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育児短時間勤務と部分休業 はどっちがお得?メリット・デメリットを紹介
2023.06.09
公務員が妊娠・出産をした時に利用できるのが、育児短時間勤務と部分休業です。どちらも似た制度なので、どっちがお得なのか? と悩む人も多いですよね。子供が小さいうちは保育園に預けても、熱などで呼び出されることが多く、フルタイムでの勤務は現実的ではありません。
そこで時短勤務を検討している人に、育児短時間勤務と部分休業がどっちがお得なのかを解説します。それぞれの制度を詳しく解説し、育児と仕事の両立を叶えるための参考にしてください。
記事の最後に、部分休業が迷惑だと言われてしまう原因と対策を紹介します。快適な職場復帰を叶えるために、ぜひチェックしてください。
この記事はこんな方にオススメ
- 育児休暇明けの働き方を知りたい
- 育児短時間勤務と部分休業の違いが知りたい
- 育休明け時短勤務がなぜ迷惑なのかが知りたい
もくじ
育児休業から復帰!働き方はどうなる?
育児休業から復帰した後は、今まで通りのフルタイムで働くことは不可能です。子供が無事に保育園に入園したとしても、小さいうちはすぐに体調を崩しがちです。そして熱を出したら、親が迎えにいく必要があります。
何より育児と仕事の両立を考えた時に、フルタイムで仕事をするのは気力と体力の両面から見ても厳しくなります。
そのために使える制度が、
- 育児短時間勤務
- 部分休業
- 早出遅出勤務
の3つです。それぞれの制度を詳しく紹介していきます。
育児短時間勤務|自由に勤務時間を設定できる
育児短時間勤務とは、常勤勤務のまま勤務時間を短くできる制度です。育児短時間勤務が使えるのは、子供が小学校に入るまでの間となります。育児短時間勤務には、複数の勤務時間を選べるのが特徴です。
- 1日4時間勤務(週20時間)
- 1日5時間勤務(週25時間)
- 週3日勤務(週24時間)
- 週2日半勤務(週20時間)
上記のように、自分のライフスタイルに合わせて勤務時間を選べます。育児短時間勤務を取得している間は、よほどのことがない限り残業を命じることはできません。育児短時間勤務を取得している間は、勤務時間に準じた給与となりフルタイムの時よりは減額されます。
フルタイムの時と変わらないのは、生活関連手当(住居手当・扶養手当など)で、その他の手当は、勤務時間に応じた額で計算されます。ライフスタイルに合わせて自由な勤務時間を選べるのが、育児短時間勤務のメリットです。
部分休業(育児時間)|1日最大2時間休業できる
部分休業とは、毎日2時間勤務時間を減らせる制度のことです。部分休業は1日の休業時間が2時間を超えない範囲で、30分単位で調節できます。
具体的には、以下の複数パターンから選択可能です。
- 始業30分と終業1.5時間
- 始業1時間と終業1時間
- 始業を2時間
- 終業を2時間
- 始業と終業はそのままで、間の時間を2時間休む
部分休業が取れるのは子供が小学校に入学する前までの期間に限ります。育児短時間勤務と同じく休業分の給与はカットされ、部分休業はボーナスの査定にも影響があります。
ボーナス査定に影響があるのは、ボーナス支給の基準日となる6ヶ月間の中で、部分休業が90日を超える場合です。例えば1日2時間の部分休業を90日間取得したとします。その場合90日間で180時間休むことになり、1日の勤務時間(教員なら9時間)に換算すると20日間休んだ計算です。
この20日分がボーナスの査定に影響するとされています。部分休業の取得には学校長や上長の承認が必要なので、事前に相談しましょう。
早出遅出勤務|勤務時間を繰り上げ・繰り下げできる
育児短時間勤務や部分休業と少し違うのが、早出遅出勤務です。早出遅出勤務は、民間企業が実施しているフレックス制度に似た制度です。早出遅出勤務では、1日のトータル勤務時間は変わりません。
つまりフルタイムで復帰することになります。早出遅出勤務では、朝または帰りの時間を変更できるので、ライフスタイルに合わせた育児時間を確保可能です。
(8:30〜17:15を勤務時間とした場合)
- 朝1時間ずらす場合…9:30~18:15まで
- 夜1時間早く帰る場合…8:30~16:15まで
