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自転車の練習は子どもが何歳から?安全な練習方法や自転車の選び方について解説

2022.07.29

暮らす

子どもは、年齢が上がると共に身体機能が成熟するため、移動可能な範囲が広がります。加えて、子どもは好奇心旺盛で冒険心に満ちあふれているため、幼稚園や保育園から小学校へ上がると、行動範囲は大人の想定以上に広がります。

また、子どもが小学生の時期は、養育費や教育費の稼ぎ時です。そのため、共働き世帯であれば仕事で忙しく、子どもの送り迎えや遊び場への移動に時間が割けません。

以上の理由から、子どもが一人で移動できるように、自転車を利用させる家庭も多いと思います。しかし、自転車の運転はスピードが出やすいことに加え車両の近くを運転するため、危険が多く充分に気を付けなければいけません。

今回は、子どもが安全に自転車を運転できる方法や、自転車の選び方について紹介します。

この記事はこんな方にオススメ

  • 何歳から子どもに自転車を練習させれば良いか分からない
  • 子どもに合った自転車選びのポイントが分からない
  • 安全な自転車の練習方法が分からない

1 子どもの自転車運動が注目されている理由

近年では幼児教育に注目が集まっており、最新の研究から、自転車の運転は子どもの様々な能力を高めることが分かっています。そのため、子どもの移動手段という役割以外に知育や体育の効果を期待して、自転車を利用させる方も増えています。

 

1.1 コーディネーション能力を育てる

幼少期から遊びや運動を通じてコーディネーション能力を育てることで、神経系の発達を促し、大人になってからも重要な、身体を巧みに動かす能力を身に着けられます。コーディネーション能力は、神経系の発育に大きな影響を与え、以下のような能力を育てます。

  • 識別能力:手足や用具を操作する
  • 反応能力:合図に対してすばやく反応する
  • 連結能力:身体全体をスムーズに操作する
  • 変換能力:状況変化に応じて対応する
  • 定位能力:人間や物と自分の位置関係を把握する
  • バランス能力:体幹を維持しすばやく修正する
  • リズム能力:リズム感やタイミングを把握する

自転車の運転では、車体や身体の重心の調整からバランス能力、ハンドルやブレーキペダルの同時操作から連結能力、周囲の状況に合わせた自転車の操作から変換能力と反応能力を高めます。

これらの能力は、ほかの運動や日常生活でも役立ちます。バランス能力や連結能力は、普段歩いている時に転倒などの怪我を予防します。また、変換能力や定位能力は、日常生活に潜む危険の察知や回避に、反応能力は身に迫る危険への対応に役立ちます。

コーディネーション能力は、大人になってから身に付けることが難しいため、自転車運転を通して、幼少期から身に付けることが重要です。

 

1.2 試行錯誤力を鍛えられる

自転車の運転は、コツをつかむまで何度も失敗しながら上達していくものです。子どもにとって何度も失敗することは、マイナス要因ではなく試行錯誤力を育てるために大事なことです。

自転車練習は、失敗に対する試行錯誤が短いスパンで行えるため、フィードフォワードの実践に役立ちます。フィードフォワードはフィードバックと異なり、解決策を模索することです。

自転車練習によってフィードフォワードの考え方を身に付けることで、子どもが何らかの問題を解決する際に、問題点を探すのではなく、前向きに解決策を探せるようになります。

 

1.3 成功体験を得られる

子どもにとって自転車練習は、転倒や失敗に対して大きな恐怖心があります。自転車を運転できるようになることは、自転車への恐怖心を克服できたということです。従って、一種の成功体験になります。

自転車練習によって得た成功体験は、ほかの物事への挑戦を後押しし、何事にも積極的に取り組めるようになります。

 

2 子どもの自転車練習は成長に合わせて進めよう

子どもの自転車練習は成長に合わせて進めよう

子どもの成長に合わせて自転車を選び練習しないと、上手く操作できず途中で諦めてしまうことがあります。子どもの発育や年齢によって、最適な自転車と練習方法を選びましょう。

 

