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子どもの理想の睡眠時間を年齢別に解説|睡眠不足による悪影響も紹介

2022.06.21

暮らす

子どもにとって睡眠が重要なことは理解しているが実際にどれほどの時間を確保しなければいけないのかよくわかっていない、子どもが健康に育つためには何時に寝させるべきかを知りたいといった考えを持っているパパやママも多いのではないでしょうか。

この記事では、子どもの理想の睡眠時間や睡眠不足による悪影響を解説していきます。子どもの睡眠についてしっかりと知識を蓄えたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。

この記事はこんな方にオススメ

  • 子どもの理想的な睡眠時間を知りたい
  • 子どもを何時に寝させるべきか、何時に起こすべきか知りたい
  • 年齢別に適切な睡眠時間を知りたい

1 子どもの平均睡眠時間

一口に「子どもの睡眠時間」といっても、年齢によって子どもが寝るべき時間は大きく変わります。それでは、子どもの平均睡眠時間はいったいどのぐらいなのでしょうか。内閣府による2011年の白書によると、10歳以上の小学生の平均就寝時刻は「21時57分」。平均起床時刻は「6時38分」となっています。

内閣府「平成27年版 子ども・若者白書」

引用:内閣府「平成27年版 子ども・若者白書」

つまり、この年齢の子どもの平均睡眠時間は8時間41分と推定されます。10歳以下の子どもについての統計は公式なデータとしてはありませんが、理想とされている睡眠時間はおおよそ決まっています。以下、子どもの理想の睡眠時間について確認していきましょう。

 

2 子どもの理想の睡眠時間

子どもの理想の睡眠時間

子どもの理想の睡眠時間は、年齢によって変わってくるため、それぞれの歳に合わせて適切な時間を把握しておくことをママとパパにはおすすめします。

ここからは、下記の年齢ごとに理想の睡眠時間を紹介します。

  • 生後3カ月まで
  • 1歳まで
  • 2歳まで
  • 5歳まで
  • 13歳まで

それでは見ていきましょう。

 

2.1 生後3カ月まで

誕生直後から生後3ヶ月までの赤ちゃんの理想の睡眠時間は、1日14~17時間ほどと言われています。しかし、一度にこの時間すべてを眠るのではなく、細かく区切って眠るのが理想とされているため、この点をしっかり押さえておきましょう。普通はまとめて眠る赤ちゃんは多くなく、数時間おきに授乳の必要も出てきます。

また、赤ちゃんごとの個性によっても「たくさん眠る」「あまり眠らない」といった点は変わってくるため、必ずしも14~17時間の範囲内に収まらなくても問題ありません。あくまでも、自然な睡眠を多く取らせることをママやパパは意識していきましょう。

 

2.2 1歳まで

生後4ヶ月~1歳までの赤ちゃんは、1日12〜15時間の睡眠が理想とされています。誕生直後から生後3ヶ月までの赤ちゃんと比べると活動的な時間が多くなるため、わずかに睡眠時間が少なくなる点が特徴です。

しかし、この時期の赤ちゃんも、1日の多くを睡眠に使っていることに変わりはありません。できる限り眠る時間を邪魔しないよう配慮する心づもりが重要でしょう。

 

2.3 2歳まで

1~2歳の子どもは、1日11~14時間の睡眠時間が必要です。この年齢にまで成長すると、さらに活動時間が増えるため睡眠に費やす時間はさらに少なくなります。

子どもによっては保育園に通い始める時期ですが、保育園ではお昼寝の時間が設けられているため、その場合は夜の睡眠時間はさらに減るでしょう。お昼寝の時間に合わせて夜寝る時間を調整してあげることをおすすめします。

 

2.4 5歳まで

3~5歳の子どもは、1日11~13時間の睡眠時間が一般的です。この年齢にまで成長すると、一度まとめて眠ると日中はお昼寝の必要なく元気に活動できるでしょう。もちろん、必要に応じてお昼寝の時間を挟んであげてもまったく問題ありません。

子どもによっての個人差ももちろんあるため、子どもが元気に活動するための睡眠時間をしっかりと把握しておくことが重要です。

 

2.5 13歳まで

6~13歳の子どもは、1日9時間~13時間の睡眠時間を取るようにしましょう。小学校に通い始める時期でもあるため、できる限り規則正しい生活を送れるよう心がけてあげることが大切です。

学校での勉強だけでなく、習い事などを始める子どももいるため、睡眠不足にならないようママやパパが睡眠時間をコントロールしてあげるなどの配慮も欠かさないようにしましょう。

7時起床を前提とするなら、最低限22時には就寝する習慣を身につけさせることをおすすめします。

 