早出遅出勤務は、育児短時間勤務と部分休業のように勤務時間が減るわけではないので、給与に影響はありません。教員の場合、担任を持つかどうかや会議に出席が必要かどうかなど、自分の業務で必要な時間を考慮して取得するようにしてください。
こちらの早出遅出勤務は、小学校入学前の子を養育する職員向けの制度です。子供を小学校へ送っていく際や、学童保育へ送ったり迎えに行ったりする際に使えます。自治体が設定している出勤パターンから選択肢して届け出を出しましょう。
育児短時間勤務・部分休業・早出遅出勤務それぞれのメリット・デメリット
育児短時間勤務・部分休業・早出遅出勤務それぞれにメリットとデメリットがあります。祖父母との距離や夫婦の育児割合など、家庭によってどの制度が合うかは異なります。そのため、メリットとデメリットをしっかりと見極めて最適な制度を選びましょう。
育児短時間勤務のメリット・デメリット
育児短時間勤務のメリットとデメリットは下記のとおりです。
メリット |
デメリット |
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休んだ分の給与が減るのは、民間の育児休業と同じです。原則として残業は命じられないはずですが、理解のない職場なら残業をさせられる可能性があります。(参考:https://qa.mamari.jp/question/3310112)万が一残業が発生し、本来の定時まで仕事をした場合には、8時間以内の勤務になるので25%の割り増し賃金は発生しません。
育児時間をしっかりと確保できる反面、職場に理解がなければかなりつらい状況になるとの声もあります。育児短時間勤務は、育児ときちんと向き合えますが、職場の仲間に負担をかけるのも事実です。
部分休業のメリット・デメリット
部分休業のメリット・デメリットは下記のとおりです。
メリット |
デメリット |
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部分休業は1日最大2時間の休暇が取れる制度です。始業・終業・業務の合間など、自分のライフスタイルに合わせて取得できます。部分休業にできるのは1日30分からで、ライフスタイルに合わせて選べるのが最大のメリットです。
しかし、部分休業を良く思わない声があるのも事実です。多く休むとボーナスの査定に響く可能性があるとは言われていますが、休んだ分以上に査定に影響が出たとの声も少なからずあります。部分休業は男女ともに取れますが、男性が取るにはまだまだハードルが高いと考えられています。
早出遅出勤務のメリット・デメリット
早出遅出勤務のメリット・デメリットは下記のとおりです
メリット |
デメリット |
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早出遅出勤務は、トータルの出勤時間は変わらないため、周囲の理解が得やすいです。朝1時間遅く出勤した場合は、帰りの時刻を1時間遅くするのでフルタイムと差はありません。デメリットとしては、育児とフルタイム勤務の両立が気力・体力面で大変な点です。
子供が小学校入学を控えた時に、育児短時間勤務や部分休業から早出遅出勤務に切り替えるかの検討が必要です。
万が一の時に使える子の看護のための休暇とは
子の看護のための休暇とは、子供の怪我や病気によって仕事を休まざるを得ない時に使える制度です。制度の対象になるのは、小学校就学前の子供です。子供1人につき年間5日使える制度で、もし未就学児が2人いる場合は10日取得できます。
子の看護のための休暇は、年次有給休暇とは別に用意された休暇です。そのため、子の看護のための休暇が有給か無休かは事業者によって異なります。
- 子の看護のための休暇を有給とした場合
- 法定日数を上回って支給した場合
上記の2パターンの場合は、国から助成金が支給されます(中小企業の場合)子の看護のための休暇を使いたいと申し出た際には、雇用側は断れません。有給休暇を断れないのと同じで、不当に拒んだり子の看護のための休暇を理由に降格させたりするのは違法です。
子の看護のための休暇は法律で守られている制度です。未就学児の児童に看護が必要となった際は、誰でも雇用側に申し出て利用できる制度となっています。
育休明けの時短勤務が迷惑って言われるのはなぜ?
