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子どもにテレビを見せるときの注意点 避けたい番組やルールの決め方は?
2023.06.20
現代の子育て世代の多くは「家の真ん中にテレビがある」という環境で育ちました。一方で「テレビ見すぎ!」と叱られた記憶がある人もいるはず。自分が子どもを持ったことで、当時の親の気持ちを実感しているのではないでしょうか。
この記事では、テレビが子どもに与える影響の良い面・悪い面や、見るのを避けたほうがよい番組、視聴ルールの決め方などを解説します。
うまく付き合えばテレビは子育てにとても役立ちます。ぜひチェックしてみてくださいね。
この記事はこんな方にオススメ
- テレビが子どもに与える影響について知りたい人
- 子育てにテレビをうまく活用したい人
- 子どもにテレビを見せるときのルールや、番組の選び方などを知りたい人
もくじ
1.テレビは子どもにどのような影響を与える?
まずはテレビがどのような影響を子どもに与えるか、3つのポイントを確認しておきましょう。
1.1 子どもがテレビを好む理由
まずは子どもがテレビを好む理由について説明します。
テレビは日常生活にはあまりないカラフルな色使いや音、音楽などを組み合わせて、視覚や聴覚へ直接訴えかけます。言葉や意味が分からない子にも、注目を集めるよう画面から働きかけます。
キャラクターが多く登場するのも、子どもにとって魅力的なポイントです。はっきりと言葉を発する前の子でも、絵本やおもちゃで知っているキャラクターを画面の中に発見すると、「同じだ」「知ってる」というような反応を見せることがあるでしょう。
また前にいるだけで次々と新しい情報が入ってくることも刺激的です。
少し成長すると「家族と一緒に同じものを見て笑ったり、会話したりできる」という体験を喜ぶようになります。
1.2 テレビが子どもに与える4つの「良い影響」
テレビが子どもにもたらす影響には、良いものと悪いものとがあります。まずは良い点から紹介しましょう。
1つ目は「教育につながること」です。新しい言葉やその意味、物の形や動き、音楽など、さまざまなことを知るきっかけになります。
2つ目は「社会的な知識が広がること」です。登場人物の振る舞いを通じて、基本的な生活習慣やマナー、ルールなどを身につけることもできます。
3つ目は「多文化に触れられること」です。幼い子どもにとっての世界といえば、自分の身の周りや、せいぜい絵本の中だけでした。ところがテレビの画面の中には、別の家の様子やこれまでに見たことのない場所や町が、まるで自分で見ているかのように展開します。
これらに加えて、番組によっては気分をリラックスさせたり、ストレス解消になったりするでしょう。
1.3 テレビが子どもに与える4つの「悪い影響」
逆に悪い影響には、以下のような点があります。
1つ目は「時間を奪うこと」です。目と耳とを使うので、夢中になりすぎると他のことに手が付けられなくなります。例えば片付けや着替えの最中にもついつい画面を見てしまい、やるべきことが全然進まない、ということもあるでしょう。
2つ目は「身体に負担をかけ続けること」です。特に姿勢や視力には注意が必要です。刺激が強い映像を長時間見ていたり、寝る前ぎりぎりまで見ていたりすると、睡眠不足になることもあります。また、じっとしている時間が増えて運動不足につながるおそれもあります。
3つ目は「年齢に不適切なシーンに触れてしまう可能性があること」です。ニュースやドラマ、映画などで、ショッキングな映像を見ると混乱してしまうかもません。
4つ目、最後は「誤った情報を得る可能性があること」です。幼い子どもは判断力も未成熟なので、間違った情報や偏った価値観をそのままインプットにしてしまうこともあります。
2.子どもにテレビを見せるときに決めておきたいルール
それでは保護者は子どもにテレビを見せるとき、どんなルールを設けておくと良いのでしょうか。
2.1 見てもいい時間帯を決める
まずは視聴時間を区切る必要があります。大人のように夜遅くまで見ないようにするのが第一です。
例えば「遅くとも夜8時にはテレビを消す」と決めましょう。
平日と週末とで分けてもいいですし、ある程度成長したら一緒に話し合って、週末だけいつもより遅くまで見るのを許可するなどでも良いでしょう。「交渉して認めてもらう」ことは子どもの成長においても貴重な経験になります。
また、テレビのタイマー機能を利用して強制的に電源を切るのも一案です。
2.2 上限の時間を決める
次は連続して視聴してもいい時間や、1日ごとの最大時間を決めましょう。
一例として、世界保健機関(WHO)が2019年に発表した、「5歳以下の子どもの健康に関するガイドライン」を参照してみましょう。
世界保健機関(WHO)「5歳以下の子どもの健康に関するガイドライン」
乳幼児に許容する「画面を見てじっとしている時間」の目安
・0~1歳 0分
・2~4歳 60分以内
ちなみにこのガイドラインの主旨は、単に「テレビなどを見る時間を制限すべき」というものではありません。「画面の前でじっとしている時間を減らし、他の遊びや睡眠に充てるべき」というものです。
