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子育て中のママ、パートの収入平均は?損しない働き方や仕事の選び方、家庭内で話し合っておくべきこと
2023.05.26
子育てがそろそろ落ち着いてきて、気持ちに余裕ができてくると、そろそろパートをしようかと考える方もいるのではないでしょうか。しかし、子育てをしながらの場合、子どもの送り迎えなどがあり働ける時間が限られているのが現実です。
一生懸命時間を作って働いてもあまり収入につながらないのはつらいですよね。働いた結果、夫の扶養から外れてしまい社会保険料を支払わなければいけなくなってしまう場合もあり、働き方によってはかえって損に感じてしまうこともあります。
では、子育てをしながらパートをするとしたら、どのように働くのが一番得なのでしょうか?子育てをしながらパートとして働く場合の収入や気を付けておくべきことについて紹介します。自分に合った働き方を見つけましょう。
この記事はこんな方にオススメ
- 子育てをしながら働くイメージがわかない
- パートで働くなら損をしたくない
- 自分が可能な時間で働くのはそもそも得なのかが知りたい
もくじ
パートで働いた場合の平均時給、月間平均収入額はどのくらい?
子育てをしながらパートとして働くうえで、まず知っておくべきはパートで働いた場合に収入がどのくらいになるかということです。時給は最低賃金法によって定められており、その金額よりも下回ることはありませんが、もらえる金額は住んでいる場所や業種によって差があります。大体の平均収入を知っておきましょう。
パートの平均時給は1,223円
厚生労働省の調査によると、令和3年におけるパートタイム労働者の時給平均は1,223円で、平成26年の1,054円と比較すると169円上昇しています。令和4年には最低賃金法により地域別の最低賃金が改定され、最も高い東京都で1,072円になりました。
東京都や神奈川県、大阪府では1,000円を超える金額が最低賃金として定められていますが、その他の地域では800円から900円台。最低賃金は都道府県ごとに決められており、年々増加傾向です。その分物価なども上昇傾向にはありますが、同じ時間を働いて収入が増えるのはうれしいですよね。
自分が住んでいる地域の最低賃金がいくらなのかを知っておくことは、仕事選びをする上で役に立つ情報でしょう。最低賃金未満の賃金で働かせる行為はそもそも違法のため、出くわす可能性は限りなく低いとは思いますが、そういった問題に巻き込まれることがないようにするためにも知っておくと良いでしょう。
全国平均月収は118,744円だが卸売業・小売業は97,795円にとどまる
令和3年におけるパート収入の全国平均は月間118,744円で、12ヶ月分の年収換算すると1,424,928円です。月間の平均労働時間は約88時間なので、週5日で月間20日働いた場合は1日あたり4時間程度の労働時間になるでしょう。
パートタイムで働いている人の中では卸売業や小売業が最も多く、次に飲食サービス業等、そして医療・福祉と続きます。ただし卸売業・小売業の平均月収は97,795円で、飲食サービス業等になると70,693円となり、全業種の平均月収よりもやや下回っています。
業種によっては働き先の数が多かったり、時間の融通がききやすかったりといったパートとして働きやすい環境が整っています。しかしその一方で仕事内容の専門性が低く資格取得の必要がない仕事となると、専門的な知識が必要な仕事と比べると時給や月収がやや低くなるというのが現実でしょう。
出典:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r03/21cr/dl/pdf21cr.pdf
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html
知っておくべき103万円の壁、106万円の壁、130万円、141万円の壁
(〇:受けられる、△:収入に応じて変動、×:受けられない)
パートで働くうえで考えておくべきことの一つに、どのくらい働くか?ということがあります。できるだけたくさん働いてたくさん稼ぎたいと考えている方もいると思いますが、稼ぎすぎるとパートナーの扶養から外れてしまい社会保険料の支払い義務や、所得税や住民税の支払い義務が発生する場合があります。事前に理解をしたうえで働く時間を決めましょう。
103万円の壁と141万円の壁
被扶養者としてパートで働いた場合、年間の収入が103万円以下であれば、パートナーには配偶者控除が適応されます。しかし、103万円を超えた時点で配偶者控除の適応がなくなり、パート収入に応じた所得税と住民税がかかるようになります。