育休明けに時短勤務にすると、周囲からは迷惑だと言われるケースがとても多いです。時短勤務は法律でも認められています。しかし周囲からいい顔をされないとの声があるため、代表的な迷惑だと言われる理由を紹介します。
- 上の世代の時は育休も時短もなかった
- サポートする周囲に負担がかかる
- 時短以外にも子供の熱で早退をする日も多い
主な理由は上記の通りです。今育児をしているママより上の世代では、産休しかありませんでした。また結婚と同時に寿退社をする人も多く、子供を産んだあとも働く人は珍しかったのです。
そのような時代背景もあり、今の働くママさんの環境が素直にうらやましくて陰口を言ってしまう人も少なからずいます。そして、独身で子供を産む可能性があるかわからない若い世代にとっては、給与が増えないのに負担だけ増えると感じてしまうのです。
きちんとしている人がほとんどですが、中には「時短なんだから帰って当然」「熱を出したんだから早退するのは当たり前」と周囲への配慮がない人がいるのも事実です。そのような時短取得者がいると、どうしても他の人に対してもよく思えなくなります。
時短勤務を取得する場合は、周囲への配慮を忘れないようにしましょう。自分自身が帰った後、業務対応をしてくれている同僚がいます。
- 「お疲れ様でした」ではなく「すみませんがお先に失礼します」という
- 業務時間中にゆとりがあれば、積極的に手伝う
- 行事以外の有給取得は先に周囲とすり合わせを行う
へりくだる必要はありませんが、時短中は周囲に負担をかけていることを忘れずにいてください。周囲のサポートがなければ、自身の育休も時短も叶わなかったことです。だからこそ、周囲に譲れるところは譲り、業務サポートができるところは今まで以上にしてください。
休んで当たり前、周囲がフォローして当たり前だという空気を出さないことが、時短が迷惑だと言われないコツです。「あの人のためならサポートしよう」そう思われる人になってください。そうすれば、迷惑だとは言われなくなります。
育児と仕事の両立の為に必要なこととは?
- 保育園への送迎の時間
- 仕事の時間
- 家事の時間
- 家族と過ごす時間
上記のように、職場復帰をするママにとって1日の中で時間配分をしなければなりません。これらのタスクをうまく回せないと、ストレスの原因となってしまいます。そしてこれらのタスクをきれいにこなすには、子供の健康管理と職場との調整は不可欠です。それぞれを詳しく解説していきます。
子供の健康管理で気をつけること
子供を保育園に入れると、体調不良の回数が増えるため、親ができる範囲で健康管理を行ってください。風邪かな? 思ったらすぐに病院へ連れて行ったり、人混みを避けたりしていても、どうしても風邪を引いてしまいます。
保育園に通う時点で、風邪をひくのは避けられません。だからこそひどくならないように対処をしてあげるのが重要です。子供が熱を出してしまった時にどう対処するのか? は家族間できちんと話し合っておいてください。
お迎えに行くのは誰なのか、病児保育は使うのか、などを事前に決めておくとスムーズに仕事復帰ができます。子供の体調不良は避けられないことです。熱を出した時に、自分を責めるのではなく、できるだけ早く治せるように対処をしていきましょう。
職場との話し合いで重視すべきこと
育休からの復帰の際は、職場との話し合いで「できること・できないこと」を明確にするのがおすすめです。上司からの評価を気にして、無理な時間での仕事復帰をすると後々後悔します。育児と仕事をうまく両立できないと、仕事がストレスとなり、辞めなければならなくなる可能性があります。
職場にとっても、復帰して短期間で辞められるのは負担でしかありません。お互いが気持ちよく過ごせるように、職場との話し合いでは無理のない時間でスケジュールを組んでもらいましょう。
まとめ
育児短時間勤務と部分休業は、基本的には時短が取れる制度です。しかし減額される手当が異なったりボーナス査定に影響が出たりと、それぞれ異なる側面があります。自分にとってどちらが有利なのかを見極めて、制度を利用しましょう。
育児短時間勤務と部分休業を利用する際には、周囲と相談して円滑に業務が進むような調整を忘れないようにしてください。育児短時間勤務と部分休業はどちらも男性も取得できます。夫婦ともに公務員であるなら、適切な利用方法を話し合って決めることが大切です。
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この記事を書いた人
hauska編集部
料理、美容、ガジェット好き。最近はインテリアとQOL関連アイテムへの興味関心が爆上がり中。働くパパ・ママに向けて、生活の質の向上、楽しい子育て、仕事もプライベートも充実させるための情報など幅広く発信します。ライフハックに気軽に取り組んでいただければ幸いです。