3 睡眠不足による悪影響

睡眠不足による悪影響

子どもにとって「睡眠時間」は健全な成長のために非常に大切な時間です。睡眠をしっかり取ることが成長の大前提となっているため、睡眠不足は多くの悪影響をもたらします。睡眠不足が何を引き起こすのかをしっかりと把握し、そのデメリットを理解しておきましょう。

ここからは、睡眠不足による悪影響を4点解説していきます。

 

3.1 成長の阻害

睡眠不足による悪影響の最たるものは、成長が阻害される点です。睡眠中は、子どもが成長していくために必要な「成長ホルモン」が分泌されます。成長ホルモンは睡眠に入ってすぐに分泌されていき、筋肉や骨など身体の基礎的な部分の発達を促進していく役割を持っています。代謝をコントロールする役割もあるため、子どもの成長には欠かせない要素といえるでしょう。

睡眠は、浅い睡眠(脳が働いている状態)である「レム睡眠」と深い睡眠である「ノンレム睡眠」を交互に繰り返しますが、このノンレム睡眠時に心や体は成長していくのです。

深いノンレム睡眠時に成長ホルモンが盛んに分泌され、脳内の神経ネットワーク形成や細胞の修復・生育、骨・筋肉形成が行われる。
引用:大川匡子「子どもの睡眠と脳の発達─睡眠不足と夜型社会の影響─」

睡眠不足になると成長ホルモンの分泌が少なくなり、成長が遅くなり、代謝が低下します。そのため、充分に睡眠をとって成長ホルモンが正常量分泌されるように心がけましょう。

 

3.2 集中力低下

睡眠不足が続くと、集中力や注意力などが低下します。小学校に通いはじめる年齢の子どもの場合は、集中力が低下すると学校での勉強にも影響してくるでしょう。授業だけでなく、家での勉強も難しくなるため成績が落ちてしまう可能性も出てきます。睡眠が勉強に大きな役割を果たす点については、睡眠に関わる研究によっても言及されています。

また、最近の睡眠脳科学研究では、さまざまな学習能力やスポーツ、音楽などの技能向上に睡眠が大きな役割を果していることが明らかにされてきた。たとえば単語記憶といった学習課題や楽器の演奏課題では、睡眠をとった群は断眠をした群に比べ成績の向上がみられること、翌日に睡眠が増加することなどが報告されている。
引用:大川匡子「子どもの睡眠と脳の発達─睡眠不足と夜型社会の影響─」

集中力の低下が続くと、不注意による怪我や事故などにもつながってしまいます。子どもの安全を守るためにも、充分な睡眠時間を確保して日々の生活で集中力をキープさせるようにしましょう。

 

3.3 体調不良

睡眠は、日々の生活でたまった疲れを癒やすために非常に重要な時間です。睡眠不足が続くと、慢性的な疲労や免疫力低下などのリスクが発生します。ささいな環境の変化で風邪をひいてしまう可能性が高まるため、充分に睡眠を取らせるようにしましょう。

それだけではなく、将来的に生活習慣病にかかるリスクや肥満のリスクも軽減されます。

 

3.4 心への影響

睡眠不足による影響は、身体だけではなく心にも出てきます。睡眠不足が続くと、脳が充分に休養を取れないため、子どもが小さなことでもイライラしやすくなります。睡眠不足の大きな理由としては「夜更かし」が挙げられますが、この夜更かしがイライラ感に強く影響している点についても、睡眠に関わる研究によって指摘されています。

また、東京教育研究所の小中学生を対象にした調査(1999年)によると、イライラ感の高い子どもたちの半数以上は夜0時以降までの夜更かしをしており、逆にイライラ感の低い子どもたちの夜更かしは25.8%にとどまっている。
引用:大川匡子「子どもの睡眠と脳の発達─睡眠不足と夜型社会の影響─」

日常的なイライラが続くと子どもの心が荒んでいくため、なるべく睡眠を多く取ることでその危険性を減らしていきましょう。

 

4 子どもは21時までに寝かせよう

子どもが小学生に上がった後には、なるべく平均10時間の睡眠を取らせるようにしてあげましょう。学校に行く準備を充分に整える時間から逆算すると、朝は7時までに起床する習慣が望ましいです。そこからさらに逆算すると、21時までに就寝させる取り組みが必要であることがわかるでしょう。

 

5 子どもの睡眠時間に関わる課題

「21時までの就寝が子どもには望ましい」と理屈を語ることは簡単ですが、実際はなかなかうまくいかない現状があります。やるべきことが多くあるため21時には寝かせられない、就寝時刻が日によって変わってしまうなど多くの課題があるでしょう。

ここからは、子どもの睡眠時間に関わる課題を3点解説します。

 