上限の時間は、子どもの個性や家庭の実情に合わせて検討してください。
※参考サイト
To grow up healthy, children need to sit less and play more |WHO
https://www.who.int/news-room/detail/24-04-2019-to-grow-up-healthy-children-need-to-sit-less-and-play-more
2.3 テレビとの距離の取り方
見るときは画面からの距離や、姿勢などに気を配りましょう。
テレビの画面からの距離の目安を「画面の縦の長さの3倍」と答える専門家もいます。例えば32インチの場合、縦は約40センチメートルなので、「画面から120センチ、すなわち1.2メートルほど」は離れたほうが良さそうです。
さらに、暗い部屋では見ないこと、できるだけ正面から見ることも重要です。
子供向けアニメの本編などでは「テレビを見るときは、部屋を明るくしてはなれて見てください」という字幕が出ます。
これは1997年に放映されたアニメ番組の映像がきっかけで、全国で光過敏性発作などの体調不良を起こす子どもが相次ぎ、社会問題となった事例を受けたものです。
2.4 番組の選び方
子どもに見せる番組を選ぶときは、年齢に合った番組を選ぶことがポイントです。
上の兄弟や親類が見ている人気アニメを見たがることもあるかもしれませんが、実は幼児には刺激が強い場合もあります。気になる場合はどんなシーンがあるかを事前に確認しておいたほうがいいかもしれません。
ある程度成長したら、親が一方的に選ぶのではなく、自分でもリモコン操作をさせてみて、番組選びから一緒に楽しんでみましょう。
3.子どもに見せるのは避けたいテレビ番組の種類
それではどのような番組は避けるべきなのでしょうか。以下の4つのタイプには注意してください。
3.1 暴力的、グロテスクな表現が含まれる番組
暴力やグロテスクな表現が含まれる番組は避けましょう。
特にアクション、ホラーなどには要注意です。子ども向けであっても、対象年齢が異なると刺激が強い可能性があります。怖い話に興味を示すこともありますが、リアルすぎる映像には強いショックを受けてしまうおそれもあります。
また、パトカーや救急車が好きだからといって、大人向けのサスペンスドラマやドキュメンタリー番組を見せるのはおすすめしません。事件や事故のシーンに接するのは、ある程度自分で現実に起こることを判断できるようになってからのほうが無難です。
3.2 性的な表現が含まれる番組
性的な描写のある大人向けの映画やアニメはもちろん、いわゆる「下ネタ」や「容姿いじり」などがよくあるバラエティ番組にも注意が必要です。
「まだ小さいからわからないだろう」と思って見過ごしていると、意外と覚えてしまっていることもあります。
もしもそうした場面を見ていたら、できるだけすぐに別の番組に変更し、子どもに直接声をかけて「さっき見ていたのは子どもにとって好ましくないものだった」としっかり伝えましょう。
3.3 不適切な価値観や言動が含まれる番組
差別的な表現がある番組は見せないほうが良いでしょう。また現代にそぐわない価値観が含まれる番組を避ける家庭もあります。
例えばかつては映画などでタバコを吸うシーンが多くありましたが、健康被害への関心が高まっている今では、すっかり少なくなりました。
少し前の時代が舞台の子ども向けアニメを、あまり見せたがらない親もいます。「いじめっ子といじめられっ子がいる」ことや「お母さんが常に家にいる」設定に、子どもの価値観を影響されたくないと考えているためです。
以下にあまり好ましくないシーンを見てしまったときの声かけの例をまとめました。参考にしてみてくださいね。
不適切なシーンに気づいたら、消したり止めたりして声をかけを
「さっきのところ、怖かったよね、嫌だったね」
「さっきテレビでは〇〇〇〇〇〇〇と言っていたけど、あれは良くないことだよ」
「こういう言い方は気分を悪くする人もいるから、真似しないでおこうね」
「この番組はだいぶ前に作られたものだから、この人は〇〇〇〇〇〇〇をしているよ。昔はそれが普通だったけど、今は違うんだよ」
3.4 年齢制限のある番組
日本の映画には「映倫(映画倫理機構)」が定めるレイティング・システムがあり、作品ごとに審査して観覧年齢を明示しています。
段階は全部で4段階です。
・G:誰でも見ることができる
・R12:12歳以上なら見ることができる
・R15:15歳以上なら見ることができる
・R18:18歳以上なら見ることができる
したがって幼児であれば「G」のみ視聴できます。
テレビで映画を見るときには、事前にこの区分を確認しておきたいところです。
また専門チャンネル対応チューナーなどの機器には、この区分に基づいて視聴や録画を制限できる機能を備えているものがあります。使える環境であればぜひ活用してみてください。
4.子どもにもおすすめのテレビ番組
それでは逆に子どもに安心して見せられる番組には、どのようなものがあるのでしょうか。