2.1 年齢別・子どもの自転車練習のステップ

  おすすめ 自転車の特徴 目標 購入のタイミング 購入のポイント
~2歳 キックバイク ・ペダルがない ・短い距離なら足を地面につけずにバランスを取れる ・しっかりと歩ける
・跳ねたり走ったりし始めたら
・ハンドルの切りすぎ防止装置が付いている
・ブレーキが付いている
3~4歳 補助輪付き自転車 ・転倒防止の補助輪が付いている ・ペダル操作に慣れる
・重心移動やハンドル操作で、進行方向を変えられる
・地面を蹴った反動で、キックバイクが止まるまでバランスを取れる ・補助輪の支えがしっかりしている
・押し棒がついている
5歳~ 補助輪無し自転車 ・大人向け自転車と機能が同じ ・障害物をよけられる
・下り坂や平地で、スピードを調整できる
・ペダルをこぎながら、進行方向を変えられる ・ブレーキの作りが丈夫
・ベルやライトが付いている

子どもの自転車選びに迷ったら、上記の表から年齢に合ったものを購入しましょう。購入のタイミングを見て、最低限必要な能力を見極めることが重要です。その後は、目標を達成しながら、徐々に補助輪無し自転車の運転を目指しましょう。

 

2.2 成長と共にステップアップしよう

キックバイクは、自転車練習の入門に最適です。ペダルがなく、地面を蹴った反動で前に進みます。そのため、自転車の入門としてバランス感覚を養えます。

自転車練習は、子どもの向上心を尊重してステップを飛ばすことも重要です。自転車練習を3〜4歳頃に始める場合は、キックバイクからの入門ではなく、補助輪付き自転車から始めても問題ありません。

補助輪に慣れてきたら片方の補助輪を外して、片輪だけで練習します。片輪に慣れてきて、まっすぐや補助輪がついていない側へ曲がれるようになったら、両方の補助輪を外しましょう。

また、上記の表に記載した年齢はあくまでも目安です。発育や性格など個人差によって、上達ペースは異なることを理解しておきましょう。

 

3 子どもの自転車を選ぶポイント

子ども向け自転車を選ぶ際、一番重要なポイントは自転車の安全性です。安全性を確保するには、自転車自体の品質を確認するほかに、子どもの体格に合わせた自転車選びが重要です。

自転車自体の品質は、安全を保証するマーク(BAAマークやJISマークなど)で簡単に確認できます。

 

3.1 サイズは子どもの体格にあったものを

まずは、自転車のサドル調整が、どこまでできるか確認しましょう。サドルの高さは、またがった時に両足のつま先が地面につく高さがちょうど良いとされています。

また、ペダルに足をかけて、一番上まで足を運んだときに、ひざの角度に無理がないことも確認しましょう。

 

3.2 ハンドルの取り回しやすさ

ハンドルの操作性は子どもの安全に直結するので、必ず確認しましょう。ハンドルの取り回しやすさとは、ハンドルの大きさや曲げやすさ、切り込み角度が深すぎないことが挙げられます。

曲げやすさは、力を入れずにハンドルを切れることではなく、ハンドル角度を維持しやすいことに注目しましょう。

 

3.3 ブレーキの握りやすさ

ブレーキは、自転車の安全性で一番重要です。子どもの手にブレーキグリップの大きさがフィットしているか、子どもの手がブレーキに届くかなどを確認しましょう。

加えて、ブレーキを強く握った時の制動力が重要です。ブレーキのかかり具合がゆるい場合は、ブレーキワイヤーをしぼり、きつく固定しましょう。

 

4 自転車を乗りこなす7つのステップ

自転車を乗りこなす7つのステップ

自転車練習は、最初期に怪我をしやすいので、焦らずステップを踏みながらコツコツと進めましょう。

ポイントは、自転車練習を少し傾斜のある場所で行うことです。自転車は遅いスピードの方が、転びやすくバランスを取りにくいため、スピードが出やすい場所で行いましょう。また、平地に近い斜度でなら、安全に練習できます。

 

4.1 自転車を押しながら操作する

子どもが初めて自転車を触る場合、重量があるため、運転だけでなく持ち運びもおぼつきません。まずは自転車の重さに慣れるために、自転車の左側に立ち、自転車を押しながらまっすぐ歩きましょう