5.1 なかなか21時までに寝かせられない

最も大きな課題は、日々の生活で忙しく21時までに寝かせるのが現実的ではない点です。家族が全員帰宅して一緒に夕食を食べるのが19時半ぐらいであれば、その時間からお風呂や歯磨きなどをすれば21時は簡単に過ぎてしまうでしょう。

また、小学校に上がって習い事などを始めればもう少し夕食の時間は遅くなるかもしれません。宿題などさまざまな要素も重なり、なかなか21時には寝かせられない実情があります。

 

5.2 毎日の就寝時刻にばらつきがある

毎日の就寝時刻が安定しない点も、子どもの睡眠時間に関わる課題の一つです。習い事や宿題の量、観ているテレビ番組などによって、曜日ごとに就寝時刻にばらつきが出てしまうケースは多々あります。

しかし、睡眠時間を一定に保つという観点から考えるとこの状態は好ましくありません。なるべく毎日同じ時間に子どもが寝られるように注意を向けてあげましょう。

 

5.3 親の睡眠に対する意識が低い

親の睡眠に対する意識が低い点も、子どもの睡眠を充分に確保する上では重要な課題です。2021年12月に行われた江崎グリコ株式会社による調査では、「実際はお子様は平均して何時ごろに就寝されていますか」との問いに対して、実際に21時までに寝かせることができているのは「5割以下」であるとの回答結果が出ています。

子どもが充分な睡眠時間を確保するためには、ママやパパによる指導や教育が必要不可欠です。21時までにしっかり就寝させるための実際的な取り組みが各家庭において必要でしょう。

 

6 質のいい睡眠を取るコツ

質のいい睡眠を取るコツ

子どもがいい睡眠を取れる環境を整えてあげるのはママやパパの重要な役割です。その際には、充分な睡眠時間を確保するだけでなく、質のいい睡眠を取れるように心がけましょう。ここからは、質のいい睡眠を取るコツを3点解説します。

 

6.1 朝に日光を浴びさせるようにする

質のいい睡眠を取らせるためには、子どもに朝の日光を浴びさせる取り組みが大切です。朝に日光を浴びると、脳を活性化する成分である「セロトニン」が分泌されます。さらに、朝日を浴びた約14~16時間後には、睡眠を促進するホルモンである「メラトニン」が分泌されます。

特にメラトニンの有用性については、東京都教育委員会によって発刊された教材である「生活リズムの確立のために」でも取り上げられているのです。

・メラトニンは、細胞を守ったり、眠気をもたらす働きをします。
・メラトニンは、ヒトの一生のうち、1歳から5歳ぐらいまでの間に最も多く分泌されます。シャワーのようにメラトニンを浴びるので「メラトニンシャワー」とも呼ばれるほどです。
引用:東京都教育委員会「生活リズムの確立のために」

このように、起きたら朝日をしっかり浴び、暗くなったら寝る生活を送ることは、ホルモンの面からも非常に重要です。セロトニンとメラトニンという2つのホルモンを分泌させる生活を意識することで、子どもは質の良い睡眠を充分に取れるようになり、成長も促進されていきます。朝起きたらまず、外に出て日光を浴びる習慣を親子ともども身につけましょう。

 

6.2 決まった時間に起こす

就寝時間がばらばらになるのは家庭の事情などがあるため仕方がない場合もありますが、起床時刻はなるべくそろえてあげましょう。起床時間がそろえば、おのずと眠くなる時間も同じ時間に統一されていきます。

充分な眠気があればその分睡眠も深く、質のいいものとなるため、まずは決まった時間に子どもを起こすことを心がけましょう。

 

6.3 お昼寝のタイミングを一定にする

就寝時間、起床時間をそろえるためには、お昼寝のタイミングも非常に重要です。お昼寝の時間が早ければ夜の眠気も早くやってきます。反対に、遅い時間のお昼寝であればおのずと夜に眠気がやってくる時間は遅くなってしまうでしょう。

お昼寝の時間をそろえてあげればそのような心配は軽減され、安定した睡眠時間を確保できるようになります。

 

7 まとめ

この記事では、子どもの成長と睡眠時間の関わりについて知りたいママやパパ向けに、子どもの理想の睡眠時間や睡眠不足による悪影響を解説してきました。

子どもの成長を考える上では、質のいい睡眠を取らせる取り組みは避けて通れないものです。年齢別に必要な睡眠時間や睡眠を取ることの重要性をしっかりと理解して、子育てを円滑に進めていきましょう。

ペン先イラストこの記事を書いた人

hauska編集部

hauska編集部

料理、美容、ガジェット好き。最近はインテリアとQOL関連アイテムへの興味関心が爆上がり中。働くパパ・ママに向けて、生活の質の向上、楽しい子育て、仕事もプライベートも充実させるための情報など幅広く発信します。ライフハックに気軽に取り組んでいただければ幸いです。

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