスを1人で抱え込んでしまうと、育児ノイローゼに発展してしまう可能性があります。そのため、ひとり親世帯で移住を考えている方は、相談窓口や親子サロンを整備している自治体への移住をおすすめします。
4 子育て支援の手厚い自治体10選
以下では、日本国内で特に、子育て支援に力を入れている自治体を紹介します。
4.1 兵庫県明石市-医療費無償化や子育て関連用品の配布
兵庫県明石市は、所得制限なしに、さまざまな子育て支援を実施しています。5つの無償化制度に加えて給付金制度や子育て関連用品の無料配布なども行われており、子育て世帯の移住者は年々増加しています。
あらゆる分野の子育て支援を包括的に行っているため、すべての子育て世帯におすすめの自治体です。
◎兵庫県明石市の子育て支援例
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4.2 新潟県上越市-行政直営の24時間型保育施設
新潟県上越市は、行政が24時間型年中無休の保育所を直営しています。
就労や疾病、介護や子育て疲れのリフレッシュなど、様々な理由で利用が認められており、上越市内に住んでいれば、誰でも気軽に利用できます。そのため、共働き世帯や、仕事で残業・出張が発生する方におすすめの自治体です。
その他にも、所得の少ない子育て世帯に対する給付金制度や、子ども医療費助成制度が用意されており、所得が少なく不安定な方にもおすすめです。
4.3 大阪府大阪市-夜間休日の預かり保育と相談窓口
大阪府大阪市は、保育所を基盤とした多様なサービスを提供する保育施設を整備しています。保育施設では、相談窓口や子育てサークルの設置、夜間休日対応の保育などを提供しています。
加えて、子どもの医療費助成や、給食費や学校教材費の援助、妊婦を対象とした健康診断や産後ケアの提供などが行われており、妊娠中の世帯や共働き世帯の移住に、おすすめの自治体です。
4.4 東京都小金井市-産後支援ヘルパーの派遣
東京都小金井市は、ヘルパーを派遣して産後の母親を支援するサービスを整備しています。ヘルパー派遣サービスでは出産後のママを対象に、授乳やおむつ交換、食事の準備を代行してもらえます。
低所得世帯は無料でサービスを利用できるため、妊娠中あるいは産後世帯の移住に、おすすめの自治体です。
4.5 栃木県宇都宮市-満18歳まで医療費の自己負担なし
宇都宮市は、市内在住の満18歳までの子どもを対象に、医療費の自己負担額を助成する制度を提供しています。制度を利用することで、栃木県内の病院で診療を受けた際に窓口での支払いが不要になります。
加えて、妊婦を対象とした医療費の助成金制度や、無償の歯科検診の提供なども行っているため、収入が少なく不安定な世帯や妊娠中の世帯に、おすすめの自治体です。
4.6 千葉県松戸市-祖父母宅の近くでの住宅取得を支援
千葉県松戸市では、親元に住まいを取得する子育て世帯を対象に、補助金制度を整備しています。三世代同居を推進することで、祖父母が子育てに参加しやすい環境を整え、パパママの子育てと仕事の両立を支援します。
加えて、保育園や幼稚園の増設にも注力しており、待機児童の削減に成功している自治体です。そのため、共働き世帯やひとり親世帯の移住に、おすすめの自治体です。
4.7 富山県富山市-ひとり親世帯への家賃助成
富山県富山市では、市内のひとり親世帯の家賃助成事業を行っています。加えて、子育て支援金や保育費助成、子育てサークルの設置など、ひとり親世帯への支援が充実しています。
また、富山県で実施されている産後ヘルパー派遣事業や、子ども食堂ネットワークも利用できるため、ひとり親世帯や所得が少なく不安定な世帯の移住に、おすすめの自治体です。
4.8 東京都港区-育休や短時間勤務の奨励金制度を多数用意
東京都港区では、男性従業員に配偶者出産休暇制度や育休・短時間勤務制度を利用させることを条件に、雇用主向けの奨励金制度を用意しています。主に、男性従業員を対象とした奨励金を複数用意することで、ママの子育て負担を軽減する狙いがあります。
共働き世帯は、港区にある事業所に通勤できるエリアへの移住もおすすめです。
4.9 新潟県新潟市-育休取得を条件に奨励金を用意
新潟県新潟市では、男性の子育て参加を推進するために、市内の中小企業に勤務する男性労働者が育児休業を取得した場合に、事業主と男性労働者に奨励金を交付しています。
また、ひとり親世帯に対する助成金制度や税金の減免なども整備されています。加えて、妊婦を対象とした健康診断の実施、医療費の助成金制度、不妊治療支援などを行っており、共働き世帯やひとり親世帯、妊娠中世帯の移住に、おすすめの自治体です。
4.10 島根県浜田市-ひとり親世帯向けに職業訓練の給付金制度を用意
島根県浜田市では、ひとり親世帯のパパママを対象に、資格取得や職業訓練を支援する給付金制度を整備しています。また、仕事や子育てと、資格取得の両立が困難な方を対象に、看護師や介護福祉士、歯科衛生士など国家資格の取得を支援しています。
所得が少なく不安定な世帯や就労・転職を考えている方の移住におすすめの自治体です。
5 まとめ
今回は、子育て支援の手厚い自治体について、近年注目されている理由や支援制度の種類、移住先の選び方、国内で特に支援の手厚い自治体10選を紹介しました。
近年、子育て世帯への支援は、国内産業の維持発展に直結する重要な施策と位置付けられています。加えて、過疎地域における少子高齢化と人口流出に歯止めをかけるため、自治体は子育て支援を行っています。
自治体が実施している子育て支援は、医療費や教育費の無償化、移住や就労支援など多岐にわたり、支援制度それぞれに対象者が異なるため、移住は慎重に検討しなければいけません。
その他にも、一部の自治体では、ひとり親世帯や障害のある子どもがいる世帯などを対象とした子育て支援を実施しています。
金銭的に余裕がない場合や、子育てに不安やストレスを抱えている方は、一人で抱え込まずに、都道府県や地方自治体の窓口に相談しましょう。
この記事を書いた人
hauska編集部
料理、美容、ガジェット好き。最近はインテリアとQOL関連アイテムへの興味関心が爆上がり中。働くパパ・ママに向けて、生活の質の向上、楽しい子育て、仕事もプライベートも充実させるための情報など幅広く発信します。ライフハックに気軽に取り組んでいただければ幸いです。