ただし、141万円未満の収入の場合は配偶者特別控除が適応されます。配偶者特別控除は、パート収入が103万円を超えて働くとかえって世帯収入が損をしてしまうという状況を防ぐための施策です。
パート収入が103万円以下であれば一律で38万円の配偶者控除が適応されるのに対し、配偶者特別控除はパート収入の金額によって控除額が変動します。103万円を超える収入がある場合は、その額によってどの程度の金額が控除されるのかを把握しておくとよいでしょう。
出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1800.htm
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ggjf-att/2r9852000001gh4m.pdf
106万円の壁
社会保険の加入対象となる条件の一つに賃金月額が8.8万円(年106万円)以上があります。つまり106万円以上の収入があるとパートナーの扶養から外れ、自分で社会保険料を支払う必要があります。
社会保険料の支払い対象者は2022年10月より条件が変わり、下記項目を全て満たせば社会保険料を支払う必要があると定められました。
- 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
- 月額賃金が8.8万円(年106万円)以上
- 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
以前は月額賃金が8.8万円(年106万円)以上でも、働き先の会社の従業員数が501人未満であれば対象ではありませんでした。しかし2022年10月からは従業員数が101人以上の企業が対象となり、2024年10月には51人以上の従業員がいる会社と、対象企業がどんどん広がる予定です。そのため扶養の範囲内で稼ぎたい方は、これまで以上に賃金月額が8.8万円を超えないように意識する必要があるでしょう。
出典:https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/dai3hihokensha/
130万円の壁
先に述べたように、賃金月額が8.8万円(年106万円)以上であっても勤め先の会社が101人未満であれば、パートナーの扶養者として働くことができます。しかし年収が130万円以上になれば企業の規模に関わらず全員がパートナーの扶養から外れ、自分で社会保険に加入し社会保険料を支払う必要があります。
そのため従業員数が101人未満の企業で扶養の範囲内で働きたいという場合は、年収が130万円未満になるように計算して働く必要があるでしょう。ただし先に述べたように、2024年10月には対象企業の従業員数が51人未満と範囲が狭まるので注意が必要です。
また時給が上がった際には、配偶者控除などの設定金額が変わらない限りは、扶養内で働こうとすると働ける時間が短くなります。それでも扶養の範囲内で働くか、社会保険料を払って収入を増やすかは悩みどころかもしれません。
出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ggjf-att/2r9852000001gh4m.pdf
子育てママがパートを探すうえで押さえておくべきこと
子育てをしながらパートとして働くのは簡単ではありません。働いている間は保育園や幼稚園に子どもを預けることになりますが、体調不良で園をお休みすることになれば会社を休む必要があります。
勤め先の選び方次第では、頑張って就職活動をしてやっとパート勤めができたとしても、融通が利かずすぐに辞めなければならなくなるパターンも。実は子育てと仕事を両立するために、会社選びはとても重要なのです。ここでは、勤め先を選ぶうえで押さえておくべきポイントを紹介します。
急な休みに対応できる?理想は在宅勤務
勤め先を選ぶうえで一番大切なのは、働き方の柔軟性です。子どもが小さいうちは体調を崩しやすく、急に発熱してしまうこともあるでしょう。子どもの体調不良は突然やってきます。会社が柔軟に休暇を取らせてくれるかどうかはとても重要です。。在宅勤務を選べる会社であると働きやすそうです。
シフト制のパート勤務の場合は、シフトを交代してくれる人を自分で探す必要があるかもしれません。その場合すぐに代わりの人を探せる環境にあるかどうかも大切でしょう。
また、子どもの体調は1日で回復すればよいですが、連日続いてしまう場合もあります。就職活動時の面接の際には子育てをしながらのパート勤務であるということをしっかり伝え、事前に会社の理解を得ておくと安心して働くことができるでしょう。