まっすぐ歩けるようになったら、次は左右に進行方向を変えながら自転車を押しましょう。ハンドルを切るのではなく、車重を利用して自転車を操作することがポイントです。

 

4.2 ブレーキの操作を覚える

ブレーキ操作の感覚を覚えさせることで、ブレーキに対する過信や恐怖心をなくしましょう。自転車を押しながらブレーキを操作し、ブレーキの力加減、制動力の限界、身体に掛かる慣性を理解することが重要です。

また、左右のグリップとブレーキの前後を、必ず一致させましょう。スピードが出ている状態でブレーキの前後を間違えると、自転車から投げ出されてしまい、脳へダメージが伝わってしまうためとても危険です。

 

4.3 自転車にまたがってバランスを取る

実際に自転車にまたがって、自転車のバランス感覚をおぼえます。ただし、子どもが自転車に対して恐怖感を抱かないように、最初はその場から動かずにバランスを取ってみましょう。

その場である程度バランスが取れるようになったら、次は傾斜の緩やかな平地でバランスを取れるようにします。実際は、走行スピードが上がるほどバランスも取りやすくなるので、ここでつまずいても焦らないようにしましょう。

 

4.4 地面をキックして前に進んでみる

次は、地面を蹴って反動で進んでみましょう。慣性で自転車が進んでいる間に、バランスを取れるようになることが目標です。

ここでは、バランスを取ることに集中するため、まだペダルに足を掛けません。さらにバランス感覚に磨きをかけて、ペダルを操作しても体勢を崩さないようにしましょう。

 

4.5 ペダルをこぐ

バランスを取りながら自転車に乗れるようになったら、ペダル操作の練習に進みましょう。

まずは、パパママが後ろから自転車を支え、ペダルを操作しやすくします。ここで、もしペダル操作がうまくできない場合は、もう一度バランスを取る練習をしましょう。ポイントは、少し助走を付けた状態でペダルを操作し始めることです。

 

4.6 まっすぐ走る

ペダル操作に慣れたら、まずはまっすぐ走ることに集中しましょう。途中で足を着けずに長い距離を運転できるようになったら、次は斜度のある場所で練習しましょう。

ポイントは、下り坂でスピードを調整できることと、上り坂でバランスを取りながらペダルを操作できることです。

 

4.7 左右に曲がる

最後に、ペダルを操作しながら左右に曲がれるように練習しましょう。

13歳未満の子どもであれば、車道ではなく歩道を走行できます。しかし、歩道は歩行者も利用するので、安全に運転するには、自転車の細かい制御が必要です。

そのため、平地でコーンなどの障害物を避ける練習を行い、細かく自転車を制御できるかテストしましょう。

 

5 安全に練習するためのポイント

安全に練習するためには、周囲の環境や子どもの行動に注意しなければいけません。子どもが怪我をしないように、常に危険が潜んでないか確認しましょう。

 

5.1 安全な場所を選ぶ

自転車の運転に慣れていない場合、何かの拍子にコントロールを失う可能性があります。そのため、自転車練習はできる限り安全な場所で行う必要があります。

公園や広場で自転車練習を行う際は、車両の交通量が少ないこと、敷地と車道の間に柵や生け垣など障害物があることを確認しましょう。加えて、自宅と練習場所の移動は歩道を利用し、自転車の持ち運びはパパママが行いましょう。

 

5.2 プロテクターやヘルメットを着用させる

自転車の運転にヘルメットは必須です。ヘルメットを着用していない場合、転倒した時に脳へダメージが直接伝わるため、危険だからです。

加えて、プロテクターの着用も、ひざや肘など関節の保護に役立ちます。練習段階から、自転車の運転とヘルメットやプロテクターの着用をセットで習慣化しましょう。

 

5.3 進行方向を見る癖を付ける

自転車が転倒することへの恐怖心から、子どもは運転中に下ばかりを見がちです。

しかし、近くの地面に意識を集中していると、逆にバランスが取りづらくなります。加えて、進行方向にある危険を直前まで察知できないため、重大な事故を引き起こしてしまいます。