4.1 教育専門チャンネルや幼児向けショー番組
NHK「Eテレ」など教育専門チャンネルの番組で子どもをテレビ視聴デビューさせた保護者も多いのではないでしょうか。
特に歌や体操、クイズが盛り込まれた参加型のショーがおすすめです。見るだけではなく、画面の中のキャラクターと一緒に身体を動かしたり、歌ったりして楽しめます。
ほかにもアニメや人形劇で生活習慣や言葉を学べるコンテンツが豊富なので、まずは一度チェックしてみましょう。
4.2 子ども向けアニメ
「アンパンマン」や「ドラえもん」など、これまでも多くの親子に支持されている作品は、比較的安心して見られる番組の一つです。
最初はキャラクターの名前を覚えるところから始めましょう。次第に好きなキャラクターができたり、物語の展開を楽しんだりできるようになります。
テレビシリーズだけでなく、映画など長編の視聴デビューにもアニメは最適です。
4.3 変身ヒーロー、ヒロインが登場するアニメや特撮作品
変身するヒーローやヒロインが登場するアニメや特撮作品も、いつの時代も人気のある番組です。
かっこいいアクションや華やかなファッションは、子どもたちの憧れです。あきらめずに相手に立ち向かう正義感や、仲間との友情や協力の大切さを学べ、大人が見ても楽しめるかもしれません。
物語や登場人物の気持ちについてどう考えたか、感想を聞いてみるのも良いでしょう。
4.4 教育的な価値のあるドキュメンタリー番組や料理番組
動物や宇宙などの自然科学や、歴史を扱ったドキュメンタリー番組には教育的な価値があります。
内容まで分からなくても、視覚や聴覚から興味を持つジャンルに出会える可能性があります。いろいろなジャンルの映像に触れさせて、反応を見てみるのが大事です。
料理番組もおすすめです。子どもにとって過剰な演出があまりありません。身近な食べ物を通して、科学的、社会的な好奇心を広げられます。お手伝いしたくなるきっかけも増えるでしょう。
5.子どもと一緒にテレビを楽しむコツ
子どもに見せたい番組を選んだら、一緒に楽しむためのコツを3つ紹介します。
5.1 一緒に番組を選び、好みを探す
どんな子どもにも個性があり、関心を寄せる対象はさまざまです。同じ環境で育った兄弟でも、好みは異なります。
お気に入りのジャンルやキャラクターを見つけると、その子の特性や関心を伸ばしてあげやすくなります。例えば「動物とアニメ、どっちを見る?」という会話から、子どもの好みを探ってみましょう。
また「毎週好きな番組を見ることを目標に、苦手なこともがんばって乗り切る」という動機づけに利用することもできます。
5.2 親も番組に参加して楽しみを共有する
ショー番組の歌やクイズやダンスに、子どもと一緒に参加してみましょう。
テレビの前で親が笑ったり真剣に取り組んだりしている様子を感じるのは、子どもにとっても嬉しいことで、良い刺激になるはずです。
大人も普段の生活ではなかなかできないことに取り組めます。童心に返って一緒に楽しんだほうが、お互いにとって有意義ですよ。
5.3 生活の中で話題にする
生活の中で話題にすると、親から子どもに働きかける図式よりも、子どもの反応が良くなる可能性があります。
特にイヤイヤ期など、親が「〇〇してね」「〇〇してみようか」と呼びかけるだけでは動いてくれないときがあります。
そんな時は、好きなキャラクターや物語を引き合いに出して語りかけてみましょう。
例えば以下のようなアクションを取ってみると、動いてくれるかもしれません。
テレビ番組やキャラクターをきっかけに行動をうながす方法
・「この前〇〇〇〇〇(好きなキャラクター)がやってたね。真似してみようか」
・「(ぬいぐるみなどを使いキャラクターになりきって)〇〇ちゃん、ぼく〇〇〇〇してほしいな」
・「〇時になったらテレビで大好きな〇〇〇が始まるよ。〇〇はそれまでに済ませちゃおう」
6.時にはテレビの力を借りて、笑顔と会話の多い家庭にしよう
子どもはテレビが大好きです。お気に入りのキャラクターや物語をきっかけに、社会に興味を持ち始めます。テレビを通じて親子の会話が弾むこともあるでしょう。
しかし番組選びは重要です。できるだけ不適切な価値観や言動を含むシーンは避けなくてはいけません。そしてルールで視聴禁止するだけではなく、好ましくない場面に出会ったときには、できるだけフォローの声かけをしてください。「なぜダメなのか」を論理的に伝えることに、教育的な意味があります。
「テレビ離れ」と言われますが、育児世帯にとってのテレビはまだまだ「家族の団らん時間」の象徴の一つ。子供たちが健康的に成長できるよう、テレビの力も借りて、笑顔と会話の多い家庭を目指しましょう。
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この記事を書いた人
hauska編集部
料理、美容、ガジェット好き。最近はインテリアとQOL関連アイテムへの興味関心が爆上がり中。働くパパ・ママに向けて、生活の質の向上、楽しい子育て、仕事もプライベートも充実させるための情報など幅広く発信します。ライフハックに気軽に取り組んでいただければ幸いです。