週に何日、何時間働くかを事前に決めておきましょう
子育てをしながらパートで働き始める方の中には、それまでパートナーの扶養に入っていた方もいます。そうなると働き方によっては所得税や住民税、社会保険料の支払いなど、働く前には必要のなかった出費が発生しやすくなるでしょう。
扶養内で働くのか、扶養から外れて働くかによって一日に働く時間が大きく変わります。働き先を決めていく中で大体の時給の予測がついてきたら、実際どの程度働くかを決めておくとよいでしょう
もし時間に余裕がある場合は、パートナーの扶養から外れて自分で社会保険料を払いながら働く方が、得られる収入が多くなる可能性も十分にあります。ただし実際に働き始めると予定していた以上に時間が確保できなかったという場合もあります。最初のうちは扶養内で働き始める方が無難かもしれません。
出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001uh83-att/2r9852000001umna.pdf
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ggjf-att/2r9852000001gh4m.pdf
パートをするうえで家庭内で決めておくべきこと
子育てをしながらパートで働くとなると、仕事と子育て、そして家事の両立が必要になります。一人で全てをこなすことは不可能なので、パートナーや周りの人との協力が不可欠です。働き始めたらどのように役割分担をするのかについて、パートナーと事前にしっかり話し合っておきましょう。
子どもの預け先を確保する
両親が共働きになれば、必然的に子どもの預け先が必要になります。幼稚園や保育園に入園させる方法もあれば、祖父母に子どもを預ける方もいるでしょう。
どのような方法であっても子どもが安心して過ごせる環境を確保するのが大切です。祖父母に預けるのは、両親としては安心かもしれません。しかし祖父母の年齢を考えると、小さな子どもの世話を一日中お願いすることは大きな負担にもなります。祖父母が面倒を見ると言ってくれたとしても、なるべく幼稚園や保育園に預けるなど無理のない選択をしましょう。祖父母には送り迎えをお願いするだけでも、パパとママの負担は軽減されます。
子どもの体調不良時にはどちらがお迎えにいくか、病児保育室利用の検討も視野に入れておく
過ごす環境が変われば、子どもにとっても大きな負担になります。体調を崩せばパパかママのどちらかが会社を休んで介抱する必要があるでしょう。そうなった際にどちらが会社を休むのかを事前に話し合っておいてください。どちらか片方に負担がかかり過ぎないように協力し合えるとよいですね。
どうしても会社を休めないときは、体調不良の子どもを預かってくれる病児保育室の活用もおすすめです。病児保育室を利用する際は事前登録が必要になりますので、いざという時に備えて登録をしておくと安心でしょう。
出典:https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/242900/d010310.html
https://www.city.ichinomiya.aichi.jp/kodomokatei/hoiku/1000155/1010629/1001409.html
家事と子育て、仕事との両立、夫との役割分担
パートで働き始めると、家庭のことをやる時間が減ってしまいます。仕事が終わってからは子どもを迎えに行き、家に帰るとほとんどの場合、疲れ果てた状態です。。そこからさらに夕食の準備をして、子どもにご飯を食べさせてお風呂に入れ、歯磨きをさせて寝かしつけなければなりません。他にも食器を洗う、洗濯をして干すなど、その日にやっておきたい家事が残っている場合もあるでしょう。
しかし、これらのことを一人でやりきるのは大変です。パパとママや周りの大人たちからの協力を得ながらうまく役割分担をしましょう。家事の負担を減らすためには、食洗機や乾燥機のついた洗濯機など、家電を充実させることが有効な方法の1つです。購入時には費用が掛かってしまいますが、長期的に見た時の経済的なメリットは大きいため、購入可能であれば検討の価値はあります。
家事については食洗機や乾燥機のついた洗濯機を購入するなど、家電を充実させることで時短をかなえる方法もあります。また、何に時間とお金をかけるのか、夫婦で話し合えるとよさそうです。
子育てをしながら働く目的を明確にしておこう