子どもの意識が下に向いたらこまめに注意し、進行方向を見ることを習慣化しましょう。

 

5.4 お手本を見せる

自転車のバランス感覚は一度成功すると、次の運転からその成功体験を思い出し、脳内でシミュレーションできます。その脳内シミュレーションこそが自転車を運転するコツであるため、自転車練習をスムーズに進めるには、パパママがお手本を見せることが重要です。

言葉だけで運転方法を教えるだけでなく、視覚的に教えることで、子どもが正しい自転車の運転方法をイメージしやすくなります。できる限り間近で、ゆっくりと走行し、何度も繰り返しお手本を見せましょう。

 

5.5 楽しく続けさせる

子どもが楽しく練習に打ち込めるように、こまめにほめましょう

自転車練習は、失敗を繰り返しながら上達するものです。しかし、失敗が多い場合や、ほかの子と比べて上達速度が遅い場合、焦りや不安が湧いてしまいます。

焦りや不安は自転車練習のストレスにつながり、モチベーションを維持できなくなってしまいます。結果、集中して練習ができないため、雑な運転から怪我や重大な事故を引き起こしてしまいます。

子どものモチベーションが下がってしまったら、途中で自転車練習を数日休むことがポイントです。また、発育や性格など個人差によって上達ペースは異なるので、ほかの子と比べるような発言や、子どもを焦らせる発言をしないようにしましょう。

 

6 子どもの命を守るためにルールを設けよう

子どもの命を守るためにルールを設けよう

子どもに細かくルールを伝えても、すべて覚えてもらえません。また、子どもは制限が多いとモチベーションを維持できないため、最低限必要なルールを設け、練習前に毎回確認することが重要です。

 

6.1 パパママの目の届く範囲で練習する

ある程度自転車に慣れてくると、子どもは自由に広い範囲で自転車を運転したくなります。

しかし、子どもがパパママの目の届く範囲にいない場合、とっさに駆け付けられないため、危険です。安全を第一に考え、パパママの目の届かない場所では練習しないように、子どもと約束しましょう。

 

6.2 スピードを出しすぎない

自転車は、歩行時よりもはるかにスピードを出せるため、運転を誤った時に重大な事故につながります。子どもが自転車のスピードを出しすぎて、制御不能にならないように注意しましょう。

障害物のない広い公園などで、子どもが自分で制御できるスピードの限界がどのくらいか、確認しておくことが重要です。

 

6.3 交通ルールを定期的に確認する

自転車の運転は、自転車の操作技術だけでなく、交通ルールの熟知や危険察知能力も重要です。交通ルールを覚えていないと命に係わる重大事故につながるため、子どもが座学を嫌がっても必ず教えましょう。

交通ルールの勉強は、モチベーションの維持以上に大切なことなので、自転車に乗る許可の交換条件に設定するなどの工夫をして、きちんと学ばせる必要があります。

また、一度教えて終わりではなく、何度も定期的に交通ルールを教え確認することで、定着を図ることがポイントです。

 

7 まとめ

今回は、子どもの自転車運転が注目されている理由、いつから練習を始めるか、自転車の選び方、練習方法、安全に練習するコツを解説しました。

自転車練習は、根気強く見守ることが重要です。練習が上手く行かなくても、口出ししないようにしましょう。

すぐに口出しをしてしまうと、子どもの挑戦心や克己心を下げてしまうため、子どもの為になりません。助言を求められたり、「手伝ってほしい」と言われた時だけ、手助けしましょう。

また、モチベーションを維持するために、こまめにコミュニケーションをとりましょう。練習で難しく感じていることや、楽しかったことなどを子どもと共有し、一緒に解決方法を探すことが重要です。

ペン先イラストこの記事を書いた人

hauska編集部

hauska編集部

料理、美容、ガジェット好き。最近はインテリアとQOL関連アイテムへの興味関心が爆上がり中。働くパパ・ママに向けて、生活の質の向上、楽しい子育て、仕事もプライベートも充実させるための情報など幅広く発信します。ライフハックに気軽に取り組んでいただければ幸いです。

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