子育てをしながら働く目的は何でしょうか?その目的は明確ですか?子育てをしながら働くのは容易ではありません。働けば自分の時間が減り、体力的にも精神的にも負担が大きくなります。それでも働くにはそれなりの理由があると思いますが、その理由を明確にしておくことで自分自身のやる気につながりやすくなります。ここで改めて、自分が働く理由を明確にしておきましょう。
夫の扶養内で家事や育児を大切にしたい
株式会社アイデムが実施した調査によると、子どもの有無に関わらず結婚後に主婦パートとして働いている方の約75%が、パートナーの扶養内で収まる103万円以下で働いています。
子どもが小さいうちは何かと手がかかるので、小学校に入るまでは短時間で働きたいという方もいるでしょう。またパートナーの仕事が忙しく、平日はほぼワンオペ育児になるという方は、育児と家事を一人でこなさなければならなくなるため、長時間働くのは難しいのではないでしょうか。そのような方は、まずは働くことに慣れるまでは扶養の範囲内で短い時間で働いてみるのがおすすめです。
出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001uh83-att/2r9852000001umna.pdf
自身のキャリアップも視野に入れたい
子どもが生まれると、かかる費用も増えます。子どもの成長に合わせて習い事をさせたいという希望も出てくるかもしれません。また小学校や中学校、大学と受験や進学を考えている場合はその費用も必要です。生活費や教育費のために働くのは大きな目的の一つでしょう。
その一方で、自分自身のキャリアアップを考えて働くことも目的の一つとしておすすめです。今は子どものお世話で手一杯だとしても成長するにつれて少しずつ手が離れます。余裕ができた時にやりがいのある仕事が存分にできるよう、先を見据えた働き方をするのもよいでしょう。
すぐには無理かもしれませんが、働き始めて1年が経ったときには、自分で社会保険に入るといった段階的な計画を立てておくと、毎日の仕事にもより精が出そうです。
家族旅行や子どものために少しでも貯金したい
働くのは生活費や子どもの教育費のためだけに限りません。家族旅行など娯楽資金を作るために働くことも目的としてはとてもおすすめです。旅行に行く時期や金額をあらかじめ決めておくと、そのために頑張って働こうといった前向きな気持ちになりやすいでしょう。
子育てママのパート収入、みんなの使い道は
内閣府が発表する調査によると、2015年以降は未就学児がいる世帯においてママが働く割合が上昇傾向にあります。働くためには家事の負担を減らす必要があり、惣菜など調理済みの食料を買ったり、保育サービスを利用するなど、支出が増えているようです。
また、外食費の増加や夫婦の小遣いを増やすという傾向もあり、共働きをすることで得た収入を教育費や貯金などに充てるだけでなく、日々の生活に余裕を生むことにもつながっていると言えるでしょう。
子育てをしながらパートとして働くことで家族の生活に経済的な豊かさが生まれ、買い物やレジャーなど家族で一緒に過ごす機会が増えるのはうれしい部分のように思います。
ただその一方で保育園を利用して働きたくてもできない待機児童問題など、共働きをするうえで解決すべき問題は多数あります。働きたい人が働けるような環境が整った社会になるよう期待したいです。
出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001uh83-att/2r9852000001umna.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/11922000/000979629.pdf
【まとめ】自分に合った働き方を見つけましょう
子育てをしながらパート収入を得ることは、周囲の理解と協力が必要不可欠です。働けば働いた分だけそのまま収入になればよいですが、そうもいかないのが難しいところ。所得税や住民税、社会保険料の問題だけでなく、子どもを預けるうえでかかる出費もあれば家事を時短するためにかかる出費も少なからず出てくるでしょう。
しかしパートで働くのは自分自身にとって気分転換になる、経済的な余裕が生まれるなど良い面もたくさんあります。スムーズに働き始めるために、準備を整えた上で自分自身に合った働き方を見つけましょう。
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この記事を書いた人
hauska編集部
料理、美容、ガジェット好き。最近はインテリアとQOL関連アイテムへの興味関心が爆上がり中。働くパパ・ママに向けて、生活の質の向上、楽しい子育て、仕事もプライベートも充実させるための情報など幅広く発信します。ライフハックに気軽に取り組んでいただければ幸いです。